表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

150/158

145『上層階の魔石』

白く滑らかな大理石でできているルーシェル像の魔力は相当なものだった。

炎と電撃をまとっている両手の周囲の空間が……歪んでいる。


ボォォォォウッ! 攻撃魔法がきた。


しかしルーシェル像は右手の火炎魔法しか使ってこない。それはまるで左手の雷撃を温存しているかのようだった。

俺たちを守っているドームに炎が当たる。その烈火のあまりの激しさは目が開けていられないほどだ。



「マズいな、あいつはこの魔法防御の特性を学習してる。火炎攻撃が終わってドームが割れたら、左手から稲妻攻撃をするつもりだ!」 


「ユウト様の闇魔法はまだ時間がかかりますでしょうか?」


「発動はできる。もう少し腕に魔力を溜めたいけど……そんなこと言ってられないか」



火炎魔法の攻撃が終わり、ドームがガラスのようにパリンと砕け散った。

その瞬間に、俺は魔法を発動させた。



「──《天蝕む虚無の柱(イクリプス・ヴォイド)》!!」



天井の虚空が裂け、闇の光が柱となって落ちる。

完全な闇がルーシェル像を包んだ。


さあ、どうだ? あの魔力で倒せるか?




音もなく、静かに────徐々に闇が薄くなってきた。



ルーシェル像は……腕、腰、脚にヒビが入っていたが、まだ立っていた。

そして左手は放電したままだ。


倒せてない! 攻撃がくるぞ! 避けないと!


と、その直後。

俺の背後から飛んできた氷魔法の矢と爆裂火球がルーシェル像に当たった。


ルーシェル像はヒビが入っていた箇所から折れるようにして床に崩れ落ちると、バラバラに散らばった。



「亀裂が入ってたおかげで、私と真希さんの魔法が効いたみたいね」


「ナイス、雪奈。危ないところだった」



ルーシェルは雪奈と真希に礼を言ってから、嬉しそうに俺の顔を見てきた。



「……これでもうあの石像が誰かに見られることもなくなりました」


「だけどさ、ルーシェル。ダンジョンは世界中にあるわけでさ……」


「え? はい」


「さっきの像があるダンジョン上層階は、きっと他にも存在すると思うぞ」


「ユ……ユウト様! 世界中の私の石像を壊して回りましょう!」


「いやいや……そんなの無理だって……」



ルーシェル像を倒しても、期待していたアイテムボックスの出現はなかった。床に白い破片が散らばっているだけだ。

石像系モンスターは倒されても他のモンスターのように霧状になって消えない。


しばらくして石像の破片を見に行った真希が、手に何かを乗せて戻ってきた。

それは赤色の四角いキューブだった。



「ユウト……魔石があったわ」


「魔石? それ、魔石なのか?」


「普通の魔石は紫色だけど、これは赤っぽくて中に炎のようなゆらめきが見えるレア魔石……非常に高価なものよ」


「下層階の魔石って石ころっぽいけど、こいつは結晶体って感じなんだな」



ランダムなドロップアイテムとして手に入るのか、あるいは魔力が極端に強い敵を倒すと手に入るのかは今後の攻略で判明していくだろうが……。


上層階にも魔石があるのがわかったのは、今回の大きな収穫だった。



「こんな形でユウト様に見られてしまうなんて……そもそも男性に見られたことなどないですし、恥ずかしいです」


「なるべく見ないようにしてたから気にする必要ないよ、もう完全に忘れたし」


「それを聞いてほっとしました。私は、その……幼児体型といいますか……あまり出るとこも出ていないので、人様にお見せできないような身体なので……」


「いやいや、そんなことなかったって! 腰のラインとか太ももとかすごく綺麗だったし、なんというか慎ましい感じがむしろ全てが“ちょうどいい”っていうか……」


「やっぱりしっかり見てるじゃないですかー! しっかり覚えてるじゃないですかー! わぁぁぁ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ