第16話 死神の仕事とティナ
人間が認知できない世界にそれは居た。
一つの世界を死の渦で満たしたそいつは闇の中を進みながら困惑する・・・
「まだこんなに世界があるのですが・・・」
溜め息を吐きながら一つの世界の事を考える・・・
そいつはその世界が終わる日が分かるのだ。
「これは困りましたね」
明らかに手が足りない、平行で複数の世界を見るのは明らかに無理をしている状況になるのは分かっている。
口から出たそんな呟きに闇の中だというのに返事が返って来た。
「だれ?誰でもいい、私とお話ししてくれる?」
その声を聞いてそいつは思い出す。
そう言えばこの娘はお気に入りの・・・ならもしかしたら使えるか?確か記憶を忘れるように・・・
「おや?私の声が聞こえてしまいましたか、それはそうとお名前は何と言うのですか?」
そいつは気さくに何気なく話しかける、そして彼女が気付かないのを良い事に自らが死神だと言う事を隠して神と名乗る・・・
そして上手く誘導をしてその少女、ティナに自らの仕事を手伝わす様に仕向けた。
「魂の回収ですか?」
「えぇ、貴女の願いである『世界を変える』と言う事も出来ます」
さり気なくティナの意思を尊重する事を会話に入れて誘導を進める死神は内心嬉しそうに微笑んでいた。
「ですが一つだけ、ティナには貴女が望む特殊な力を与えますがあなたの手で人を殺しては駄目です」
「えっ?」
そう、その世界での魂は輪廻をその世界の中でしか繰り返さない。
それを世界の外へ持ち出すには外の存在の干渉が必要なのである。
「分かりました。それでは私はこんな能力が欲しいです・・・」
「ダブル・・・ですか?」
「はい、私の作り出したもう1人の私を見せれる能力が欲しいです」
「・・・ふふふ、面白い。本当に貴女は面白いですね」
死神は嬉しそうにティナに力を与える。
そして、死神はティナに他人を直接殺しはしないように釘を刺し世界の終了の日を伝える。
世界が終わるその日までにティナが干渉して死んだ魂は世界を飛び出し死神の持つ魂の宝玉へ入る。
新たなる世界が誕生する時にその魂をその世界に放つ事で新しい世界をスムーズに完成させる為に必要な仕事なのである。
「でも・・・人を殺すなんて・・・」
「これは救済なのです。世界が終わる時にその世界に残っている者は魂だけの存在であろうがどんなモノでも全て世界と共に消滅します」
「・・・分かった」
ティナは死神の言葉に了承し死神の力によってその世界へ飛ばされる。
世界が滅亡するまで残り100日のその世界へ・・・
「期待していますよ、出来るだけ沢山の優れた魂に期待しています」
ティナに最後の言葉を送った後、死神も闇の中へ溶ける様に消える・・・
ティナが上手くこの仕事を終えたら自分の部下として働かせれば自分の仕事のノルマが半分になると期待している死神の笑い声が闇の中に響くのであった。




