20話 隔離された結界の外で2
➖生徒会室➖
―津堂伊月視点―
何も対応しない理事長に対して怒りが沸いている時に雨歌との繋がりが切れたことを感知した。アレはそう簡単に消えることなんてない筈なのに消えたということは、殺され_てはいないな。
殺される前に俺が仕込んだ術が発動する筈だからな。ってことは雨歌の中にある妖力を消したということだな。いや、相当な力があれば可能だろうが……キツくないか? 原点種ならともかく。
「伊月、どうしたの?」
「雨歌のことを感知出来なくなった」
「はぁ!? なんで冷静でいれるわけ!!」
「取り乱しそうなのを必死に抑えてるんだよ」
「二人とも何があった?」
担任が俺らに聞いてきたので全て話したら怒られた。妖力は人間にとって麻薬と同じだということを言われた。知っていてあえてやっていたのだが、それを言ったらさらに怒られるだろうから言わないでおく。
状況は一刻も争うので無駄なことはしたくない。俺の雨歌が危ない目にあっているのに助けないって通りはないのだから。理事長が何もしないのであれば俺は勝手に動くだけだ。
「津堂くん、落ち着いてくれたまえ」
「あ? 何も動こうとしないのであれば動くだけだぞ」
「彼に関しては残念だよ」
コイツは俺が殺してもいいだろうな。だがここでは殺せるが後が面倒になるから今はしない。雨歌が死んだと決めつける奴は一旦放置だ。雨歌のことが優先だ。他の全てを後回しにする。
「緋華、結果内に入る方法って知っているか?」
「私も詳しくは知らないけど、出口があると思うからそこに」
「よし探すぞ」
「えぇ……私は知らないんだって」
「お前ら獣人は第六感が優れているだろ」
獣人は第六感が普通の人外共より優れているから今回は頼る。それに頼らないといけないなんて嫌だが今回ばかりは仕方ない。俺のプライドよりも雨歌の命の方が大事だからな。
俺と緋華は生徒会室に他の奴らをおいて雨歌を探しに行った。雨歌ともう一人の生徒が居なくなってしまったから学校が生徒達を即座に下校させた。映画だったら行動が遅い無能だが、現実はそうゆう訳ではないみたいだ。
「伊月、雨歌くんの匂いがする」
「どっちだ?」
「急ぐから付いてきて」
獣人特有の身体能力に追いつくのは結構簡単だと思ったんだが、案外しんどいな。そもそも緋華自体が獣人族の中で上位だからってことにしておこう。そんなことよりも雨歌の匂いがするのはデカいな。本人じゃなくても身の回りに着けている物だとかな。
急いで走って着いたのが旧校舎の2Fの音楽室前の廊下だった。しかも雨歌の匂いの正体は古村だった。どうでもいい奴が見つかった所で肝心な雨歌が居なければ意味がない。身の回りの物とかでもなかったしな。
一番手っ取り早いのはコイツをさっさと起こして雨歌の居場所を見つけることだ。気絶しているみたいだが何か知っているとは思う。知らなかったら殺す。
「古村……起きろ」
「眠らされてるんじゃない?」
「確か水道がどっかにあったよな」
「3階だけど……」
眠っている古村を起こすために俺は3Fに移動して水道のレバーを思いっきり捻り水を出す。古村の顔を出ている水に突っ込めば、息が出来なくて起きる。
「ゴボッゴボッゴボッゴボッ」
「伊月、彼起きたけど」
「知っている」
「じゃあ」
もう少しだけしておきたい。雨歌の匂いがコイツからしていたと言うことは匂いが移るくらいの距離にいたってことだ。ならコイツは雨歌に何かをした可能性だってある。そもそも入学日からコイツは気に入らないからここで殺るのもいいだろう。
まぁそれはしない。重要な情報を持っている可能性があるからコイツは殺さないでおく。ただこちらに命をとれると言うことだけは理解させておかないといけないと思ったからやってはいるが流石に死ぬな。
「嘘を言わず答えろよ」
「ガッハッ……お前、イカレてる」
「雨歌はどこだ? 何をした?」
「俺の……ヒロインの……ことか」
「はぁ!? 私の婿だよ!!」
「うぼぅ・・・」
古村のことを緋華が蹴り飛ばしやがった。結構ガチめだったろうから死んだかもな。生きておかないと雨歌の居場所が聞き出せないんだがな。こうなったら何もできないしコイツが倒れていたところまで戻るしかないな。
「全く失礼するな」
「感情的になりすぎだぞ。雨歌の場所が分からないままなんだからな」
「分かってはいるけど……」
まぁ緋華が蹴っていなかったら俺が投げ飛ばしていただろうから結果オーライってことにしておくか。しかし旧校舎の廊下に居たとなると……空間が移動しているって訳なのか? もしくは構造が同じで教室から離れたらその分だけ離れているってことになるのか。
どこかに詳しい奴がいればいいんだが、俺にはこうゆうのには知識がないからな。雨歌の為にも知識は付けた方がいいか。お袋の故郷には詳しい奴がいるかもしれないから少し当たってみるか。色々と条件は出される可能性もあるが、仕方ないことだと割り切ろう。
「伊月、あんなのってあったけ?」
「・・・刀? 絶対に触るなよ」
「禍々しいのに触るわけないじゃん」
「ならいいんだがな」
俺と緋華は古村が倒れていた場所まで戻ってきたが、おそらくはアイツが倒れていたであろう場所に刀が刺さっていた。俺の本能がアレには触れるなと告げているから何もしないが、緋華は分からないから警告はしておく。
ただそのままにしておくわけにはいかないから妖力で作った縄で柱に投げる。何故そうしたかは分からないが勘だった。根拠も何もないただの勘。その勘が当たるってことだけが分かっていたからとりあえずそうした。
「やっと……出れた!!」
「雨歌!?」
「雨歌くん?!」
刀が柱に吸い込まれたと思ったら代わりに雨歌が出てきた。少しだけ疲れているようだった。疲れていると言うよりかは脱力している感じか。妖力が一気に消えたからなのかもしかないが良く動けたな。ギリギリだったんだな。出てきたと同時くらいに気を失った。
「緋華、一旦雨歌を生徒会室に連れていけ」
「伊月は?」
「俺はこの柱を調べてから行く」
「分かった。無理はしないようにね」
さて……俺が触れてもただの柱だ。ってことは内側じゃないと意味がないのか? 妖力を込めても分からん。この結界を作った奴はしっかりとしているみたいだな。出口があるなら入口がどこかにあってもいい筈なんだがな。
一切ありそうにないんだよな。内側から招かれないといけないのかもな。専門家がいればわかるんだろうがそういうのは高いし、こうゆうのは絶対に受けないだろう。見るからに地雷だしな。はぁ~収穫はなさそうだし追いかけるか。
〈ワタシは■■■、また会おうね〉
「っ!?」
今の圧は一体なんだったんだ? 何も気配なんてしなかったし圧の発生源が分からない。雨歌が心配だし早くいくか。俺の方からは感知できない奴だとしたら厄介すぎるな。




