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5話 入学 1

 あの後、特に問題なく体育館に移動でき今は理事長? の話を聴いているところだ。自己紹介はとりあえずはなかったので良かったとは思ったものの普通にこれが終わったらあるとのことだった。テンションはただ下がりで絶望している。おそらくは僕は目が死んでいると思う。人間だけの学校に受験すれば良かったのかな?


 まぁ自己紹介ってあまりいい思い出がないからしたくないけどしないといけないんだよね。なんてことを考えていたら終わったみたいだ。なんでこうもこういう人たちの話は長いのかな。えっと次はアレか生徒会長がスピーチするやつかな? 確か伊月から聞いた話だったら吸血鬼が生徒会長だったはず。


(わたくし)は生徒会、会長のアイン・ファングです』


 へぇ理事長と同じ苗字なんだぁ。親子ってことは吸血鬼ってことか。まぁどうでもいいことかな。僕には直接的には関係は……なくもないだろうけど関わることなんてないだろうしね。というか早く終わってくれないかな。そろそろ眠くなって……き、た。




―津堂伊月視点―


 あのバカ寝たな。俺の幼馴染である雨歌は惹き寄せる体質の為、眠りが浅く疲れが取れないようになってしまっているから……夢魔などが動きにくい朝や昼間に寝る癖がついている。どっちにしても来るのは来るから俺か緋華、家族の誰かが見張っていないといけない。


 上位種よりも上とされている“原点種”の複製体にマーキングされているのもあるみたいだ。それは下位種の近付かず上位種からは悪意を引き寄せる。ちなみに俺は本当は上位種ではなくて“原点種”の部類に入っている。だからたかだか複製体のマーキングごときではなんともない。ただ不快なだけだ。


 まぁそんなことはどうでもいいが今回の担任の件で分かったが、複製体共には会わさてやることは出来ないなぁ。昔の研究所のことを思い出したから過呼吸になったわけだしな。今からでも遅くないからやっぱりあの場所にいた連中は皆殺しにしないとな。


『良き学園生活を望みます』


 会長の祝辞は終わったみたいだな。確か碧さんが生徒会で役員をしているって言っていたがあの吸血鬼は少し警戒しておいた方がいいかもしれないな。上位種ではないが中位種の上澄みだろうな。そういえばあの犬の獣人は下位種の筈だったのに俺の匂いに屈しなかったな。


 アイツに攻撃を仕掛けた際に大きく反応したのが一名いるからソイツで慣れている可能性が高いな。あの地味な女は上位種で間違いないが厄介な種族じゃないといいんだが。しかし、何故あのクラスには上位種が複数いるのかね。しかも上位種だけではなくて明らかに敵意を向けている人間もいるときたもんだ。


『続きましては新入生代表、古村匡介(こむらきょうすけ)


 へぇアイツの名前は古村って言うのか。俺の雨歌に敵意を向けてくれた奴の名前を知れて嬉しいよ。ってことでお礼で少し面白いことをしてやろう。俺の超能力はほとんどのやつには感知されないが……出来るやつがいるとしたら理事長とあの担任、そして俺のことを監視しているあの悪魔……サキュバスだろうな。


 大事故にはしないさ、ただ俺の雨歌に危害を加えて来た人間にお灸を据えるだけだからな。俺は視界にあの男だけを捉えて足を引っかけようと準備すると隣から袖を引っ張られたので反射的に視線をそちらへと移動させてしまった。俺の隣にいたのはあの地味女だった。


(今、彼に何かすると雨歌さんにもっと被害がいきますよ)

(何を知ってる?)

(何も知りませんが彼は必ず雨歌さんを殺しに来ると思いますよ)

(俺にそれを言って何が目的だ)

(私のトモくんに危害を加えたのは許すので、仲を取り持ってください)


 上位種で確定だな。上位種の特性として例外なく伴侶と……まぁ(つがい)って言った方がこの場合は正しいが、一度でも将来を誓った者を絶対に離さないってのがある。怖い話をするとしたら幼い時に結婚の約束をした二人がいた。その片方が上位種だったのだが、次の日に相手を鎖で繋いで離れなくした。


 逃げようとしても逃げれず、他の者と目を合わせた瞬間、相手が消し飛ぶってことは当たり前だった。それで政府のお偉いさん達はすぐに法改正して今は落ち着いたが独占欲は健在だ。しかもその二人は今もひっそりと生きているって話だ。上位種って本当に怖いわ。


(私はトモくんと一緒に入れればいいんですが……避けられていまして)

(上位種は力を抑えることを義務付けられてるもんな)

(はい、私は死神なので特に強いのを)


 死神って上位種の中でも相当珍しいぞ。けどコイツと協力関係になれたら強いな。まぁ超能力って言っても善悪を見分けるってだけとは聞いているが真相は後で聞けばいいか。いくら強いって言ってもも普通の人間と大差ないくらいには弱くないか?


 まぁ本人の意向でそうしているのであれば仕方ないが俺ら人外はいまだに弱肉強食だったりするのだが大丈夫なのか? 長寿な種族が多いせいか中々、昔の習性が抜けていない奴が大勢いるのに。パッと見た感じでは普通の人間と認識するだろうから何かしらの理由がないと攻撃はされんだろう。



『新入生、退場です。皆様、拍手でお送りください』


 やば! 雨歌を起こさないと……って起きているのか。それなら安心して教室には戻れるが気を付けないと雨歌に絶対に何かあるだろうな。何人が気が付いているかは知らんがこの学園自体、危ないな。まぁそれに関しては追々調べておくとして今は古村の行動に注意をしておこう。じゃないと危ないからな。



―???視点―


 ふーん彼が不澤雨歌ね。私の好みからは大きく離れているけどしっかりと見守ってあげますか。彼の側には津堂伊月くんがいるから問題ないと思うのだけどね。やる気が一切出ないわぁ〜何処かに私好みのオスはいないかしら?


「おい、しっかりとしてくれよ」

「分かっているわよ。アンタもちゃんとしなさい」

「・・・やるさ」


 この学園での唯一の射程範囲内の男は神から呪われている人間なので仕事仲間だけに留めている。だって呪われたくないもの。それに可愛い後輩ちゃんの想い人な訳だし〜手を出すわけないじゃん。


「さ〜てとどのくらいの種族が何を企んでいるのかな?」


 一人になった体育館で私はこれからおこるであろうことを考えるとため息が出てしまうがこれもお仕事なのでしっかりとやる私でした。


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