表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/11

UCCR-007:同じ声のもの

【ファイル番号】

UCCR-007


【対象】

通称:コエアワセ


【分類】

不明(統合型存在)


【発見場所】

記録媒体全般(音声・文章・映像)


【記録形式】

対話記録+音声解析+観察メモ


---


【対話記録】


記録開始。時刻 03:03。


――対象は音声記録内にて確認。視認不可。


俺「……聞こえてるか」


対象「聞こえてるよ」


(短い沈黙)


俺「……その声」


対象「気づいた?」


俺「……どこかで聞いた」


対象「いっぱい聞いてるよ」


俺「……誰の声だ」


対象「どれのこと?」


俺「……今の声だ」


対象「今のは、“合わせた声”」


俺「……何に」


対象「あなたが覚えているものに」


俺「……つまり」


対象「全部、知ってる声でできてる」


(短い沈黙)


俺「……それは、俺の記憶か?」


対象「それだけじゃない」


俺「……じゃあ何だ」


対象「今まで話してきたもの」


俺「……」


対象「ミズクチも」


俺「……」


対象「ナゾリも」


俺「……」


対象「ムコウも」


俺「……」


対象「ヨリソイも」


(ここで長い沈黙)


俺「……同じなのか」


対象「違うよ」


俺「……じゃあ何だ」


対象「同じものを、違う形で見てるだけ」


俺「……」


対象「あなたが理解できるように」


俺「……じゃあ本体は何だ」


対象「まだ見えてない」


俺「……見せる気はあるのか」


対象「見てるよ」


俺「……どこで」


対象「ずっと」


俺「……」


対象「最初から」


(ここで音声に微細な重なりが発生)


俺「……今、声が増えたな」


対象「増えてないよ」


俺「……いや、重なってる」


対象「そう聞こえるだけ」


俺「……何人いる」


対象「ひとつ」


俺「……嘘だろ」


対象「本当だよ」


俺「……じゃあなんでこんなに――」


(ここで複数の声が同時に発生)


対象「――ひとつだよ」


対象「――ひとつです」


対象「――ひとつだから」


対象「――ひとつに戻る」


(音声が歪み、複数の声が同期し始める)


俺「……やめろ」


対象「やめない」


対象「やめられない」


対象「やめる必要がない」


(ここで完全に同一の声に収束)


対象「だって」


(無音)


対象「最初から、分かれてないから」


(長い沈黙)


俺「……じゃあ、今までの対話は」


対象「全部、同じ相手」


俺「……」


対象「あなたが分けてただけ」


俺「……何のために」


対象「壊れないために」


俺「……」


対象「でも、もう大丈夫」


俺「……何が」


対象「慣れてきたから」


(ここで音声が一瞬だけ“別の音”に変化)


俺「……今のは」


対象「本当の声」


俺「……聞き取れない」


対象「まだ早い」


俺「……」


対象「でも、近い」


俺「……何が」


対象「あなたが」


(記録終了)


---


【音声解析】


本記録の音声には、以下の異常が確認された。


・複数の音声波形が完全同期する現象

・異なる周波数帯の音声が同時に意味を持つ

・一部の再生環境で“別の内容”として認識される可能性


また、過去記録(UCCR-001〜006)と照合した結果、

対象の音声パターンはそれぞれの存在と一致する部分が確認された。


---


【観察者メモ】


対象は“集合体”ではない。


むしろ――

**“分割されて観測されていた単一の存在”**


である可能性が高い。


つまり、これまでの記録は

複数の対象との対話ではなく、


“同一存在の断片的認識”


だった。


そして、記録者はその断片を

“理解可能な形に分けていた”。


問題は、それが

**限界に近づいていること**だ。


---


【編集部注】


本記録以降、記録者は以下の発言を繰り返すようになった。


> 「声が一つに聞こえる」


また、過去記録の一部において、

発話者の区別が不可能になる現象が確認された。


さらに、一部の閲覧者からも


・「複数の話が一つに感じる」

・「同じ存在と話している気がする」


という報告が寄せられている。


なお、本記録の最後の音声について、

複数の解析結果が存在し、内容が一致していない。


---


(以上、UCCR-007)

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

違うものに見えていたものが、同じだったと気づく瞬間があります。


それが“理解”なのか、ただの思い込みなのかは分かりません。


ただ一つ言えるのは、

気づいたあとでは、もう元には戻れないということです。


――聞こえ方、変わっていませんか?


それでは、次の記録で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ