第13話:蒼き流星の降臨
進化を遂げた俺の蒼き機体から、パチパチと青白い光の粒子が吹き荒れる。
背部へと増設された巨大なバーニアユニットが、臨界に達したコアの出力を受けてキィィィンと高周波の駆動音を奏でた。
「ふむ。大気圏突破とまではいかぬが、世界の天井をブチ抜く程度、この蒼の推力を以てすれば造作もないな」
俺は地面を強く踏み締めた。
ドォォォン!!
爆音一閃。
質量をもぎ取るような凄まじい加速が、俺のフレームを襲う。二頭身だった頃の鈍重さは見る影もない。俺は一筋の蒼い流星と化し、重力を置き去りにして、煙の立ち込める地下街の空へと急上昇を開始した。
眼下では、炎上するJUSCOの建物がみるみるうちに小さくなっていく。
『警告。上空よりカイゼル・シェル所属、防空自動砲台群の接近を感知――』
メインモニターに、上層世界の底面にびっしりと配置された迎撃レーザー砲の群れが赤く点滅する。侵入者を文字通り灰にするための絶対防空圏だ。
「片腹痛いな。その程度の原始的な光で、この俺の蒼い盾を焼けると思っているのか」
何百というレーザーの雨が、一斉に俺の機体へと収束する。
だが、俺は避けることすらしない。
ジィィィン!!と、激しいエネルギーの干渉音が鳴り響く。しかし、俺の蒼鉛装甲は、浴びせられた熱量をそのまま己のエネルギーへと変換・吸収していった。旧文明の結晶たるこの鋼に、現行の兵器など傷一つ付けることは不可能なのだ。
「そこを退け」
俺は加速をさらに一段階引き上げ、防空砲台の密集地帯へと正面から突っ込んだ。
ドガガガガガガガッ!!
衝突音ではない。俺の機体自体が圧倒的な破壊の質量となり、迎撃陣地を文字通り「粉砕」しながら突き進む。鉄屑の破片が四方に飛び散り、世界の天井――上層世界の床に、巨大な風穴が空いた。
光を遮っていた岩盤を突き抜けた瞬間、視界が一気に開ける。
そこに広がっていたのは、地下の薄暗がりとは無縁の、人工の太陽に照らされた白銀の超近代都市――上層世界「カイゼル・シェル」の本拠地だった。
「待たせたな、JUSCO。お客様(俺)の御到着だ」
蒼きモビルスーツは白銀の街を見下ろし、冷徹な電子音を全域に響かせた。




