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27話 写真1

➖自室➖


 僕は迎えに来た母さんの車に乗り、家に帰った。車の中では僕と母さんは何もしゃべっていないけど、家を抜け出したことはしっかりと謝った。母さんは「雨歌ちゃんが納得したならいいのよ」って言ってくれた。ありがたい。


 帰ってからは3時間くらいには部屋から出てないし、飲み物自体も飲んでいない。仕方ないことではあるんだろうけども何もやる気が起きない。ベッドの上でただボーっと天井を見上げているだけ。お母さんは僕を認識なんてしていなかったことがショックだったのだろうか?


「雨歌くん!!」

「おい、緋華!?」

「緋__うぐっ」

「大丈夫だった? 何かさ……あの女は今の病院ね?」

「緋華暴走するな。雨歌が呼吸出来てないぞ。話もあるんだろ」

「ぷはっ!!」

「雨歌くん、ごめんね」


 二人ともデートだった筈なのになんで……「涼音さんから電話があったから」と伊月は答えてくれた。声に出していない筈だから顔に出てたんだ。母さんから電話したってことは話を聞いているんだろう。伊月に怒られそうだなぁ。


 今はそれがありがたいと思ってしまうのは僕の精神状態が良くないってことだろうね。何も言い返すことが出来ないから全部受け入れよう。緋華さんは僕に甘いから怒ることは滅多にないけど、伊月は良く僕に怒ってくるから今回もね。


「・・・雨歌くん」

「はい」

「私は怒っています。それはどうして分かる?」

「えっと緋華さんが?」

「そう私が」

「伊月じゃなくて?」

「伊月は今回は怒ってないんだって」


 あの伊月が怒っていなくて緋華さんが怒っているのかぁ。今回のことで怒っていることしか分からないかな? あとは……何かしたのかは覚えていないからなぁ。伊月が怒っていないってことはおそらくは今日のことではないと思う。


「雨歌くんが伊月の子を授かろうとしていたから!!」

「へっ?」「はぁ!?」

「そんなのズルいじゃん」

「何がズルいだ!! お前には付いてねぇだろがっ!!」

「痛い。こんなDV男よりも私の子を産んでよ」

「逆だろう!? 怒っていたのってソレかよ!?」

「それ以外ない」

「言い切りやがった!?」


 昨日たしかに言ったけど、それってコウノドリが僕の子宮に子を運んでくるって話だよね? 今正常に動いているわけだし何も問題はないとは思うけど、緋華さんの子供は無理じゃないかな? それなら僕と伊月でも無理じゃない?


 その辺は伊月から教えてもらった知識じゃ分からない範囲だから調べるかぁ。ネットが普及しているわけだし、調べようと思ったらいくらでも出来たけど何故か調べようと思わなかったんだよねぇ。よし、調べるか。伊月と緋華さんは言い合っているし。


「雨歌兄さん!!」「雨歌兄!?」

「えっ!? ちょっ__」

「雨歌くん!?」


 僕がパソコンを触ろうと思ってベッドから勉強机に近づいたとほぼ同時に空と海兎が部屋に飛び込んできた。しかもドンピシャで僕がいる方向にきたから二人に押し倒される形になった。頭を強くぶつけたから痛かったけど、まぁこのくらいは何も問題はない。


 二人とも抱き着く力が強いから骨が出したらダメな音を出しているし、息が出来ないから助けて。僕が抜け出せないってことを忘れているんじゃないかって思えるくらいには力が強い。動けないんだけどぉ。


「空ちゃん、海兎……雨歌が死ぬからそろそろ離れろ」

「「・・・」」

「二人とも雨歌くんには接近させない」

「お前が1番ダメに決まってるだろが!!」

「痛い。この拗らせ男!!」

「はぁあ? ストーカー女が何を言ってるんだよ」

「・・・空、海兎。降りよっか」

「「うん」」


 ケンカをまたスタートし始めたので僕らはリビングに行くことにした。二人とも手を出すのが速いからここは避難しておかないと巻き込まれるだけだし、止めるのも二人が出す条件を何故か僕が飲まないといけないから損である。


「雨歌兄さん、また手伝ってほしい」

「えぇ~この前が最後って言ってなかった?」

「うん。だけどどうしてもって言われて」

「断れなかったと」

「だからお願い」

「はぁ……分かったよ」

「ありがとう」


 空は中等部の生徒会役員をしているらしいけど、早くない? しかも今は生徒会の業務をこなしながら趣味のコスプレで稼いでいるって母さんが言っていたけど……碧兄さんが普通に忙しいって言っていたけど、それをこなして、コスプレで稼いでいるってどうゆうことよ?


 中等部だよね? 碧兄さんも梨奈姉さんもバイトしているって言っていたから、僕だけ何もしていない? 海兎はサッカー部で忙しいだろうから仕方ないだろうけど、家の中で働いていないのは僕だけとなるとヤバい。


「雨歌兄、どうした?」

「海兎……僕もバイトを探そうと思ってさ」

「なら俺の仕事を手伝う?」

「ん? 仕事?」

「あ~海兎はやめた方がいい」

「変態は黙っていろよ。裏方をやってもらおうと思っているだけだしな」

「それならもう雨歌兄さんのコスプレ写真をあげないから」

「雨歌兄のコレはいらないんだな?」

「ん? 二人とも?」


 確かにコスプレしているところを撮られていたけどさ……あと海兎が持っているのって前に君の試合の応援しに行った時の写真だよね? 何故持っているのかな? 僕が知らないところで写真を撮られていたなんて知らなかったんだけど!!


 待ってもしかして毎回、服を指定してくるのって写真を撮るために言ってきていたのかな? 海兎には「試合のモチベーションになるから」って言われて、空には「資料として撮りたいから」って言われたので協力したのに……


「・・・どこにも流出してないよね?」

「コスプレ仲間にも徹底してもらっているから何も問題はない」

「俺も」

「ならいいけど、変なことには使わないでね」

「使わない。せいぜいオカ__」

「おか? 海兎はなんで空の口を塞いでいるのさ」

「コイツが今、情報漏洩をしようとしたから。なっ? 仕事のはダメだろ?」

「・・・そうだった。私達の仕事は似ているからってよくわかったねぇ?」


 ふ~んならいいや。まぁ何か専門用語だろうし、まぁいいか。気になるから父さんか碧兄さんに聞けば何か分かるかもしれないからあとで聞こうっと。



―不澤海兎視点―


(バカか? 伊月兄にバレたらマズいんだぞ?)

(雨歌兄さんにそういった知識がないのはあの人のせい)

(分かっているけど、街が破壊されるよりもマシだろ)

(大丈夫。いざとなれば最終兵器はあるから)


 俺らは雨歌兄がリビングに入るのを見てから小声で話始めた。空はそういうけど、あの人の独占欲をなめすぎなのはダメだ。伊月兄は雨歌兄の為に俺らを生かしているだけで簡単に殺せるってことを覚えていた方がいい。


「へぇ~雨歌ちゃんの写真を二人だけでシェアしているのねぇ」

「「っ!?」」


 終わった。

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