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2話 学校とクラスへ

 僕と伊月は約束していた時間より早く家を出た。家から学校までは徒歩で三十分はかかるがそれは僕の惹き寄せる体質のせいで、公共機関を使うと普通に痴漢をされる。伊月や緋華さんが居てもお構いなしにくるのであまり使わないようにしている。


「緋華の奴のストーカー行為はどうなったんだ?」

「受験勉強中はなかったかな。終わったら元に戻ったけど」

「アイツらしいな。雨歌はしっかりしないと襲わ___「雨歌くん、おはよう」__うぐっ!?」

「えっ?! 伊月!!」


 伊月が緋華さんの回し蹴りで吹き飛ばされていった。流れるように蹴り飛ばすものだから一瞬だけ理解が追いつかなかった。獣人は人間の約十倍の力があり、他種族の七倍は強い。しかも小さな子でも普通に油断すると大人でも負けるらしい。


 ちゃんと加減していたとは思うけど、普通に吹き飛んでいったところを見るとガードできなかったみたい。怪我していないかが心配だけどまぁ多分大丈夫だと思う。伊月は頑丈だし受け身をとるのがうまいから滅多なことで怪我はしない。


「雨歌くん、おはよ」

「緋華さんダメじゃないですか」

「何が? あぁアレを蹴り飛ばしたこと?」

「伊月が怪我したらどうするんです」

「大丈夫だよ。頑丈だし」

「怪我していたら嫌いになりますからね」


 僕がそういえば緋華さんは固まってしまった。家族や伊月にも効く言葉だけど、一番効くのは緋華さんだ。僕に何かあった場合は彼女が一番大げさに反応するからびっくりだ。その次は母さんで……伊月は「他の奴らを見てたら落ち着いた」と言ってきてあまり取り乱さない。


 大怪我はしたことがないから別に問題ないと思うんだけど、心配になる気持ちが分かるからなんともいえないってのがあるんだよね。仕方ないって分かってはいるんだけど、少しだけ窮屈に感じてしまうのは秘密にしておかないと。


「緋華てめぇ随分と元気じゃ……ねぇな。雨歌、何したんだ?」

「嫌いになりますよって言ったらこうなった」

「あ〜自業自得ではあるから放置して行こうか」

「えっと大丈夫なの?」

「心配ないさ。相手の心配はしないとだけどな」


 緋華さんは強いから確かにそうだろうけど、獣人同士では筋力の差とかもあるみたいだから……治安はいい国とはいえ襲ってこない奴らはいないとはいえないからなぁ。催眠術で気付かないうちにってこともあるみたいだから心配だな。そうだ!


(緋華さん、大好きですよ)

「ぶきゃぁぁぁぁぁ!!!!」

「うわ!? えっちょ緋華さん!!」

「・・・世界記録狙えんじゃねぇかなアレ」


 僕が耳元でささやいたら緋華さんが悲鳴? をあげて逃げて行った。伊月……その感想はどうかと思うよ。世界記録って言っても部門と種族を選ばないと。まぁ思ってしまう気持ちは分かるんだけどね。あれだと緋華さん、転けそうだけど大丈夫かな。


「それでなんて言ったんだよ」

「ん? 別に何か特別なこととかは言ってないよ」

「気になるから教えろ」

「ほら歩かないと置いて行くよ〜」

「いや……教えろよ」


 伊月に教えてもどうせ「俺は?」って聞いてくるし、言わなかったら「ふーん」って言いながら拗ねるから今のままで十分だよね。緋華さんも伊月も“大好き”ってのは変わらないし言っていないだけだから。



➖学校➖


 伊月と共に学校へ着いたのは良かったのだが……あまりにも広い!! 受験で受けた場所じゃないってのは知っていたけど、こんなに広いのか。二人と緋華さんはここにずっと通っているって考えるとびっくりだ。


「雨歌」

「伊月どうしたの?」

「ここは高校だが少し離れた所に小中とあるからな」

「広くないですか?」

「人工島だから当たり前だろ」


 そういえば人工島だったのをすっかり忘れてた。どのくらいあるのかは分からないけど、広い。そういえば伊月は此処に小学生の頃から通う予定だったのを蹴って普通の小学校に入っていたけど、どうしてだったんだろう。伊月と緋華さんのことを知らないところが僕は多すぎるな。


「何を考えてるのかは分からないが心配しなくていいからな」

「伊月……」

「だって俺は 親友だからな」


 そうだよね。普通に考えたら長年一緒に居てくれた訳だし信用されていないって訳ではないよね。不安にはなったけど伊月が「心配しなくていい」って言ったんだから大丈夫だよね。伊月と緋華さんは本当に僕のことを見てくれているんだやろう。だから僕もしっかりと見てあげないと。


 気合を入れてクラス表を見に行く。伊月と一緒じゃなくても大丈夫。流石に授業中に怪異に巻き込まれたことはないから問題はない。しんどいこともあるけどそれはそれとして一人で生きて行けるようにしないと二人の仲を割くわけには行けないからね。そうと決まれば友達100人作るぞぉ〜


「同じクラスみたいだな」

「えっ? 学力で分けるって話じゃなかった?」

「アホか。普通に考えてそれはないだろう」

「そうなの!」

「クラス分けは学力だけじゃなくて他の能力もあったろ。それの総合得点だよ」


 確かにあったけど受験とは関係ありませんって言われたから覚えてなかったよ。伊月が言いたいことはおそらくだけど全体的に平均レベルになるように調整してクラス分けをしたって言いたいんだろう。伊月って勉強も出来るし運動も出来るからもっと高い評価を受けていると思ったんだけど違ったのかな?


「ほら、5組に行くぞ」

「アレだよね。伊月なら1組に行けたんじゃないの?」

「・・・総合的には平均よりちょい下に調整したからな」

「なんで?」

「はぁ……クソボケ」


 なんで僕は罵倒されたのさ。伊月が気にしてないなら別にいっか。考え事をしていたら伊月に置いて行かれるから一旦やめようか。クラスに向かう為に伊月の横で歩く。伊月から頭を撫でられてムカッとはするが簡単に避けられるから我慢する。



 伊月と雑談しながら歩いていると誰かとぶつかってしまった。思いのほか勢いが強く僕は倒れそうになったが伊月が助けてくれた。流石に顔から倒れてしまうのは怪我をしてしまう恐れがあるから本当によかった。痛いのは慣れているけど、母さんが心配するから助かった。


「伊月ありがとう」

「心配するな。それよりお前、わざとか?」

「違うとも。すまなかったな」

「僕が気を付けていなかったから」

「雨歌は謝らなくてもいいからな」


 伊月が僕を抱き寄せて彼を見ないように顔を自身の体に押し付けた。僕は離れようとしているが無理だったので大人しくした。なんで僕はこんなにも非力なんだろ。筋トレしても全然筋肉が付かないし声変わりはしたけどこれも中性的だしさぁ!!


(うか。いや別人の可能性もあるか)

「で何故嘘をついた?」

(物語が変わっているってことなのか? もしかして彼は転生者?)

「・・・雨歌、クラスまで連れて行くからな。コイツは無視だ」


 伊月に抱きかかえられてクラスまで行くのだが、さっきの人は一体なんだったんだろう? 何を言っていたのかは分からないけどブツブツとないかを喋っているから少し近寄りたくないから伊月の判断には助けられたな。はぁ、何もないようにってこの前、神社でお参りしたはずなのにさぁ。くそぉ!!

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