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第30話:鉄の絆、そして大穴の向こうへ

上層世界への「反攻」。

俺が口にしたその演算予測は、ガレージの静寂の中に重く沈殿した。

「……あの穴を登るってこと? カイゼル・シェルの本拠地へ、こちらから殴り込みをかけるのね」

レイラが腕を組み、天井の大穴を凝視する。その瞳には、恐怖ではなく、自警団のリーダーとしての覚悟が宿っていた。

「うん。いつまでもここで怯えて待っているわけにはいかないよ」

JUSCOが棚のスパナをしっかりと握りしめ、前を向く。

「これ以上、私たちの街や、おじさんたちの日常を荒らさせない。そのためなら、私、ゼロの新しい兵装だって、何だって作ってみせる!」

「僕も行くよ、JUSCO。僕のこの左脚と長銃ライフルは、あんたたちを守るためにあるんだ」

ルカが静かに、だが鋼のように硬い決意を言葉に乗せた。

ふむ。個体としての戦闘力は未知数だが、彼らの精神エネルギー(モチベーション)の同調率は、俺の予想値を遥かに上回っている。

「ならば決定だな。JUSCO、ルカ、レイラ。これより我がチームは『上層残党の完全無力化』を最終タスクに設定する」

俺――「ゼロ」は、魔力炉ジェネレーターを低く唸らせ、蒼き機体を駆動させた。

かつては、JUSCOに拾われたチープなたまご型のロボットだった。ただ彼女の隣にいるためだけに戦っていた。だが今の俺には、守るべき隣人が、背中を預けられる仲間(家族)がいる。

「ルカ、レイラ、トンプソンおじさん、みんなの日常を、絶対に壊させやしない」

JUSCOが俺の蒼い装甲にそっと手を触れる。その温もりが、俺の全回路へ最高のドライブをかける。

――ここに、地下街の防衛戦を描いた第2章「鉄屑の隣人と黒蜘蛛編」は堂々の完結を迎える。

自警団のレイラ、そして若き狙撃手ルカという心強い仲間を巻き込み、ジャンク街の絆は強固なものとなった。

しかし、世界の天井に開いた大穴の向こうでは、カイゼル・シェル暫定評議会の次なる巨影が、すでにその牙を研ぎ澄ませていた。

青白いバースト・オーラを纏い、ゼロたちは次なるステージへ。次から【第3章・上層世界逆襲編】になります。

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