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18話 隔離された結界の外で1

〜雨歌が隔離された結界に入る少し前の時間〜

➖中庭➖

―津堂伊月視点―


 緋華と死神娘に引き摺られたながら中庭に来たのはいいのだが……一体俺に何を聞きたくてここまで連れてきたのかは知らないが、特に言うことはないぞ。


「伊月……雨歌くんの性教育はどうなってるわけ?」

「正しい知識がないと困るのは津堂くんもですからね」


 おっと……これは言い逃れできないのがやってきたわ。バカ正直に言うと無知で居て欲しいってのがあるからなぁ。そうなことを言ったら緋華にボコられるからしないとして、どうしたものか。


 何もされない方法を考えるとなると……嘘を3割ほど混ぜた方がいいだろうな。それであればコイツらも納得してくれる筈だ。


「お前らは勘違いしている」

「は? 雨歌くんのことを勘違いしているわけないじゃん」

「違うそうじゃない。俺が教えたいんだよ」

「・・・性癖ってことね。それなら何も聞かないから」

「うわぁ」

「お前ら露骨に引くなよ!!」


 断じて俺の性癖が無知を汚すってモノではない。雨歌だからってことをわかってもらわないと困る。他の奴らが無知だったとしても「だから?」で終わるが赤の場合は……考えるのはやめておこう。


 コイツらの前でそんなことを考えていたら色々と面倒なことになるのは確実だしな。それにしてもここまで連れてく___は? 雨歌の気配が一瞬途切れた?


「・・・緋華、雨歌のスマホにGPSを仕掛けてたよな?」

「それがどうしたのよ」

「確認してみろ。絶対に何かあった」

「……伊月……雨歌くんが居ない」

「不澤くんが!? 津堂くんどうしま_」


 前回のことを踏まえてしっかりと対策は立てているのだが……どうもおかしい。雨歌に俺の妖力を混ぜ込んでいるが今回は危険が迫ると自動で護るようにしてあるし、雨歌の位置を的確に把握出来るようにしている。


 緋華が仕込んでいるGPSは反応しないが、俺の妖力は雨歌の位置を的確に把握出来ている。なら何故、GPSが反応しないのか? 簡単な話だ。結界の中にいるからそれが反応しない。


 おそらくは隔離結界だろう。範囲は分からないが雨歌があっちこっち動き回っていることを考えると校舎内……もしくはこの学園自体が結界になっている可能性もある。


「伊月……どうする?」

「助けるしかないが出入り口が分からない」

「トモくんから……不澤くんが消えたって連絡がきました」

「だろうな。教師勢は?」

「すぐに動くようにしているらしいです」


 教師勢が動くなら俺らはその指示に従う方がいいのだろうが、誰が動くかによるな。俺らの担任だけなら任せておけるが他のであれば、動いた方がいい。今回は俺が動かなくてもいいかもしれない。


 緋華の鼻はいるだろうからコイツは同行させるとして、俺はどうなのだろう? 今すぐにでも助けに行きたいが何があるか分からない訳だし、少しは待つことを選ばないとな。


「ハァハァハァ……こんな所にいたのか」

「トモくん、どうしたの?」

「クラスの古村も消えた」

「はぁあ? 雨歌くんを狙っている奴が消えたの?」

「緋華は一旦落ち着け。狗谷はゆっくりでいい状況を話してくれ」


 雨歌が一人だけならまだ良かったかもしれない。古村も一緒となるとヤバいかもしれないな。先週までは警戒していたアイツが急に視線に熱が籠っていたからな。襲われないといいのだが。



➖生徒会室➖


 副担任に呼ばれ俺、緋華……狗谷と佐藤が生徒会室に来ていた。雨歌の姉兄が居て理事長と生徒会長様もいる。古村とよく一緒にいる女がいる。そして俺らの担任副担任もいる。役者が揃っているって訳か。


・・・あと気配を消している奴がいるのか。


「俺の担当している生徒の二人がアレの中に入って行った。理事長……アンタ嘘ついたな?」

「嘘じゃない。私は始祖様に誓ってついていない」

「それなら今の状況はどう説__」

「先生……匡介(きょうすけ)を早く助けたいです」

「・・・そうだな。言い合いが最優先ではないな」


 古村のことなんて微塵も興味がないがこの女とは意見は合うな。言い合いなんて雨歌を助け終わった後にでもすればいい。


 まぁそんなことよりも知ってやがるな。どんなモノが居て何故、迷い込んだのかを全て知っているんだな? 理事長様はな。教師勢はほとんど知らないと思っていてもいいかもしれない。


 それならさっさとこの理事長様に吐かせた方がいいな。雨歌を守らないといけないから、少し乱暴しても何も悪くはないよな? 脅すくらいしかしないからいいよな。


「坊や……ダメよ? 大人しくしてないと」

「アンタは原点種ではないな。かと言って上位種でもない」

「あら一瞬で見抜くのねぇ」

「背後をとって長い爪で俺を脅す奴なんて片手で足りるくらいしかいねぇよ」

「あらぁ私がその一人なのねぇ」


 なんだコイツ、一切隠す気なんてないくせによ。それと俺の背後を取れる奴なんて此処には二人しかいないから分かるんだよ。俺が戦っても無事では済まない二人に関しては警戒するのは当たり前だろ。


 サキュバス……が居ていいのかよ。普通に考えてダメだろうが。しかも保健室の職員は…………案外一般的か。コイツらの方が身体のことを理解出来ているから案外多いのを忘れていた。


「ヴァル、何故出てきた?」

「だってその坊やが乱暴しようとしていたんですものね」

「はぁ、津堂は俺と一緒に行動してもらう」

「俺は勝手に動きます」

「ダメだ。俺が班を決めるから従え」


 ここは大人しくしておいた方がいいな。このサキュバスは妖力を可視化出来るみたいだ。誰にも感知されないようにした筈なのに反応してきた。担任が反応していなかったのを考えるに感知に長けているって思っておくべきか。


 それはそうとしてどうにか単独行動が出来ないかを探らないとな。

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