第17話 死ぬ事すら許されぬ死神の束縛
「残念ですが契約は完了しました。貴方の魂はもう私のものです」
目の前に居る男に死神は手を翳す。
男から死神は一体どう見ているのかは分からない。
だが出した手が見ていないのかガタガタ震えながら命乞いをする男。
死神との契約で30年生きてきてなんの希望も無い人生に30日だけのチート人生を与えた死神は最初の契約どおり魂を回収しに来ていたのだ。
「俺は本来ならもっと上手く生きれたんだ・・・だから・・・」
「駄目ですよ、契約した時に約束した通りです。貴方は残りの人生全てを30日間の幸せな日々に変えたのですから」
「ぐ・・・うぅっ?!」
小さな呻き声を出して男は心臓を抑えながらその場に倒れる。
体がピクリとも動かない様子から男が息絶えたのが直ぐに分かった死神は男の体からゆっくりと出てくる魂を手にしていた水晶に取り込む。
これが死神の仕事である、対価は魂と言う悪魔の様なやり方であるが決定的に違うのは死神は約束だけは違えないと言うこと。
「さて、それでは次の契約者を・・・っと何事ですかね?」
死神が次の契約者の魂の回収に向かおうとした時に死神のセンサーに反応があった。
それは死神が契約者に能力を授けた時に使っている契約者が危険な状態に陥った時に知らせるものである。
もしも契約者が自殺をしたのであればその時点で魂は回収されるがその魂自体を別の者が回収したりする可能性を考えてその場に死神が居なければならないのである。
「これは・・・まさか?!」
センサーの出所を感知した死神は急いでその場所へ向かう。
闇の中を移動して死神は世界を渡ってその場所へ降り立った。
「う・・・ぁぁ・・・」
「失せなさい!」
熊の様な獣が口に咥えていた少女をその場に吐き出し走って逃げていく・・・
地面に落ちたのはティナであった。
「全く、貴女はお気に入りなのですから勝手に死なれたら困るんですよ」
そう言って闇の塊であった死神は人型に形を変えて具現化する。
青い瞳と真っ黒の瞳のオッドアイの青年に姿を変えた死神は倒れて死にそうになっているティナに手を翳す。
「全く、治療関係に至っては苦手分野なのですよ私は・・・こうして肉体を持たないと使えないのもありますからね」
愚痴を言いながらもティナの体に出来た傷を癒していく死神・・・
そして、死神はティナが不思議な表情を浮かべているのに気付き嬉しそうに声を掛ける。
「フフフッ不思議ですか?貴女は死なせませんよ、人が死ぬ時に死んでから自然に魂が抜けるまで少し猶予がありますからね。その間にこうして治してあげますよ」
自殺することすら認めない、お前は私の為に働くのだ。
死神は遠まわしにそう伝える。
だが何かを考え込みながら聞いているティナがあまり動揺していないのがあまり気に入らなかったのか死神は直ぐに黒い闇に戻りその場を去る。
ティナの態度が違和感ありすぎたのだが長い間闇の中に居たせいだと考えて死神は元の世界へ戻る。
「そうか・・・これなら・・・」
ティナの最後の呟きは死神には届かなかった・・・




