第14話:白銀の迷宮と招かれざる客
上層世界「カイゼル・シェル」の街並みは、反吐が出るほどに整然としていた。
地下のJUSCO(我が家)を焼き尽くした張本人どもが、白銀に輝く高層ビルの狭間で、人工太陽の光を浴びて優雅にのたうち回っている。実に見事なディストピアだ。
ドォォォン!!と、俺の蒼き機体が中央広場へ着地すると、大理石の床がクモの巣状に砕け散った。
『な、なんだあの青い機体は!?』
『防空陣地を単機で突破してきただと!? 迎撃部隊、何をしている!』
白銀の装甲を纏った上層の警備MSどもが、血相を変えて四方から群がってくる。その数、およそ二十。手にした高周波ブレードが、眩い光を放ちながら俺の死角を狙う。
「ふむ。数が揃えば少しは骨があると思ったが、揃いも揃って規格化されたデッドコピーばかりだな。個人の意志というパーツがまるで見当たらん」
俺は一歩も動かず、網膜のハッキングOSを起動した。
二頭身の頃とは違う。蒼き覚醒を遂げた今の俺の演算速度は、彼らのメインサーバーすら一瞬で丸裸にする。
「システム・ドミナシオン(全機強制停止)」
ピポパパパパパパパパパパパーーーッ!!!
俺の機体から放たれた蒼い電磁の波動が、広場全体を包み込む。
襲いかかってきていた二十機の警備MSは、ブレードを振り上げた姿勢のまま、ギチィッ!と完全にフリーズした。OSの根幹データを直接書き換えられ、自律駆動システムが拒絶反応を起こしたのだ。
『な、何が起きた……!? 動かん、モニターが真っ青だ!』
「騒ぐな、鉄屑ども。貴様らの相手をしている暇はない」
俺は動かぬ警備MSの間を悠然と通り抜け、広場の奥にそびえ立つ「中央研究タワー」を見上げた。俺の超高性能スキャナーは、その最上階のさらに奥、厳重に隔離された研究室の中に、微かな、しかし愛おしいJUSCOの生体コードを確かに捉えていた。
待ってろ、JUSCO。
その白銀の檻ごと、俺の蒼い拳で粉砕してやる。




