↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アランと闇と光の救世主  作者: 水鳥 いつき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/25

第24章 赤い炎

人間軍と魔族軍が睨み合う中アルコが魔族軍に向かって一人歩いてゆく。それを見たダニエル魔少佐は全軍に攻撃命令を出した。   


スライムまで投入した全魔族軍が人間軍に襲いかかる、魔族軍の海をアルコは邪魔をする者だけを弾き飛ばしながら無人の野を行くように歩いて行く。 


アルコの後ろでは激しい戦いが始まろうとしていた。ダニエルが空に舞い上がり腕をクロスすると、無数の火炎弾が人間軍に降り注ぎ、ダイナマイトのような爆発が次々と起き兵士や騎士が吹き飛ばされた、そこに魔族たちが攻撃して行く、戦いは人間軍の不利から始まった。

さらに、空中にいるダニエルが炎の剣を貫き振り抜くと巨大な燃えさかるドラゴンが生まれ、最後の都市の城壁を破壊した、人間たちの悲鳴が上がる。破壊された城壁の遥か後方に王様たちがこの戦いの行方を見守っていた。


◇


遂にこの日が来た。大魔姫ローゼが役に立たない今、私がアルコを倒さねばならない。我々魔族軍を無視して私に向かってアルコが歩いてくる。奴の狙いは私のみに違いない。奴との戦いが始まる前に、我々が優位に立つように人間軍を出来るだけ倒さねば。

炎のドラゴンを召喚したあとは、人間軍の塊のなかに魔法使いと僧侶が見えたので私の究極魔法の一つで地割れを起こしマグマを吹き出させ、あの一軍を消滅させた。

もう一度火炎弾を撃って騎士団長がいる辺りを壊滅させようとしたとき、アルコが飛び上がり私の前にアスタロト・シールドを作った。


「ねえ、もうお終いにしようよ。人間と仲良くしたら?」


「アルコよ、人間を信用するな。そしてお前が死なない限りこの戦いは終わらない。もし私がやられても代わりの魔族がお前と戦う。お前が死ななければ、結局この星全てが滅ぶのだ」


「君は僕には勝てないよ」


「やってみなければわからん!」


私は炎のドラゴンを十体ほど召喚した、ドラゴンは真っ直ぐ奴に向かってゆく。黒い雪の結晶がドラゴンを切り裂き吸収して行く。そこで、わたしは紅のビームを連射する、アルコは避けきれず、一発が腿に当たった。奴は苦悶の表情をしたがダメージは少なそうだった。


「強いね……今までで一番強いけど、片手じゃ無理だね」


奴がフェニックス・ブレイズを私に向かって飛ばすと、動かない腕の肩付近を切り裂いた。私は炎の剣を抜いて近接攻撃に出る、奴も剣を抜いて、お互いの剣がぶつかり合う。金属音がすると奴の剣の光が私の脇腹を突き抜けた。


私は距離を取って形態変化をする。かなりのエネルギーを消費するので長くは戦えないがこれでスピードが三倍になる。私の体が赤くなりニ本の角が生えて蝙蝠の羽を生やす。炎の剣に魔力を込めアルコを撃ちつける。奴が剣で受け止めても奴の体に炎が燃え移る、服が焦げる匂いがした。

赤いビームの連射もさっきよりは当たった、奴が痛そうな顔をする、さすがに奴はタフだ。ふと戦場を見ると我が軍は人間たちを蹂躙していた、あとは奴さえ倒せれば……

私の全魔力を炎の剣に込めると、剣の長さが倍になり赤く燃えさかる。そして、奴の眉間を狙って振り下ろした。キン!と言う音がすると、私の炎の剣が真っ二つに折られていた。と同時に奴のパンチが私の体を打ちつけた。石化はされなかったが、口から血を吐いた。

私の額に汗が流れ落ちる。


「終わりだね」奴がトドメを刺しにこようとすると、「ダニエル様が危ない! 助けろ」と声が聞こえ、人間軍と戦っていた魔族軍が一斉にアルコに向かって行く。

スライムまでがアルコに襲いかかる、奴は困った顔をして、ベルゼバブ・ツイスターを起こし魔族軍を吹き飛ばすが、それでも魔族軍は人間軍に背を向けてアルコに次々と襲いかかった。

私の部下がこの隙に一度引くように言った。私はとまどったが、アルコもまた戸惑っていた。奴は襲いかかる魔族をただ吹き飛ばしていた。


「凄いね、君を逃すつもりだね。僕も洋服が汚れちゃったからまた明日話し合おう、一回帰るね」と言って後ろへ下がって行った。

人間軍が「今だ!」と魔族軍を後から追撃しようとしたら、アルコが黒い稲妻で地面を大きく切り裂き、追撃しようとした人間軍と魔族軍の間に大きな谷底のようなクレパスを作り出した。


「今日はもう終わりにしよう」とアルコが言う。

アルコは襲いかかる魔族軍から素早く離脱して帰って行った。


◇


「アルコ、大丈夫だった?」僕とローゼは心配だったが無事に帰って来てよかった。最初に見たとき、服がボロボロだったので焦ってしまった。それでローゼが抱きつく前に僕が抱きついてしまい、ローゼは空気を抱きしめていた。


「僕に勝てないってことはわかったはずだから、明日にもう一度話してみるよ。魔族の人たちは仲間思いで凄いよ。スライムまで僕に向かって来たんだ、ダニエルを助けるために。偉いよね〜、なるべく死なないように吹き飛ばしたんだけど、感動だよね〜」


アルコが笑った。ちょっとだけすねていたローゼも笑顔になる。

食事がら終わりローゼが食後のケーキと紅茶を運んでいると、誰もいない廊下から声が聞こえた。


「杉風参上! ローゼ様、お願いに参りました」


ローゼは誰もいない部屋へ移動した。


「願いごととは?」


「ダニエル様は疲れております。いい加減に人間の味方をするのはやめて我々の元に戻ってください。もうすぐ、人間軍を倒すことが出来るのです」


「私は人間の味方ではない。アルコ様は魔族と人間が仲良くするのを望んでいる、それに人間にも良い人がいるのはわかった」


「アルコは人間にたぶらかされているのですぞ!」


杉風が怒りをあらわにする。


「杉風、お前は勘違いをしている。アルコ様はお前の仲間を石化した後泣いていたそうだ。今日もダニエルを庇う魔族たちに感動していたよ」


「えっ!?」


「アルコ様もアランも我々の敵じゃない。むしろ友達になろうとしている。アルコ様は人間たちにも仲良くしろと言っていたよ」


杉風が困惑の表情を見せる。


「アルコ様は私のことが大好きで愛している。魔族の私をだ。子供もたくさん作りたいだって、いやん恥ずかしい……この間も戦いの前にいきなり抱きしめて、キスを……ふふ……」


「で、では魔族のことを思っていると……」


「そうだ、お前たちの仲間は死んではいない石化しただけだ。アルコ様が解除の方法を思い出したら元に戻すだろう。そしてアランが神の祝福もしていたそうだ、アルコ様が言っていた」


「アランが祝福まで……俺は忍法死んだふりをしていたから何も聞こえず、わからなかった」


杉風はしばらく考え込んでから「タリスにはお気をつけて下さい」と言って窓から消えていった。


◇


同じ夜。

魔族軍のテントで傷ついたダニエルが休んでいると、人間軍の使者がやって来た。


「通せ」とダニエルが言うとタイシ王子が現れた。


「ダニエル魔少佐、私はタイシ王子と申します」


「人間王国の王子が何の用事が?」


タイシ王子は片膝をついて、ダニエルの前に長細い箱を置いた。


「あなたの目的はアルコを倒すことですね。我々は戦争を終わらせたい。私は父上を、いや王様を失脚させて平和な時代を作りたい。これを納めて下さい」


そう言うとダニエルに箱を差し出した。中には聖剣が入っていた。ダニエルが聖剣を鞘から抜くと眩い光が輝く。まさに伝説の聖剣だった。


「これは……この剣ならアルコを殺せる。私がアルコを倒し、あなたが人間王国の王になるならこの戦争は終わるでしょう」ダニエルは聖剣を手に持ち、一度地面に置くとタイシ王子に握手をした。


タイシ王子はダニエルに別れの挨拶をしてテントから出て行った。


「人間は愚かだな、我々を裏切り今度はアルコを裏切るか」


ダニエルは高笑いをした。


◇


「アルコ、本当に明日も一人で行くの?」


「大丈夫だよ。説得してみるけど、やっぱり石にしちゃった方がいいかな? 街のひとや魔族たちがいっぱい死んじゃったみたいだから」


僕は何故か嫌な予感がして、僕の方から「今夜は一緒に寝よう」と言った。ローゼがガッカリしているのも気付かなかった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。