第4章 人間
ダニエルが現れてから数日後。
僕とアルコは王様に会いにお城への道を歩いている。アルコは嫌がったがなんとか説得に成功した。
「アラン〜約束だよ。お家に帰ったら今夜はなんでもアルコのお願いを聞いてくれるんだよ、絶対だよ!」
「わかったよ。約束するから……」
「それじゃあ約束の……」
アルコは僕の唇に唇を重ねた。なんだか少しずつ慣れて来ている自分が怖くなって来た。
王様のお城が見えてくると、騎士団長様が入り口で僕たちが来るのを待っていた。
◇
王の間に入ると、僕はひざまずいて王様に挨拶をした。アルコが突っ立ったままだったので、慌ててひざまずかせた。
「よくぞ来た! そなたがアルコか。思ったより可愛い顔をしておるな」
王様の周りには綺麗な女の人が五人ほど立っていた。アルコは無表情で片膝を付いて豪華な部屋を見渡していた。王様の隣に立っている一人の女の人が古い本を手にしていた。
「この本は一千年前に書かれた歴史書で『リベットの白い本』と呼ばれている。世界を救った女勇者の物語じゃ。その本の終わりの方にこう書かれているのじゃ、これより千二百年の間にもし魔族が復活し人間を襲ってくるときは救世主が蘇り平和な世界を作る。その救世主は女勇者リベットの里に眠ると」
王様が女勇者リベットについて話し始めたとき、アルコの表情が変わった気がした。
「アルコ殿こそが救世主であろう。各地に現れた魔族を倒してくれ」
「いやだよ、僕は魔族なんかと戦いたくないよ」
騎士団長様や周りの人たちが一斉にアルコの発言に驚いた。王様の顔色が変わった。
「騎士団長! どういうことだ! この者は戦いたくないと申しておるぞ! わしの命令に逆らうつもりなのか!?」
「な、何かの間違いでございます! アルコ殿、そうだよね」
騎士団長様が冷や汗をびっしょりとかいた。
「僕は誰とも戦わないよ……アランと一緒なら、それだけで満足だから」
「そなたはその従者が大好きなのか? 大僧侶マカラの末裔で、アルコ殿を復活させに行ったものだな」
「うん、アランが大好き♡」
「悪い魔族はアラン殿を殺しにくるぞ! おぬしがアラン殿が好きなら、これからもずっと一緒に住めば良い」
「えっ! いいの! 王様良い人だね、アランを殺そうなんて魔族は悪い奴らなんだね。僕が倒してあげるよ」
「おぉ! 頼もしいの、よろしく頼むぞ! みなの者、今夜はパーティーじゃ、ワシの美女さんたち、今夜はあんなこともこんなこともしちゃうぞ!」
僕と騎士団長様は苦笑いを浮かべた。
とりあえずアルコが人間の味方になってくれたのは良かった。
◇
その夜……
「今夜はなんでも言うこと聞いてくれる約束だよね!」
「う、うん……まぁ……で、出来る範囲で……」
「じゃあ、目をつぶって……」
僕が目を閉じると、アルコが僕の服を脱がし始めた。そしてアルコも服を脱ぐ音が聞こえる。唇が僕の唇に重なる。
「目を開けていいよ」
心臓がドキドキして、緊張の冷や汗が出る。
目を開けるとアルコはお揃いのパジャマを手にしていた。
「騎士団長さんに作ってもらったんだ! 名前入りだよ。これを着て今夜はずっとベッドでお話ししよう」
ホッとしたような、なぜかちょっぴり残念だった。
「ねえ、アランって大僧侶マカラの末裔なんだって、マカラって誰?」
「偉大な僧侶みたいだよ、僕もよくわかんないけど……僕の家に伝わった護符がアルコを目覚めさせたんだ。ある日、王様の使いが僕の家に来たんだ、救世主を復活させるって言って。お父さんとお母さんが出稼ぎに行っちゃったので、おばあちゃんが僕に護符を渡すと救世主を目覚めさせなさいと言ったんだ」
「アランは偉い人の子孫なんだね」
「わかんないけど、アルコに会えて良かったよ」
「僕もだよ! アラン大好き!」
ベッドの上でアルコにまたキスをされてしまった。こんな可愛い子が本当に世界を救う救世主で魔王の子供なんだろうか……




