第13話 ブラン、ヨハンと再開する
あの日からブランは犯罪者を使って10本以上の魔の武具を作り上げていた。
その評価は高くブランはかなり優遇され給金も改善されていた。
女性の命と引き換えに1つの魔の武具を作り出すのも当初は抵抗があったが回数を重ねる毎にそれにも慣れてきていた。
そして、ブランは気付かなかった。
元々死刑にされる程の犯罪を犯した女性がそれ程多く居るわけではない事実に・・・
ブランは気付かない内に犯罪者だけに限らずに誘拐された者や奴隷を使って魔の武具を作らさせられていたことを・・・
そして、それを偶然知ったブランは既に後戻りが出来なくなっていた。
「ブランよ、これも人族が魔人族に勝つ為の必要な事なのだ。あまり思いつめるなよ」
「・・・はい、大丈夫・・・です・・・」
考えてはいけない、そう自身に言い聞かせブランは今日も魔の武具を作っていた。
そんなブランの知らない所で事件は起こっていた。
「申し上げます。魔人族にアニガンに続きプロメタの町が落ちました」
王へ入った報告にその場に居た誰もが苦い顔をする。
それはそうだろう、この2つの町が無くなったと言う事は人族に残されたのはこのリムルダールのみとなったという事である。
しかし、彼等にはブランが作っている魔の武具が在った。
これが在れば反撃の狼煙を上げる事が出来る、だがそれにはまだまだ本数が足りないのが問題であった。
「魔の武具の生産状況は?」
「現在18本です」
「足りんな・・・せめて300は欲しい所だ・・・」
1日にブランが作り出せるのは3本が限度であった。
その為ブランから作り方を聞き出し他の者を使って生産ペースを上げようという試みは行なわれていたが上手く行っていなかった。
それは仕方ないだろう、ブランが持っているメモにしても本人にしか分からない様に暗号化されたメモであり、作っている所は開示されていなかったのだ。
「何とか見て覚える事は出来ないのか?」
「それにしても300人近い生贄が必要ですが・・・」
「300人もの女性の命と引き換えか・・・」
このリムルダールの町の住人は約1000人、その内女性は約400人しか居ないのだ。
それも子供から年寄りまでを含めた人数である、生贄に使ってしまってはその後人族が滅びるのは時間の問題となる事は明白であった。
「大臣、何か良い案は無いか?」
「そうですな・・・一つ方法があります」
「ほぅ、申してみよ」
「はい、アニガンとプロメタの町から脱出しここリムルダールに非難してきた避難民を使うのはどうでしょうか?」
「ふむ・・・男は兵士として女は武具に使ってしまうわけか、確かに2つの町の避難民の人数を養う食料問題も解決しますな」
「良かろう、その案を採用しよう!」
こうして誰にも知らされないリムルダール史上最大の悲劇が始まる・・・
「ブラン、魔人族により脳死となった者の肉体が大量に集まったぞ。お前の負担を減らす為にも今日は作り方を学ばせてくれ」
「えっ・・・本当ですか?」
ブランにとっても人の命を毎日奪いながら魔の武具を作り続けているのは気が狂いそうになりつつあったのだ。
それを別の誰かが行なってくれる、つまり自分の手を汚す事が減る・・・
それだけが頭にあったブランはその女性の体が何処から来たのか考える事をしなかった。
そして、その日最初に寝かされていた女性の体にいつも通り魔草を塗った剣を突き立てる。
人の死を間近で見続けるのは精神衛生上宜しくないと女性の顔に布が掛けられていたのでブランは自分が誰に剣を突き立てたのか気付かなかった。
「ヴッ・・・」
小さな呻き声と共にいつも通り作業が終わり3時間そのまま置いておく為に部屋を出るブラン。
そして、一息付こうと休憩所で休んでいる時にそれは聞こえた。
「聞いたか、アニガンとプロメタが魔人族に滅ぼされたらしい」
「本当なのか?!このリムルダールに居る兵士の中にはそこ出身の者も多数居るはずだろ?」
「あぁ、だから情報開示する事で反撃の士気を上げるつもりなのだろう」
「なるほど、今上が行なっている魔人族への対抗手段の噂も真実味が増してきたな」
「あぁ、それに二つの町の生き残りもこの町に来ているらしいから兵士不足もこれで解消されるかもな」
「ラストハルマゲドンは近いと言うわけか・・・」
ブランは耳を疑った。
プロメタの町が魔人族に滅ぼされた?
両親や知り合いが被害にあった・・・
そして、ブランは今朝の上司の言葉を思い出す・・・
「魔人族により脳死となった者の肉体が大量に集まったぞ」
まさか・・・まさか・・・まさか・・・まさか・・・まさか・・・
ブランは踵を返して先程の部屋に戻る。
そこにはブランが使っていた魔草を研究している者が数名居りブランが戻ってきたのに気付いて話しかけてくる。
だがブランはそれを無視して魔剣に命を吸わせている女性の顔に掛かった布を取った。
「そんな・・・そ、そんな・・・ふ・・・フローラ・・・」
それはブランも良く知る女性であった。
ブランの弟の様な存在であるヨハンという青年の婚約者でブランとも子供の頃からの知り合いだ。
後ろで研究者達が何かを話しかけているがブランの耳には届かなかった。
そして、自分の両手を見詰める・・・
既に真っ赤に人の血で染まったその両手が見えるブランはその時壊れた・・・
「そうだな・・・俺は何も知らない・・・何もしていないんだ・・・」
現実逃避、それが彼の選んだ選択肢であった。
そして、ブランはその場に居た研究者達に魔の武具の作り方を詳しく教え自分は魔の武具の作り方を知らないと自己暗示を掛けた。
彼は完成したそのフローラの命の宿った魔剣を自室に仕舞い込み城から出て空を眺める・・・
記憶を自ら改ざんし始めたブランにとってもこの気分転換は非常に効果的であった。
先程まで真っ青だったブランの顔色はかなりマシになり一呼吸した所で城の休憩所が騒がしくなっているのに気付き立ち上がった。
「何事だ?」
「あっブランさん、この新人がどうやらプロメタの町出身の様で魔人族に滅ぼされたと聞いて意識を失いました」
「ん?こいつは・・・ヨハン?!」
その時ブランの脳内に激痛が走る。
思い出してはいけない何かを思い出しそうになったブランであったが頭を振ってそれを忘却しヨハンの肩を自身に回す。
「誰か医務室まで運ぶのを手伝ってくれ」
「あっ俺一緒に行きます」
そうしてブランはヨハンを医務室まで運ぶのであった・・・
切るポイント見失って気付いたら2話分くらいの長さになってしまったwww
書いててもっと書きたくなったから仕方ないよねwww




