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7話 誘拐 1

➖自室➖


 入学が終わり、母さん達と家に真っ直ぐ帰った後に自室でベッドに倒れて布団の中に包まり込んだ。副担任から母さんに自己紹介でのやらかしをバラされたので恥ずかしくなって帰りは何も言えなくなった。ちなみに母さんの反応は「まぁ!!」だった。はぁ明日から行きたくないよ。


「ならいかなくてもいいんじゃない?」

「・・・えっ?」

「貴女を殺しに来たの」

「母さ_」


 母さんを呼ぼうとするが口を塞がれてどこかの空間に連れて行かれた。僕の部屋で見た最後の景色は母さんがこちらに手を伸ばしているところだった。おそらくは何か異変を感じ来てくれていたのだと思う。


―津堂伊月視点―


 涼音さんから連絡を受けて急いで不澤家に向かった。俺の家とは徒歩で五分くらいなので近いからすぐに駆けつけれるが……緋華は遠いから遅れるだろう。近いからと言っても急がない訳がない。涼音さんから雨歌が拐われたと聞いたから何があるかも分からない。


「涼音さん、雨歌が拐われたって」

「伊月くんごめんね。まさかこれが壊れているなんてねぇ」

「見せてください」


 涼音さんから受け取った物は非力な人間が防犯に使う道具で、害を為す者を自動的に判別し電気ショックを与える代物だ。しかも俺にも普通に効くのでこれが壊れているとなると入り放題だな。あとは魔除けも設置をしているがあまり効果がなかったりもする。


 見るに破壊されているんだな。結構丈夫な奴だった筈なのに綺麗にぶった斬られているな。ってことは計画的な犯行ってことで間違いはないだろうが、問題は誰がこんな事をしたのかだな。雨歌の保護者は有名な警察特殊部隊員の隊長だ。それを知っているのであればまずは手を出してこない。


「涼音さん、雨歌ってどう連れて行かれたか。分かりますか?」

「何もない所に引き摺り込まれたって感じがするわ」

「ってことは悪魔系か。最近付き纏いとかってありますか?」

「無いわね。一時は緋華ちゃんだけだったし」


 ということは最近知ったのか。一応は雨歌に浸してある俺の妖力を辿ることは出来るが途切れ途切れだから正しく雨歌の所まで辿り着けるかは分からないな。それに警察が動いている可能性を考えると下手に動くと邪魔になる。


「涼音さん、警察には?」

「連絡は入れているわ。ただ……」

「出動が遅れていると」

「えぇそうなのよ」


 それなら原点種である俺が動く方が早いな。原点種には幾つか特権があるがそのうちの一つが警察が何らかの理由で動けないもしくは動かない場合は許可も何も要らずに捜査や不法侵入も許される。ただし身内のみに適応される。今回は条件はクリアしているから行動は出来る。


 犯人はおそらく……いやほぼ確実に闇世界の住人だろうな。闇世界の住人は基本的には俺たちと同じく普通に生活しているが時々、闇の仕事を引き受けることもある。まぁほとんどが足を洗っているがな。それでも依頼人は一定数はいるわけだから途絶えることはまず無いだろう。


「俺が探します。ここで涼音さんは他との連絡を取ってください」

「それはダメよ? 君が雨歌ちゃんに原点種ってバレたら……」

「嫌われる可能性もありますがそれでも俺は探して助け出します」

「・・・分かったわ。みんなに連絡をしながら私に出来る事をやるわ」

「お願いします」


 不澤家から飛び出して妖力の残留を辿りながら雨歌の場所を探す。涼音さんと一緒に行動したら速すぎて俺が追い付かなくなるし、犯人がビビって逃げる可能性もあるから留守番するように遠回しに言ったが大丈夫かな?


 今は冷静では無いからアレだが落ち着いてきたら色々としてくれるだろうから大丈夫だろう。にしても残留が何故こんなにも一定の間隔で途切れている。そもそも悪魔系なら残留すら残らないか。可能性としては空間移動を待っている人間って線か。


「伊月!! 雨歌くんはーー」

「今、妖力の残留を辿っているところだ」

「私も行く」

「ダメだ。お前が来るとめちゃくちゃになる」

「雨歌くんのピンチなのに……」

「はあ〜涼音さんと一緒に何か手掛かりがないかを探せ」


 緋華の嗅覚ならばある程度匂いは絞れる。それに眩寺(げんじ)さんや涼音さんと一緒だったらもし仮に自力で帰ってきた場合は守れる。それを分かってほしいのだが、おそらくは分かっていないだろう。俺らは最愛の人がどこかに連れ去られた訳だから冷静ではないってことは仕方がない。


 眩寺さん……雨歌の親父さんは普通に仕事中だろうから一旦は待つしかないだろう。それにしても緋華のやつは本当に上位種なのか? にしては移動速度や力が強いとは思っているんだが、今はそれが助かっているからいいか。


「雨歌に俺は上位種じゃないってことがバレる可能性もある」

「・・・分かった。それくらいの覚悟があるってこと」

「お前はどうする?」

「行きたいけど、私は上位種だから特権はない。今回はアンタの方が適任」

「冷静になったのか?」

「なるしかないじゃない。全く」


 緋華は冷静になったようには見えるが本当かどうか怪しいな。昔から怪しい言動や行動しているからそう思えるだけだろう。この誘拐の黒幕が緋華じゃない事だけは祈っておかないとな。いつもなら知っているみたいに行動していた筈なのに。


 まぁいい。誘拐した奴を拷問すれば分かる事だし最優先は雨歌を救出することだ。誘拐犯に関しては生かすも殺すも俺次第になる事だし好きにさせてもらう。追跡を開始しないと残留が消える。消えたら追えなくなるから集中しろ。

原点種などの説明を加えるのを忘れていました


 原点種の説明です

原点種は種の原点になる者に使われます

・特権がありますが色々と使える際の決まりがあります

・初めて異種族同士の交配で産まれてくる場合はよく使われる分類です

・原点種と呼ばれる者には元祖返りもいます

・元祖返りは普通の原点種よりは数段弱いです

・交配する種によって強さは異なりますが記録上は街一つを壊滅させるくらいの力はあります

・髪や瞳に黒を除く他の色が二色以上があると原点種です

例)髪は赤、瞳は紫

・長寿で、番となる者を自分の力に浸すことがあります

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