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8話 誘拐 2

➖???➖


 誰かは分からないけど、僕は誘拐されたみたいだった。運ばれている際の意識はないから眠らされていたのだろうけど一体どうやってなのかはわからない。睡眠薬だとは思う。吸わされたことはない筈なんだけど、眠っていた。


 起きたら暗闇しか写っていないからここがどこかもわからない。カビ臭いのは分かるけどそれ以外にも変な匂いが混じっているような気がする。僕には何も関係なんてないだろうけどね。


「やぁ久しぶりだね。ボクのことは覚えているかな?」


 どこからかは分からないが聞いたことがある声が響いた。どこかにスピーカーがあってそこから聞こえてきているんだろう。僕には特殊能力はないから連絡はできないけど、なんとかしてここの場所を特定しないと。


「うむ……姿を見せれないのは申し訳ないが安心してくれたまえ」

「一体誰ですか?」

「ボクは(くだん)のクローンと言ったところかな。まぁほとんど件要素は残っていないがね」


 件って確か頭が人で身体が牛だったよね? 確か数日で死ぬってことを聞いたことがあるんだけど……違ったのかな? あの場所だったら寿命を延ばす研究もしていたって聞いたから可能かもしれない。あそこにいた件は全員、死んだって研究員達が話していた気がする。


 もし生き残りがいたとして父さんが保護していないってことはない筈。ってことは可能性1.記憶を読む能力がある者がいる。可能性2.本物の件で予知? で見たことを喋っている。どちらにしても僕が抵抗しても勝てないことは確実だろう。


「意外に冷静だね。もっと取り乱すと思っていたけど」

「・・・今は殺す気はないんですよね」

「今のところはないよ。ボクはね」


 ボクはって言っている時点で他のヤツらは普通にあるわけね。あと、今のところと言っていたから少しなら時間はあるってわけだからここから逃げれるようにしないと。ただここは暗闇だから逃げることも容易ではないからそのところを考えないと。


「そこから無理に動かない方がいいよ。暗闇で動けるモノがいるからね」


 手足が縛られていないのはここから逃げれないって思ってのことなのかな。実際に逃げれないって分かっているから動いてはいないけど、隙があれば逃げる。頭は良くないので考えなしに動かない方が良さそう。さっきは暗闇で動けるモノがいるって言っていたからここは動かない方がいいのかも。


 音や体温、超音波とかでこっちを見つけれるとは思うからそれを逆手に取らないと簡単に捕食されるんだっけ? この暗闇に慣れるまでは時間があるわけだからそれまでに僕が食われないといいんだけど。助けが来るまでの時間稼ぎの方法を探さないと……



―津堂伊月視点―


 探し始めて一時間以上は経った頃、妖力の残留が森の中で消えた。確かここは行方不明者が続出している所だったな。神隠しになったとネットで騒いでいたのを雨歌と一緒に聞いたのを覚えている。まぁ別にそれに関してはどうでもいいのだが問題はその場所で妖力が探知出来なくなっているってことだ。


 スマホは……圏外ではないのは何故かは分からないがそんなことを気にしている場合ではないのは確かだな。眩寺さんが確か「雨歌が誘拐されて電話に出た場合はそれを逆探知する」って言っていた筈。それにかけても俺は時間を稼げる自信はない。


 俺の心を読んだのかは分からないがスマホが鳴った。雨歌と表示されているが本人って可能性は低いだろうな。今出なかった場合は殺される可能性もあるから出るしかないか。


「もしもし」

『やぁ……君が伊月くんかい?』

「そうだ。お前は誰だ?」

『件って妖怪さ、ボクと取引しないか?』


 罠って訳ではないよな? 信用は一切出来ないが利用するのはアリかもしれないな。最重要なことは雨歌がちゃんと生きているってことだからまずはそれの確認をしないといけない。すでに殺されているって可能性もあるからしっかりとカマをかけないとな。


「分かった。ただ一つ確認したいことがある」

『いいとも……不澤雨歌くんは生きているよ』

「!? 未来を読んだのか」

『あぁ、生存の証拠を今送ったから観るといい』


 ナイトショットの録画映像で……時間や日付は確かにあっている。件ってことは本当だろうから後の生存も真実だと思っていていいな。緋華を連れて来ておけば良かったと後悔してしまうな。アイツが居れば匂いで後を追えただろう。


 まぁ済んだことを悔やんでも仕方がない。コイツの取引内容を聞かないと俺はどうも動けないから待つか。最悪は眩寺さんに手伝ってもらう事になるだろうがそれは仕方がない事だからな。


『ボクを外の世界へ連れて行ってほしい』

「はぁ??? ふざけてんのか!!」

『至ってボクは真剣だよ。君ならボクと誘拐犯を生かしておいてくれるからね』

「・・・お前を除いて敵の数は?」

『六人。そのうち二人が転生者で“ギフト”待ちだね』


 “ギフト”って確か異世界人がこの世界にやってくるときに神様に授けられるって言う特殊能力のことか。“ギフト”待ちは厄介な連中が多いと聞くが犯罪に手を染めているとはな。二人が転生者となれば他四人のことが気になる。


『残りは四人は獣人で中位種だ。君の敵ではないね』

「敵ではないな。それくらいなら緋華って奴でもいけそうだが?」

『彼女はダメだ。ボクも含めて七人とも殺される』

「雨歌を助けたいから乗ってやるよ。まずは敵の制圧で雨歌の救助……最後にお前だ」

『それでいい。位置と中の地図、そしてボクが敵の場所を教えよう』


 自分が最後にされているのに即答で答えやがった。もう少しごねると思っていたが、本当に外に出たいみたいだな。緋華も呼びたかったが殺すのであれば呼べない。色々と情報が来たら眩寺さんに共有しておくか。

・上位種以下は特権は使用出来ません

強さの順序は

 上位種→中位種→下位種

・どの分類にされるかは産まれた際に決められます。決められ方は種族によってやや異なります

・上位種、中位種、下位種の中から稀に元祖返りに成ります

・元祖返りは先天性のモノは一切ありません。全て後天性に成ります

・長寿な種族も居れば短命な種族もいます

・色は基本的に一色しか持ちません

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