表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/22

◆ オサーム王国の秘密


「うそ・・・うそだ!司祭。やめてよ・・・冗談・・・だよね・・・司祭」


「司祭様!私が・・・私が・・・癒しの光を!」


「ダメだ!ソレイエ。

癒しの光で私を治してしまうとアルゲオ病が溢れてしまうんだよ・・・

今の癒しの光には欠点があるんだ。

俺も最初は癒しの光に縋ろうとしたんだ。

 でもな、俺から一斉に漏れたアルゲオ病を完璧に抑え込む事が出来ないんだよ・・・

 ロシュの実を食べて治っていれば良かったんだ。

 巌の箱から溢れた分だけロシュの実で治して・・・

 そのまま閉じ込めて置ければ良かったんだけどな・・・

 俺の身体自体を箱にしてしまったから・・・

 もう手遅れなんだよ」



 話を聞いて理解が追いつくと私はガタガタと震えていた。

 聖女ソレイエは顔面蒼白になり涙だけが溢れて言葉も見つからない。



「し・・・司祭・・・司祭はどうなっちゃうの?」


「・・・ジェネル・・・マリアのこと頼むな。あいつはしっかりしているけど・・・はは、ダメだ・・・今はマリアの話は・・・」


「司祭!聖者さんや他のみんなにも相談しようよ!解決法があるかも知れないじゃん!」


 だがそこで司祭は厳しい顔に戻り

「ジェネル・・・

 今、大切な事は明日の討伐だよ。

 俺のことじゃないんだよ。

 俺はまだ・・・死なないよ・・・

 やるべき事があるんだ・・・

 ジェネル、ソレイエ・・・

 今は明日の事に集中してくれ。

 頼む・・・」



「司祭・・・どうして・・・

 やっぱり無理だよ。

 司祭は・・・

 いつもバカ言って喧嘩して・・・

 そして・・・楽しく笑っていた・・・

 大切な友達だよ・・・

 そんな・・・無理だよ・・・

 諦めきれないよ!」


「司祭様・・・考えましょう。もしかしたら何か解決法が見つかるかも知れません!お願いです!諦めないでください!」



「はぁ・・・分かったよ。分かった。・・・でも・・・まずは明日に集中してくれ。この討伐が全て終わったら二人にも他のチートメンバーにも相談するから・・・な?頼む」


 ジェネルはこの幼馴染が頑固一徹で最後は我を通すことを知っている。


「司祭・・・約束だよ!」


「ジェネルさん!」


「聖女ソレイエ・・・

 この頑固もんは融通が利かないの。

 いつもは穏やかな仮面をかぶっているだけ。

 これ以上は引いてあげないと・・・

 明日の討伐に響くもの。

 耐えて・・・ごめんね。

 聖女ソレイエに相談したばっかりに・・・


 おばちゃん歳ばかりとって

 聖女ソレイエの気持ちを考えて

 いなかったね・・・本当にごめんね」


「そういうこった。ソレイエ・・・

 ごめんな・・・」



 コンコンコン。


 扉の外から声がした。

「司祭様、国王がお呼びでございます。国王の執務室においでくださいませ」



 国王の執務室には国王と宰相や聖者が、そしてチートメンバー全員が揃っていた。


 本来なら他の貴族たちも参席するはずだが・・・これからオサーム王国の禁秘を説明するために必要最低限のメンバーとなった。

 秘密厳守として全員が血判を押した。


 

 国王は自身の震える拳を更に握りしめ躊躇いがちに話し出した。


「この・・・この・・・オサーム王国は・・・本来は・・・ノブレス国なのだ」


「!!」


 みんなは驚きのあまり声が出ない。

 オサーム王国の宰相までもがびっくりしていた。



 しかし・・・残念な二人は意味が分からない。



「国王様。このオサーム王国からノブレス国まで2週間ほど距離があります。

 またその間にも幾つかの国を跨いでおります。こんなに離れた場所で同じ国とはどういう事でしょうか?」


 相変わらずな2人。


 今の司祭の説明でジェネルと伝説の勇者フォールが納得して一歩遅れてびっくりしていた。



「我が王国は・・・300年前までは

 確かにノブレス国だった。

 讃えるも同じディオン神・・・

 そう・・・そのディオン神が

 大魔王を滅したはずだったのだ。

 しかし傷ついたディオン神は

 大魔王の残骸を滅しきれなかった・・・

 大魔王の復活を予見された

 ディオン神がノブレスの国を・・・

 守るため大弓を彼方に放ち

 ノブレスの民を幾人か連れ・・・

 今のノブレス国を興されたのだ。

 どちらかのノブレス国が残れば

 良かったのであろう」


 司祭は声を荒げた


「そんな!そんな・・・神は・・・

 ディオン神様が・・・

 人より国を守りたかったのですか!

 どちらかの国を犠牲にしてまでも

ノブレス国が残れば良かったのですか!」


 聖者は間に入って司祭を宥め話す


「司祭様・・・私も最初は・・・国王より禁秘をお尋ねするまではこのような事が王家の伝承となっていたことを知り得ませんでした。・・・しかしこの話の続きをお聞きください」



 国王は


「司祭殿、驚くのも嘆くのも

 仕方があるまい。

 ディオン神は国を分け・・・

 いずれどちらか一方の国だけでも

 残れば良いようにしたのには

 訳があるのだ。・・・

 ノブレス国の民でなくては

 チート持ちが生まれないのだ・・・

〈最果ての淀み〉に近しいこの国では

 心許なかったのであろう。

 ディオン神は離れた地に分ける事で・・・いずれどちらともに生まれたチート持ちたちが行く末で共に力を合わせ大魔王討伐を成し遂げようと考えられたのだ。

・・・だがしかし・・・

この王国は大きな過ちを犯したのだ」


「過ち・・・?」


「そうだ・・・何代か前の国王が

ノブレス国の名を捨てオサーム王国と

名乗りをあげた・・・

 するとこの国からはチート持ちが

 生まれなくなってしまった


 ・・・

 そちらでも新たにノブレス国を

 作るにも元々いた先民たちもいた。

 共生するにも血が混ざる事は

 許されない。


 ・・・

 ディオン神は純粋な民に

 他の違う血が混じることを恐れ

 サクレ村を作りあげた。


 ・・・

 今のノブレス国のサクレ村のみに

 チート持ちが生まれるのも

 純粋なノブレス国の

 民の末裔だからだ。


 何代か前の我が国王の愚行が

 始祖ノブレス国の由緒ある血統を

 途絶えさせ・・・

 我が国は大きな代償と・・・

 他に漏らすことのできぬ恥を

 抱える事になったのだ」



「じゃあ・・・この討伐は遠く離れた故郷のためって事なんだね。なんだ・・・他人事じゃないのか」


 伝説の勇者フォールが呟いていた。 



 突然青龍使いカインが声を上げた。


「国王様・・・私は・・・

 龍王様の声を聴きました・・・

 預かった言伝を申し上げます。



【王国を統べるものよ

 我は目覚めたり

 鳳凰の呼び声と汝の友たちが

 チートを上りしめた

 大魔王の目覚めし時

 女神ディオンの戒めの大矢が

 離れた縁を結ばん

 誠の真実を守れ

 過ちは一度きりとせよ】


・・・と、申しておりました」


 カインは静かに話を閉めた。



 国王もチートメンバーもカインの言葉に思案する。


 サマール国王は


「過ちは一度きりとな・・・

 そして龍使いカイン・・・


そなたが新たなこの国を統べるもの・・・」




 国王はここ数年の魔物の増加がスタンピードにまでなり・・・カインの生家を潰してしまった失策と愛する妃が魔物たちに殺された事が数百年に渡るこの王国の愚行の代償と考えていた。



 サマール国王は大きな王の椅子に深く沈み込んだ。

 そして深く息を吐きカインを見た。


「そなた、ドクトゥス侯爵家嫡男・・・

カイン・ドクトゥスを爵位の復権をすることとする。

 そして・・・10年前に結ばれし

 我が第一王女ジョリアンの婚約を

 再び結び直す。

 ドクトゥス侯爵家カインよ。

 我が王国を託そう・・・

 王国の民ため頼むぞ


 カイン、遅すぎた復権だった・・・

 すまなかった、許せ・・・」



 青龍使いカインは胸に手を当て片脚は床につき何年振りかの騎士の礼をした。



 姿勢を保ちながら下を向き青龍使いカインは迷っていた。  

 愛するジョリアンと結ばれる事が嬉しくない訳がない。

 しかし釈然としなかった・・・

 青龍は何か他に・・・もっと他に何か伝えたかったように思えて。



「国王様、尊命を承りました。

 ・・・しかし・・・ひとつ・・・

 青龍の言う

〈誠の真実・・・と過ちは一度きり〉

 この言葉はオサーム王国の事ではないような気がするのです。

 今はまだ何か分かりませんが・・・

 早急な結論はお待ちください」



 聡明なカインの判断に国王はふっと肩の荷が降りたような気がして初めて眉間の皺が消えた。


「あい、分かった」


 

 司祭は聖者と賢者たちを見て


「何か・・・他に策は見つかりましたか?」


 聖者と賢者はお互いひとつ頷き合いチートメンバーたちの顔を見渡し話す。



「みなさま・・・カイン様のお話は

 強ち間違いではないようです。

 国王様より禁秘を聞いた

 私と賢者様は・・・


 初めて王宮の

〈閉じられた秘文書〉の鍵を

 お借りして照合する事が

 出来ました。

 ・・・確かにこのオサーム王国は

 間違いを犯しました。

 私と賢者様もその厄災返しと

 考えていたのですが・・・

 それは一つの原因に過ぎない事だと。

 

 本当に一番大切な事・・・

 漏らしてはいけなかった真実が・・・

 隠されておりました。

 ・・・ディオン神様が

 ・・・番を

 ・・・番を永遠の眠りに

 落としてしまったのです」


 チートメンバーは各々口を開き


「番・・・?」


「永遠の眠り・・・?」


「ディオン神様が・・・?」


「誰の番を・・・?」


 頭中ハテナ?な2人を置いといて聖者は続く話を語った。









最後まで読んでいただきありがとうございました。

とても嬉しいです。


主人公はおばちゃんですが良い奴なんです。

どうか最後までどうかお付き合いください。


楽しく読んでいただければと思います。

これからもよろしくお願いします。


よろしければブックマークの登録と高評価をお願いしますm(__)m。



そしてこれからの励みになりますので


面白ければ★★★★★をつまらなければ★☆☆☆☆を押して


いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ