第21話:リサイクル不可。蒼き鉄拳とギルドの終焉
全方位から肉薄するギルドの改造重機十数機。
超重量の鉄塊が泥を跳ね上げ、唸りを上げて俺の蒼き装甲へと殺到する。だが、俺のメインモニターに映る彼らの軌道は、まるで停止しているかのように緩慢だった。
「片腹痛いな。現行のOSを少し弄った程度の重機で、この俺のフレームを軋ませることもできんぞ」
ドガァァァン!!
突進してきた一機の大型ショベルに対し、俺はただ蒼い右拳を突き出した。
拳とショベルが激突した瞬間、凄まじい衝撃波が走り、敵機のショベルアームがジャバラのようにねじ切れた。そのまま拳の慣性は死なず、敵のコックピットブロックを寸前で捉え、その衝撃だけで機体後部のエンジンを爆破・大破させる。
『ひ、ひぃっ!? 腕で……ただの素手で、うちの最高硬度装甲を砕きやがった!』
「次だ」
俺は背部の大型バーニアを一瞬だけ逆噴射させ、超高速の横スライド(サイドステップ)を敢行した。残像を残して消えた俺の姿を、残りの重機どもは見失う。
「どこを見ている。貴様らの死角は、すでに俺の演算内だ」
ギィィィン!!
俺の蒼い全身の隙間から、青白い光の粒子が放射状に放たれた。それは不可視の『指向性重力波』となり、周囲にいた五機の重機をまとめて地面へと叩きつける。メキメキと音を立てて、ギルドの重機どもは自らの自重に耐えかね、大理石の床を踏み抜くように泥の中へと沈没していった。
「ば、化け物め……! 撤退だ! 全機、西のブロックへ引けぇ!」
完全に戦意を喪失したギルドの隊長機が、黒煙を上げながら這う失意のままに逃走を謀る。
「逃がすと思うか。我が居住区の防壁を破壊した分の『弁償代』、まだ貰っていないのでな」
俺は右手を静かに天へと掲げた。
指先から放たれた蒼いハッキング電波が、逃走するギルド全機の制御システムへ瞬時に割り込む。
「システム・強制自爆」
ピポパポパパパ……。
『な、なんだ!? 制御レバーが勝手に……! 炉の圧力が上昇している、止まれ、止まってくれぇぇ!!』
ドォォォン!!! ドォォォン!!!
境界線の荒野に、いくつもの美しい炎の華が咲き誇る。
鉄屑同盟の自慢の重機群は、主の悲鳴とともに、文字通りの『クズ鉄』へと還っていった。
静寂が戻った荒野。
呆然と立ち尽くすレイラと自警団の面々の前で、俺は蒼い四肢の泥を払い、冷徹に電子音を響かせた。
「防犯活動、終了だ。……さて、レイラ。これだけの鉄屑があれば、我が家の冬の防寒壁の材料としては十分すぎるな?」




