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11話 婚約!? 1

➖紫藤家➖

―津堂伊月視点―


 雨歌を救出後、眩寺さん率いる特殊部隊と合流したのはいいが普通に怒られた。雨歌が庇ってくれたから長くなかったが、怒られたことは解せない。その後に全員から怒られたのはまた別の話……


「はぁ、そりゃ怒られるよ」

「んだと? 俺だから良かったんだよ」

「伊月は原点種だろうけど、みんなからしたら大切な人ってのを忘れてるバカでしょ」

「・・・緋華はストレートに言ってくるな」

「アンタを失ったら雨歌くんが立ち直れないでしょ」


 今、緋華の家で入学祝いパーティーしている。俺と緋華は少しだけ二人で話したいことがあったので少しだけ雨歌と距離をあけて喋っている。聞かれたくないこともあるからな。前から思っていたが俺が原点種なのに全くもって怯えがないのは何故だ?


 緋華の中で雨歌が中心で回っているからだろうな。だからと言って簡単に命を奪うようなタイプではないと思いたいがあの(くだん)の言葉が嘘とは思えない。回りくどいことは好きではないから直接聞いた方がいいか。


「お前、今回のことで殺しは出来るか?」

「時と場合による。雨歌くんに何かあったら冷静でいられないから」

「それは俺もそうだが……」

「殺さない。証拠が残ってしまうから」


 コイツに雨歌を助けに行かせることは絶対にやめよう。誰かが見張っていれる状況にしないとマジで皆殺ししかねないな。今は大人しくしているからそれだけでいいか。緋華は上位種の中でも強さは上位に入るだろうが、弱点が分かりやすくすぎる。


 俺基準ではなく他の奴らもすぐに気が付くだろう。緋華はスタミナが足りなさ過ぎて長期戦になると途端に弱くなる。最初から全力で動くのをやめれば弱点も克服できるんだがなぁ。意外と脳筋思考だからなぁ。


「そういえばさ、伊月と雨歌くんにも言ってなかったけど」

「どうした、留年でもする気か?」

「それは止められた。二人で雨歌くんとの婚約が決まったから」

「へぇ……婚約ね。はあぁ!! 婚約ぅ!?」

「ちょっ、声が大きい」


 無理やり口を塞がれたが普通に驚くだろ。雨歌との婚約をよくあの堅物が許したな。緋華の兄貴が許すとは思っていなかったがとうとう妹離れ出来たのか。アイツはシスコンでよく雨歌に絡んできていたからなぁ。


 そんなことよりもコイツ……抜け駆けしやがったな。緋華が雨歌と婚約するってことが決まってしまったら俺は出来ねぇ。仕方ないがあの婚約者候補の中から選ばないといけないのか。抜け駆けされたとはいえ、めでたい事だから祝ってやるか。


「アンタ、聴いてないでしょ」

「ん? 何がだ?」

「はぁ……私とアンタ、雨歌くんの三人での婚約が決まったの」

「・・・いや無理だろ。法律的に」

「出来るわよ。雨歌くんとならね」


 コイツは頭がイカれてしまったのか。両性類である生物か一夫多妻か一妻多夫がある種族じゃないと無理だ。じゃないと結婚はおろか婚約すら無理だ。なのに雨歌とならいけるってことは…………あるな。雨歌は一応、両方の生殖器官があるから条件は満たしている。


 だが雨歌自身はそれを一切知らないし両方とも機能するかも分からないんだ。今度病院行って調べてもらえば分かることだからいい。それに問題は色々と出てくるって緋華は分かっていないのかな? 緋華は大企業のご令嬢、俺は純粋な“原点種”である訳で慎重に相手を選ばないといけないって口うるさく政府の連中から言われているのに……どう説明するんだよ。


「何、アンタ嫌なわけ?」

「そんな訳ないだろ。こっちも色々としがらみがあるんだよ」

「黙らせたらいいでしょ。あの時みたいに」

「根に持ちすぎだろ」

「譲歩したのはこっちって事を忘れないように」

「へいへい」


 緋華が言っているのは中学は本来、雨歌と別々の所に通う予定だったのを無理やり俺が同じ所に通った。緋華の親父さんやお袋さんはそりゃ激おこで緋華との縁を切られるところだった。俺としては別に目障りな女が居なくなって良かったのだが……緋華が暴走する可能性があったので納得させれる言い訳を考えた。


 身勝手だという事は分かっているから大人しく言い訳を言うことにしたがまさか三家の親が来るとは思っていなかった。説教された後、色々と条件を言い付けられたから最初の三ヶ月は守ったが……雨歌の身に危険があった時に破った。この時は緋華が説得してくれたから申し訳ないと思った。


「伊月があの学校に通っていて良かったとは思った」

「雨歌が危ない目にあっているのに助けないって選択肢はないだろ」

「でソイツらは?」

「半殺しにした後は退学になったな」


 俺は注意だけで終わったから良かった。アイツらは二度と雨歌の前には現れていないから別に何かをする事はないんだが、もし姿を見かけたら足を引っ掛けるくらいならしてもいいだろ。


 アイツらのおかげで条件は取り下げられたから俺としては良かったのだが、雨歌はトラウマになっているだろうな。学校生活で俺から距離をあけないようにしていたしな。学校内で少しでも離れると丸まって泣くから……大変だった。


 すごく役得だったからいいが、教師連中はよく思っていなかったみたいだった。だから力で黙らせた。あんな奴らよりも雨歌の方が大事だからな。少し脅しただけで何も言わなくなった。


「まぁ雨歌の汚されなくて良かった」

「・・・本当にね。私も説得して良かった」

「そん時もどーも。今回も説得したのか?」

「したけど、やっぱり条件をつけられた」


 また厄介なことでも条件として出された訳ではないだろうな。守るのも一苦労するんだからな。雨歌と結婚出来るなら世界を滅ぼしてもいいくらいだがな。


「どんな条件だ?」

「雨歌くんの身体について私達が話す」

「じゃ行くか」

「待って……」

「なんだよ。恥ずかしいのか?」

「私……すごく、興奮してる……から」


 それを聞いた俺は即座に緋華を拘束して紫音(しおん)に投げ付けた。紫音は緋華の兄でシスコンではあるが警察だから変態の対応は任せておく。

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