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アランと闇と光の救世主  作者: 水鳥 いつき


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第2章 復活 

魔王と勇者が結婚し平和が訪れた。二人の間に子供が生まれ五年の月日が流れた。


ある日、魔族帝国の魔王の城で核爆発のような大爆発が起きた。爆発の影響で魔族帝国の首都は消滅し、領土のほとんどは海に沈んだ。そして魔王をはじめ、多くの部下たちが死んだ。


その隙を狙って人間たちは一気に魔族を滅ぼすため攻め入り、ほとんどの魔族は撃ち倒され世界は統一された。


そして人間の王国の時代が千年間もの間続いた。

千年間の平和な時は王国の軍隊を弱体化していった。そしてついに隠れていた魔族の生き残りが世界のあちこちで人間に対して蜂起した。一千年の間に力を溜めていた魔族は次々と王国軍を打ち破り世界各地で魔族の領土が出来上がっていった。次は人間が滅ぼされ、魔族の世界が生まれようとしていた。


王様はこの状況を打開すべく、魔族を倒す者を募るのだった。いくつものパーティーが魔族退治に出発したが状況は悪化の一途を辿っていった。そしてついに、王様は禁断の封印を解くことにした。


◇


僕の名前はアラン。

見習い僧侶の十八歳だ。今日は王様の大事な命令で王族直属騎士団長様のお供をすることになった。


ここは伝説の女勇者の生まれた村。

僕と騎士団長様と衛兵二人が村の外れにある小さな丘を登ると、そこには石碑がそっと立っていた。石碑の背後に普通では気づけない地下への入り口があった。緊張した表情を浮かべながら僕たちは地下へ入って行った。


団長様と衛兵たちは王様から渡された紙を見ながらゆっくりと進んでいった。僕は護符が入った箱を持って三人の後をついて行った。しばらく歩くと、奥は広くなっていて、そこには石碑と墓石のような大きな岩があった。


「ここだ!」と団長様が小さく叫ぶ。僕は持っている箱を開けるように命令され、そっと箱を開けた。


突然、恐ろしい叫び声を上げて団長様と衛兵たちが気を失った。

僕が持っている箱の中にあった護符が緑色に輝く。その光が僕を包み込み、僕の手が、いや全身が光輝いた。光の外は何か邪悪な呪いのような重い空気が充満していた、おそらくこの呪いが団長たちを気絶させたのだろう。

墓石のような岩が透明に透き通って行き、中から人間が現れた。

僕が恐る恐る近づくとそこには、美しく可愛い僕と同じくらいの年頃の子が眠っていた。その子は不意に透明の岩の中から目を覚まし僕を見つめた。

僕は恐怖で震えて声が出せない、膝がガクガクとなった。やがて透明の岩にヒビが入り、粉々に砕け散り中にいた子が立ち上がった。


それは一瞬女の子と勘違いするほど可愛い男の子だった。


「ママは?」


「えっ!?」


「助けてくれたんだね。ありがとう! 怖かったよ!」


男の子は泣きながら僕に抱きついてきた。僕もどうして良いか分からず、とりあえず抱きしめた。


「助けてくれたお礼は必ずするよ、約束だよ」


そう言うと、男の子は僕の唇にキスをした。


(おいおい……)


頭が真っ白になってしまった。


「約束のキスだよ。ママと大事な約束はいつもこうしてた」


いきなり可愛い子にキスをされて僕は動揺が隠せなかった、冷や汗がしたたり落ちる。


「あの……君の名前は?」


「僕の名前はアルコ。君の名前は?」


「僕はアラン、王様の命令で君を迎えに来たんだ。一緒に来てくれるかい?」


アルコは首を振って、


「行かない、ママが人間の王様には気をつけなさいと言っていたから……簡単に信用しちゃダメだって」


軽い唸り声と共に団長様と衛兵たちがうっすらと目を覚ました。団長様はアルコを見ると「おぉ!」と声を上げ王様のお城へ来るようにアルコに言った。


「団長様、アルコ様は王様のところには行きたくないと言っております」


「僕はアランと一緒がいいよ!」


困った団長様はお城の近くの屋敷に僕としばらく一緒に暮らすように提案した。

こうしてアルコが落ち着くまで僕がお世話をすることになった。団長は僕にアルコを王様のところへ行くように説得するように命令した。僕はまず出来る限りアルコと仲良くなってから、お願いを聞いてもらうことにした。助けたお礼に王様のところへ行ってと言うことも出来たが、取引みたいで嫌だった。一人ぼっちのアルコが可哀想になってしまい、まずは友達になろうと思った。


アルコは寂しがり屋で僕にいつも甘えて来た。夜も一緒に寝ようというので、団長命令もあって、仕方なくベッドで一緒に寝た。可愛い顔が僕の近くに来るとドキドキしてしまう、男の子なのに……

一番困るのは、何かある度にキスをしてくることだ。大事な約束なときだけとか言ってなかったっけ? 例えば、バスタオルはここに置いてくださいと教えると、


「わかったよ、アラン! チュッ!」


と、僕の唇にキスをしてくる。アルコが可愛いので、顔が赤くなってしまう、男同士だぞ。


「アルコ様は女の子と付き合いたいと思いますか?」


「二人のときに様はやめてよ!」


「ごめん、アルコは女の子は好き……だよね」


「もちろんだよ。でもアランが一番好きかな」


「あ、ありがとう……」


「アランは好きな子はいるの?」


「特に今はいないよ」


「じゃあ僕のこと好き?」


返事に困って口ごもっていると、アルコの目が涙目になって来る。慌てて、


「大好きだよ!」と答える。


「良かった!」と僕にキスをして来た。だから唇にするのはちょっと……


そして今夜も一緒に寝ることになったのであった。



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