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104『神威連合』

そのニュースは月曜日の早朝に飛び込んできた。



────神威連合が富士山ダンジョン(山梨)最下層到達&レアアイテム回収。



代表の東宮華山ひがしみやかざんは報道を集めて記者会見を行い、Kドライブ106で大型モンスターを倒している念写画像を公開した。


Kドライブ106の実物を報道陣に見せる東宮華山ひがしみやかざんは自信に満ちた口調で、これまで不可能だと言われてきたダンジョン内で使用できる銃器・Kドライブ106の革新性をアピールしていた。


俺はふらっと家から出て散歩をしていたが、足は自然と西新宿の方へ向かっていた。


AチームもBチームも疲労がたまっていたのでギルドメンバーには数日間の休暇を与えていたが、もしかしたら真希がいるんじゃないかと思ってオフィスを覗くと、やはり真希がいた。



「やっぱいたのか……」


「家にいても退屈だし、それにあなたが来ると思ったからお弁当持ってきたのよ」


「え……そうなの? じゃあお互いが来ると思ってたわけか……」



真希はPCでニュースサイトのコメントをチェックしていた。



「私たちがニューヨークダンジョンに行ってる間に彼らは潜っていたみたいね」


「富士山ダンジョンは俺たちで制覇したかったから残念だけど……でもさ、世間の注目が神威連合に向いてくれるのは助かるよな。正直、マスコミがあんなに恐ろしいとは思わなかったよ……俺なんて小学校の卒業文集まで晒されたんだぜ……」


「まだ私たちは注目されてるわよ、下手したら前よりも」


「……へっ?」 


「神威連合と西新宿ギルドがネットでライバル関係にされてるの。国内1位と2位だし、神威連合の代表の東宮華山ひがしみやかざんは正義のヒーローっぽいから光と闇の対決って構図にしやすいみたい」


「どうせまた「神威連合など余の呪いで従属させるまでだ」とか俺が言ってないことが言ったことにされるんだろうな」


「ちなみに話題の中心はKドライブ106についてみたい」


「最下層到達ってニュースは時々あるけど、兵器を開発して持ち込むってニュースははじめてだもんな。しかも魔石をレーザーのように発射するんだから、インパクトは絶大だ」



魔石はこの世界では、核に代わるクリーンなエネルギー源として、さらには量子コンピューターへの応用素材としても高い価値を持っている。


異世界では主に、高価な宝飾品として価値があった。


面白いのは異世界ではこっちの世界よりも魔石が希少な存在だということだ。

ダンジョンが出現したおかげで、こっちの世界の方が魔石の流通量が多かった。



「だけど魔石を消費しまくる兵器でよく採算が取れるよな。どんな方法で運用してるんだろうか」


「本人に聞いてみれば?」



真希が顔を向けた先には────東宮華山ひがしみやかざんがいた。



三人の男を従えてオフィスの入り口付近に立つ東宮華山はダンジョンで会った時やニュースで見た時は仮面をかぶっていたが、いまはスーツにサングラス姿だった。


東宮華山は部下はその場所に留めさせ、ひとりだけでこっちに歩いてきた。俺は椅子から立ち上がった。



「ニューヨークダンジョンの快挙、おめでとうございます」


「どうも。そちらも富士山ダンジョンおめでとう……それで、今日は何のご用ですか? まさかお祝いの言葉を伝えにきたってわけじゃないでしょう」


「ふふ……もちろんです」



東宮華山はサングラスをクイっと指で押し上げた。



「単刀直入に申し上げます」



その口調は高圧的な態度でも、傲慢な態度でもなく、実に紳士的だった。



「西新宿ギルドさんに──我ら神威連合に加わっていただきたいのです」

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