第12話 ブラン、魔の武具を作成する
「ふむ・・・持ち主の命を吸って切れ味を増す魔の武具か・・・」
リムルダールの町へ戻ったブランは隊の上司に実家に眠っていた魔の武具の存在を見付けたと伝えた。
しかし、その武具の作り方がとんでもなく酷い物だったので報告するか戻るまでに悩んでいた。
実際に魔の武具が在ればこの戦況を逆転出来る可能性を秘めているのは確かだ。
その理由がこの数年の戦争結果にあった。
人族は防衛に手一杯な状況で反撃をした所で魔人貴族の一人も殺す事が出来ていなかったのだ。
戦況は平行線を辿っていたとしてもこちらだけ被害が出ている状況では崩れるのは時間の問題である。
そして、ブランは考えた・・・
「この魔の武具の作成に必要なモノがこちらになります・・・」
「なっ・・・正気か貴様?」
「はい、それでどうでしょう・・・」
「ふむ・・・一度上に掛け合ってみよう」
ブランの出したプランは直ぐに国のトップに報告され翌日にはその結果が降りてきた。
ブランはその結果が出るのが早過ぎる事から戦況が聞いていたよりも悪いと言うのを理解した。
そして、試験的に作られる最初の一本を作る事を命じられたのであった。
「それでは始めろ」
「はい・・・」
牢屋の中の台に寝かされた一人の女性。
彼女はその体を売り油断した相手を殺して金品を盗んでいた犯罪者であった。
そして、前に立つブランは魔草を調合し準備を勧める・・・
「それでは始めます」
ブランは魔草を調合した物を武器に塗りその刃を寝かされた女性の胸の上に宛がった。
そして、その剣を女性の心臓へ突き立てた!
「ぶふっ?!」
一瞬意識を取り戻した女性であったが剣に塗られた魔草の効果で体内から麻薬に犯された様に直ぐに意識を失った。
そして、ブランは両手を合わせて祈りを捧げる。
魔の武具作成に必要な行為ではなかったがその命を使う事への謝罪が含まれていたのだろう・・・
少しして女性は眠るようにその命を散らせた・・・
「終わりました。後はこのまま3時間ほど誰にも触らせ無いで下さい」
そう言ってブランは体が震えるのを隠しながら部屋を後にする。
自分がその手で人の命を奪ったと言う現実が彼に重くのしかかる。
だがこれが人族の未来の為と割り切ってブランは横になり仮眠を取るのであった。
3時間が経過してブランは起こされ再び牢屋へ戻る、そこには3時間前と同じ状態のまま寝かされた女性の胸に立てられたままの武器が在った。
唯一違うのは武具が女性の命を吸ったのか黒く変色していた事であろう。
ブランは再び別の魔草を調合する・・・それを手に塗りその上から手袋をしてその武具を抜き取る。
まるで眠るように死んでいる女性から抜き取られた武具はそのまま手にすると持ち主の命を吸い取ってしまう為の対処法であった。
そして、それを同じく魔草を調合した物を塗った鞘へと仕舞う。
「おおっ出来たか?!」
「はい、こちらになります」
そう言ってブランは上司へその武具を献上する。
この後ブランは倒れるように眠りその後の事は分からない・・・
だがきっと誰かが実験台となりその武具を使用させられたのであろう。
そして・・・その日からブランは魔の武具作成専属となり、特殊な地位を得たのであった。
今週は早出の週となりますので更新頻度下がると思います。
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