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アランと闇と光の救世主  作者: 水鳥 いつき


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第19章 新生活

ここは魔族の拠点。   

杉風が魔少佐ダニエルの前に立っている。


「ダニエル様、アルコは人間に嫌われ始めています」

「人間は自分の思い通りにならないものは敵とみなすからな、本当に愚かだ。だが、それなら都合が良い」


「ローゼ様がアルコの所へ行くようです」

「アルコは人間だ。人間と魔族が結婚などあり得ない……馬鹿な話だ」


ゴーレムを全て倒されしまった魔族軍は長い戦いで数をだいぶ減らしていた。しかし、同じように人間軍も数を減らし、王都と第二の都市を破壊されて苦戦している。


◇


「アルコ様、会いたかった!」


ローゼがアルコに飛びつく。アルコもご機嫌でローゼが抱きしめるのをされるがままになっている。


(やっぱりアルコ様は素敵……イケメン過ぎる……)


僕もお母さんを亡くしたローゼが元気な顔をみせたのでホッとした。


「ローゼちゃん、なんでメイドの服装なの?」僕が尋ねると、


「なんか、この格好のほうがしっくり来るので。これから家事は任せてください、今日はとびっきりのご飯を作ります」


「その前にこれを見てよ」とアルコが三人のお揃いのパジャマを見せると、ローゼは喜びで泣いてしまった。


「わ、私のために……嬉しい……」


「今日は三人で寝ようよ」アルコが言うので、


「僕がローゼちゃんと一緒に寝るのはまずいよ。僕はいない方が」と僕が言うとローゼの顔が赤くなった。


「ア、アラン様……い、いきなりアルコ様と初夜を迎えろと……は、はい……覚悟は出来ております……」


「じゃあ今夜はアランと二人で寝よう、昨日寝るときに負けたにらめっこをやろう。今度は負けないよ」


ローゼの目が冷たく青く光ったので、僕は慌てて、


「そ、それじゃあ僕は床で寝るから三人で寝ようよ」


ローゼが再び頬を赤くして「はい……」と言った。


◇


夕食の時間になった。

僕とアルコはローゼのとびっきりの料理を待っていた。

なかなか料理が来ないな……と思っていたら調理場から爆発音が聞こえた。


「きゃあ!」


僕たちがローゼのいる調理場へ様子を見に行ったら、ガス台が爆発した後だった。爆発から逃れた机の上にある料理は黒焦げになった肉のようなものと、ぐちゃぐちゃになった魚料理のようなものが恐ろしい見た目で乗っていた。二人のお手伝いさんと目が合うと彼らは困った顔をしていた。


「ど、どうしょう! お料理をしてたらいきなり爆発して……これじゃあ完成出来ない」


ローゼは泣き出してしまった。お手伝いさんがカップラーメンを持って来てくれた。さらに気を利かせて「料理を作るのは私たちの仕事だから、仕事がなくなると困るので、これからは料理は私たちが作ります」と言って、ローゼも「はい」と申し訳なさそうに承諾した。よく考えたらローゼは料理をほとんどしたことがなかった。


三人で食べるカップラーメンは美味しかった。


その夜、寝る時間になったので僕はベッドの横の床に布団を敷いた。ローゼとアルコはベッドで一緒に眠る、もの凄くお邪魔な気がするがアルコが三人で寝ると聞かないので仕方がない。

ローゼはベッドに入る前に床に三つ指をついて「ふつつかものですがよろしくお願いします」と言ってから頬を赤らめてベッドに入った、僕はバツが悪かった。

アルコが僕に「にらめっこは?」と言って来たので「無しだよ、寝よう」と言った。ローゼはドキドキしながらアルコの胸の中で眠った。

しばらくたってドスン!という衝撃音がすると、僕の隣にローゼがいた。ローゼは寝相が凄く悪かった、ローゼの顔が僕のすぐ横にいる。どうして良いか分からず、とりあえず背中を向けて寝た。


◇


「きゃあ! ア、アラン様!?」


目が覚めたローゼが悲鳴を上げた。僕は夜中ずっとローゼに蹴られたり抱きしめられたりして大変だった。ホッペと首にたくさんのキスマークが残り、パジャマには蹴られた跡が沢山残っていた。そして目が覚めたときはローゼに関節技を決められていた。


「ど、どうして私がアラン様の横に……」


「た、多分いつもと違うところだから、寝ぼけちゃったんじゃないかな……」


僕は涙目のローゼを擁護した。次の日も三人で同じように寝たのだが、朝、首を足で決められていた僕は死にかけた。


「ご、ごめんなさい……」


「だ、大丈夫だよ。まだ慣れてないだけだよ……」僕はローゼに笑顔で言ったが、アルコの提案でしばらく僕とアルコが同じベッドでローゼは床で寝ることになった。


ローゼは掃除をしたり洗濯をするたびに屋敷を破壊していったので、代わりにお手伝いさんたちがやる事になって、ローゼがすることが無くなってしまった。

ローゼは手がかかったが、お手伝いのおじさんとおばさんはローゼの一生懸命な姿を見て娘のように思えたらしくとても可愛がった。ローゼも優しい二人を両親のように思えてきた。


◇


僕たちは平和な暮らしをしていたが、ダニエルはあちこちの都市でアルコの悪い噂を流していた。ローゼとアルコが結婚するのでもうすぐ魔王になるとか、人間と仲良くする振りをしてスパイ活動をしているとか、王様を倒して自分が人間の王になろうとしているとか。

人々の中でアルコは危険だと言う人たちが増えていった。

残念ながらそんなことは僕たちはまるで知らなかった。


◇


魔族の屋敷で杉風とダニエルが食事をしている。


「ダニエル様、うまく行っています、人間はアルコをだいぶ嫌いになっております」


「人間の手でアルコを殺させよう、それが一番だ。ただローゼが厄介だな、何か策を考えよう」


「はっ!」


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