◆ あれ?私、落ちている?
深い。
深い森の中。オサーム王国から、少し厚手の服を用意されて着込んできたのに…… それでも足元から、深々と寒気が襲う。
この瘴気……
この濃霧……
そして最近、嗅いだばかりの異臭……
今までで、一番やばい感が……
私は昨日の今日で、頭の中に悪い考えが浮かんでしまう……ダメだ! 気持ちで負けてどうするの! 昨日の夜ローラちゃんと約束したばかりじゃない!
メイドちゃんが、5歳って言ってた。
孫のレイと一緒だった。
私には、レイという守るものがあって
ローラちゃんから、仇を倒す使命を
受け持ったんだもん!頑張るよ。
私は気合を入れ直して辺りを伺った。
チートメンバーがフル!
初の勢揃いの戦いだ。
その時!突然、勇者フォールが叫んだ!
「キタぞ!! みんな昨日の夜に考えた作戦でいくぞ! キール!」
やっぱり、いの一番は勇者フォールだね。
(うそ!昨日より強くなっている!?)
昨夜の司祭の説明では、戦ってチートを使いっていくと、強くなるって。勇者フォールの戦いの一撃が、威力を増していた。
初めて戦いを見る、風使のフレは詠唱ラピドゥスと叫び、聖女ソレイエと一緒に複合技〈光の竜巻〉をかけ、上級魔人のマーフツウをベキベキと捻り潰していた。
それを寂しそうに、チラ見していた闇使いサージュは、両手両足を広げて、詠唱ペルフェクトと叫ぶと、辺り一面に漆黒の闇が広がり、魔物や魔人達を次々と飲み込んでゆく。
ジェネルの人間観察は炸裂していた。
(闇使いフォンセは、聖女ソレイエに恋をしていたのね?しかし…… どうやら失恋決定のそのおかげで、より一層闇が深くなったんだわ…… 闇使いフォンセ! 失恋は大人になるほろ苦い一歩よ! おばちゃんは、心の底から君に、エールを贈るから)
水使いカインは、緑使いハキムと目を合わせ、二人は同時に詠唱を唱えた!
〈レゲンス!〉
〈ソレルス!〉
昨日の緑の蔓より一層太く!新たに鋭いトゲを生やしていた。 そこに柔らかでしなやかな水の刃が絡みつき、より一層激しい水流を増して、絡み合って生まれた壮大な力が、辺り一面の魔物を襲った。2人の前に、生き残っているものは無かった。
賢者サージュは、昨日のような手技ではなく、今日は魔法を使うようだった。
詠唱リストと呟くと氷のツララがドシンドシンと落ちて来た。
的確に魔人たちを狙っている!
「みんな…… すごっ!」
私は自分の出番が中々来ないので、チートメンバーの鮮やかな攻撃に身惚れていた。
「うわー、連携プレイって、やっぱり凄いな…… そうだ!司祭!私と連携プレイしてみようよ!」
司祭は胸の前の服を鷲掴み、一人で立ちすくしていた。
「ん?…… 司祭?」
私は司祭の様子に首を傾げた。
なんか司祭…… もしかして顔色悪い?
「司祭、どうかした?」
「えっ?…… あっ… ジェネル…… 何か言ったか? ダメだぞ! 戦いに集中しなきゃ!」
「う、うん。分かった。でも…… 」
ジェネルは気になって、尚も司祭に詰め寄ろうとしたが、突然の大声が!
「ソレイエ!危ない!!」
私はその大声で、咄嗟に振り向いた!
いきなり上級魔物アナコンダーヨは、聖女ソレイエを集中して襲っていた。
戦いの場で、チート仲間は傷付くが、そのつど聖女ソレイエがチートメンバーを回復していく。
ほとんどの魔物達が絶えたことに、業を煮やした上級魔物アナコンダーヨが、聖女に狙いを定めていた。
シャー、シャーと聖女ソレイエに近寄ると
アナコンダーヨが最後の力を振り絞った。
突然、地面が割れ出す!
ボコッボコ!ベキッ!ガコッ!!
司祭のデュールが気づき、塞ごうとする。
しかし激しく音をたて、地の底が覗けるかと思うほどに大きく地面が割れた。
的確に聖女を飲み込もうとしている!
「聖女ソレイエ、危ない!」
慌てた私は、咄嗟に手を伸ばして助ける?
はずだったが……
あれ?
私が落ちている?
「ぎ、ぎゃあーーーーーあぁぁぁぁ!」
だんだん声が小さくなってゆく。
「落ちるーー!! えっ?あっ!」
何故かフェニちゃんが、私の頭から満足気に飛び立って去って行く……
「あああああああ!!ジェネルさーーん!僕が守るって言ったのにーー!」
上から緑チートハキムの絶叫が聞こえる!
ああああああ…… なんで?
力が抜けて入らない。
フェニちゃんに炎の力を……
取られたから?
気を失いそう……
けど!
頭の中にレイとローラちゃんが
咄嗟に浮かんだ!!
ダメ!ダメだ!!
このままじゃ!ダメ!!
考えろ!私!
えーと?
えーと?
昨日、司祭が、なんて言ってた……
えーと!
ーー 離れても、呼んだら来る、とか
もしかして?
「フェニーーちゃん!!」
「助けてーー!!……?」で、合ってる?
炎を吸って満足して飛び立っても、呼べば来る?って司祭は確かに言ってた!
森林を抜けた空に向かって、飛び立ったはずのフェニちゃんは、何故か地の底から、大型の鳳凰フェニックスに成長して、軽々とジェネルを背中に乗せた。
「フェニちゃん? た…す…かった…?」
安心したのか、益々力が入らず…… 人生初の気絶をした、ジェネルだった。
フェニちゃんは地上へと舞い戻り、チート仲間にジェネルを預けた。
あらかた魔物を討伐したおかげで、明るくなった森林の空間の狭間に、フェニちゃんは消えてしまったのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
とても嬉しいです。
主人公はおばちゃんですが良い奴なんです。
どうか最後までどうかお付き合いください。
楽しく読んでいただければと思います。
これからもよろしくお願いします。
よろしければブックマークの登録と高評価をお願いしますm(__)m。
そしてこれからの励みになりますので
面白ければ★★★★★をつまらなければ★☆☆☆☆を押して
いただければ幸いです。




