序章 誕生
こんにちは、水鳥いつきです。
今回は本格的なファンタジーコメディに挑戦しました。
RPGの世界に入り込んだような冒険を、思いつくままに楽しく描いています。
お暇つぶしに気楽に読んでいただけたら幸いです。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
「魔王様! 我らをお救いください! この勇者を討ち果たして我ら魔族の世界を!」
大神官ボルドが最後の力を振り絞り、復活の祈りを捧げた。すると、恐ろしい地割れの音と共にラスボス大魔王バカルが現れた。
女勇者は聖剣を一閃してボルドを斬り伏せた。ボルドは「グワッ!」ともんどり打って断末魔を上げた。そしてラスボスである大魔王に備えて盾を構えた。
「我こそはバカル、究極の闇の力なり。我を倒せんとするもの死あるのみ」
「あなたがラスボスね! 私の名は女勇者リベット! これが最後の戦いよ!」
リベットは剣を構えて戦闘体勢に入るが、大魔王を見て動きが止まってしまった。仲間の女魔法使いがリベットを心配そうに見つめた。
「どうしたのリベットちゃん! 動けなくなる魔法でもかけられたの?」
「イ、イケメン……」
「えっ!?」 仲間の女魔法使いと女僧侶が同時に驚きの声を上げた。
「す、素敵……」
動けないでいる女勇者を見た大魔王バカルも動きを止めた。
「う、美しい……タイプだ……」
「はぁ!?」 再び、魔法使いと僧侶が声を揃えた。
「ひ、一目惚れってあるのね……」
「我もだ……」
二人は何かに引き寄せられるように、ふらふらと近づくと優しく抱き合った。
「時よ止まれ、君の瞳に乾杯!」
「ふつつかものですが、よろしくお願いします」
熱い抱擁のすえに二人は口づけをした。
「愛してるよ……」
「私も……」
唖然としている魔法使いと僧侶を横目に、女勇者と大魔王は敵であることを忘れて恋に落ちてしまった。
「君のためなら死ねる。結婚してください……」
「ええ、一千回でも、はいと答えます……」
どこからともなく、魔法使いと僧侶には祝福のベルが聞こえた気がした。
「僕たち結婚します。もう争うのはやめましょう! 結婚式には来てね」
「え~っ!!!?」
◇
こうして、世界に平和が訪れた。
女勇者と大魔王の結婚式は身内だけで厳かに行われた。
やがて時がたち、二人の間には男の子の赤ん坊が生まれた。この子は大魔王と勇者の両方の力を受け継ぐ最強の存在であった。




