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第6話:JUSCOが売られた日。ジャンク街を襲う買収の影

上層世界「カイゼル・シェル」の脅迫は、瞬く間に地下街のパワーバランスを激変させた。

JUSCOの1階、かつて催事場だった広場に、地下街を牛耳るジャンク商人の幹部どもが集まっていた。彼らの視線は、俺ではなく、おびえるJUSCOへと向けられている。

「おい、JUSCO。お前がその『鉄のたまご』を隠してるんだろ?」

「上層の軍隊を敵に回せるかよ。おい娘、そのたまごをこっちに渡せ。上層に差し出せば、この街のJUSCOの土地権利ごと、莫大なジャンクで買い取ってくれるって話だ!」

ふむ。買収、か。

この薄汚れた大人どもは、目先の電子マネーと引き換えに、自分たちの街の象徴であるJUSCOと、俺という至高のテクノロジーを売り払う算段らしい。実に浅薄な損得勘定だ。

「だ、ダメ! ゼロは私の家族なの! 絶対に渡さない!」

JUSCOは俺を庇うように、細い両腕を広げて商人たちを睨みつけた。その身体が微かに震えているのを、俺のセンサーは見逃さない。

「うるせえ! ガキが調子に乗るな!」

商人の一人がしびれを切らし、JUSCOの腕を掴もうと手を出した。

「そこまでにしてもらおうか」

俺はJUSCOの足元から一歩前へ出た。

同時に、俺のコアから指向性の高周波電磁パルス(EMP)を微量に放射する。

ビシィィィン!と空気が鳴り、商人たちが持っていた通信端末や、護衛のサイボーグたちの義手が一斉にショートして火花を散らした。

「ぎゃあああ!? な、なんだ、何が起きた!?」

「勘違いするな、ジャンクの群れよ」

俺はブリキの短い右手を向け、冷徹に電子音を響かせた。

「このJUSCO(街)も、この俺も、貴様らのような低級なパーツの集合体に値踏みされる筋合いはない。売られたいというのなら、まずは貴様らの命の価値から査定してやろうか?」

二頭身のたまご型MSから放たれる、圧倒的なプレッシャー。商人たちは腰を抜かし、互いを踏みつけながら脱兎のごとく逃げ去っていった。

「ゼロ……ありがとう……」

へたり込むJUSCO。だが、俺は知っていた。商人どもがダメなら、上層世界の軍隊が直接、力づくでこの場所を強奪しに来ることを。そのタイムリミットは、すでに100秒を切っている。

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