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17話 隔離された結界

➖教室(1-5)➖


 授業が始まる前にトイレに行こうと教室のドアを開けて通り抜けるとそこは……異世界でした。なんてことは現実にあると思ってなかったのに、何故現実になるのかな?


 コレなら狗谷くんについて来てもらった方が良かったじゃないか。狗谷くんから「ついて行こうか?」って言われたんだけど、僕がそれを断ったからいけないのは分かっている。


「異世界って感じがするけど……さっきまでいた学校と何も変わってないように思える」


 実際は異世界じゃなくて隔離結界ってやつなのかもしれない。それなら今置かれている状況も説明がつくし、学校の風景がそのままのも説明できる。


 確か隔離結界って術者に招かれるか、結界に付与された条件を満たせれば入れるって話だったような気がする。伊月が教えてくれたのはそんな感じのモノだった筈だから僕は、今その条件を満たしているってことかな?


 とりあえずは探索してみれば何か分かるだろうから冒険に行こう! こうゆう時は絶対に動かない方がいいって言われているけど、動かなかったら化け物に食われる可能性もあるわけだし……何よりも一人で探検に興味があったからね。


 それならやるっきゃないよね。まずは教室から調べて行った方がいいよねぇ。


「特に何かあるわけでも無さそう」


 何かあるかもって期待したけど、ただ机やイスがあるだけだ。脱出の手掛かりがある可能性もあるらしいけど、見る限りでは無さそう。これ以上長く居ると色々と危なそうだからねぇ。


 そもそも隔離結界や異空間に来たことがないから分からないけど、一体何が目的でそんなことをしてくるのかが分からないな。他に大勢を巻き込んでいるならまた話は別だろうけど、そんなことは分からないからどうしようもない。


「いや、僕一人でどうやってここから出れと?」


 僕は緋華さんみたく身体能力が高いわけではないし伊月みたく妖力や特殊な超能力があるわけでもない。ただの人間なわけだからそれをどうこう出来るわけないじゃん。


「やぁ、君も迷子なのかい?」

「・・・こんな所で会う奴は危ないから逃げる」

「いやクラスメイト!!」


 教室に居たら急に出て来た古村くんみたいな人が居たので僕は逃げた。そもそも伊月が警戒している人物なのに近づく事なんてはしない。彼は本物だったら、この状況に戸惑っている筈だ。


 なのに冷静に僕へ話しかけてくるってことは偽者ってことだろう。まぁこの空間を初めから知っているなら話は別だろうけど、それでもここは逃げた方がいいと思う。


「廊下を走らないように教わらなかったのかな? 不澤くん?」

「どうやって……」

「それは教えられないさ。さぁここから出よう」

「お断りします」


 種族は人間な筈なのにどうしても先に教室から逃げ出した僕の先回りを出来るわけ? 異種族交配が可能になってからもう何百年も経っているから人間の身体能力が上がっているのは確かだよ?


 他種族の細胞が入っているからってのはあるけど、人間の割合が多いから人間って化学的に証明されているだろうに。僕よりも早く動けるのは謎だ。


「ボクは選ばれた人間なんだ。仲良くしておいた方がいいよ」

「ハァハァ、逆方向に逃げたのに……なんで……」

「さぁ!! ボクのヒロインになってくれ!!」

「お断りします!!!!」


 伊月、緋華さん、助けてください。本気で古村くんはヤバい人間だった。もう体力なんて残ってないのに逃げないと何されるか分からないんだよね。あの瞬間移動する原理を解ければなんとかなり……


「スマホあるじゃん。コレで連絡を_圏外!?」

「君はバカなのかい? ここは隔離された世界なんだから電波がないんだよ」

「隔離された世界……出口は?」

「あるけど条件を満たないといけない筈だよ」


 もう古村くんから逃げるのはやめた。この空間から出ないかぎりは逃げることは出来ないと僕なりに判断した結果だった。それに何か知っているだろうから利用した方がいい。


 発言はキモかったこともあるけど流石にここは我慢して後で二人に慰めてもらおう。というか脱出する条件って一体何をすれば、彼を利用しなくてもいいのに。


「何をすればここから出れるんですか?」

「簡単なことだよ。ここに棲まう妖を討伐すれば出れる」

「・・・僕でも出来ることではないですか?」

「う〜ん……ないことはないけど君の好感度が上がらないからなぁ」


 好感度ってなんだよ。恋愛ゲームをしている訳じゃないんだから好感度も何もないだろ。本当に気持ちが悪いから出来れば一緒に行動したくないけど、逃げれる訳でもないから……仕方ないか。


「でもボクの覚醒イベントもまだだからなぁ」


 この人……厨二病とか呼ばれるのを患っている人だったのか。少し僕的には気持ち悪いところもありはするけど、優しくした方がいいのかな?


 伊月に相談してみてから決めよっと。緋華さんに相談を持ちかけでもしたら、「私が潰すよ?」って言うだろうから。相談は必ず伊月に行くんだよね。


「仕方ないけど、安全な方で帰ろうか」

「そうしましょう」


 普通に危険じゃない方を選んでもらって良かった。最悪の場合は二人とも死んで終わりってのだろうしね。僕はまだ生きていたいから流石にそこまでのことはしてもらいたくない。


 安全なルートがあるならそっちを選んでした方が断然いいわけだし……戻ったらしっかりとお礼を言わないと。


「今回は二人だけじゃな。さっさと喰らっておしまいじゃ」

「裏ボスの天__」

「【狐火(きつねび)】」

「古村くん!?」

「知り合いが殺されて絶望するが良い」

「いえ、全く知らない人です」

「は?」


 古村くんを吹き飛ばしたのはおそらくだけど妖だろう。さっき妖を討伐って言っていたからって理由の推測でしかないけど、なんの躊躇いもなく狐火を飛ばしてきたからそうなんだろうね。


 音もなく現れた妖から逃げるのは至難の技だろうけど、ここは逃げるしかない。古村くんが生きてるなら助けないといけないだろうしね。


「もう体力が残ってないのに」


 僕は走るしかないので走る。

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