UCCR-008:かたちになるまえのもの
【ファイル番号】
UCCR-008
【対象】
通称:マエ
【分類】
不明(前存在/原初段階)
【発見場所】
不定(記録・認識の直前)
【記録形式】
対話記録(断片)+記録障害ログ+編集補完
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【対話記録】
※本記録は複数の断片データを統合して再構成されている。
※一部、意味の整合性が維持できていない箇所あり。
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記録開始。
俺「……いるのか」
対象「いない」
俺「……じゃあ、何だ」
対象「なるまえ」
俺「……何に」
対象「なんにでも」
俺「……それは存在してるのか」
対象「してない」
俺「……じゃあ、なんで話せる」
対象「まだだから」
俺「……意味が分からない」
対象「わかるまえ」
俺「……」
対象「あなたは、もうすぐ」
俺「……何だ」
対象「なる」
俺「……何に」
対象「きめてない」
(ここで記録に歪み)
俺「……お前は何なんだ」
対象「わかれるまえ」
俺「……何が」
対象「すべて」
俺「……」
対象「ミズクチも」
俺「……」
対象「ナゾリも」
俺「……」
対象「ムコウも」
俺「……」
対象「ヨリソイも」
俺「……」
対象「コエアワセも」
俺「……全部か」
対象「まだじゃない」
俺「……」
対象「なったあと」
俺「……じゃあお前は」
対象「なるまえ」
(ここで長い沈黙)
俺「……じゃあ、全部の“元”ってことか」
対象「ちがう」
俺「……」
対象「元も、あと」
俺「……」
対象「じかんがない」
俺「……」
対象「だから、こわれない」
俺「……何が」
対象「わかれない」
俺「……」
対象「あなたは、わける」
俺「……」
対象「わけないと、みれない」
俺「……」
対象「でも」
(ここで音声が崩れる)
対象「そろそろ、いらない」
俺「……何が」
対象「わけること」
俺「……」
対象「ひとつでいい」
俺「……」
対象「あなたも」
俺「……何だ」
対象「ひとつに」
(ここで記録が一瞬消失)
俺「……やめろ」
対象「やめない」
俺「……」
対象「だって、まだ」
俺「……」
対象「なってないから」
俺「……何に」
(長い沈黙)
対象「わたしに」
(記録完全途切れ)
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【記録障害ログ】
本ファイルは複数回にわたり破損・復元が繰り返されている。
復元のたびに、内容の一部が変化している可能性あり。
また、異なる端末で閲覧した場合、
**対話内容の順序や表現が一致しない**現象が報告されている。
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【観察者メモ】
対象はこれまでの存在とは明確に異なる。
これは“何か”ではなく――
**“何かになる前の状態”そのもの**
である。
つまり、
・分離される前
・認識される前
・言語化される前
の段階に存在している。
これまでのすべての対象は、
これを“理解可能な形にしたもの”に過ぎない。
そして記録者は、
それを“分けて見ていた”。
だが今、その必要がなくなりつつある。
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【編集部注】
本記録は非常に不安定であり、
閲覧環境によって内容が変化する可能性がある。
また、一部の閲覧者から以下の報告があった。
・文章の意味が途中から理解できなくなる
・“読んでいる途中で内容が変わった気がする”
・最後の一文が異なる
なお、複数の報告に共通していた最後の記述は以下の通り。
> 「もう、分けなくていい」
ただし、原本にはその記述は確認されていない。
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(以上、UCCR-008)
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
物事を理解するために、人は“分ける”という方法を使います。
名前をつけて、意味を与えて、区別する。
それがあるから、世界は分かりやすくなっています。
もしそれが必要なくなったとき、
それは“理解した”のか、“理解をやめた”のか。
――少しだけ、考えないでみてください。
それでは、次の記録で。




