その61~那音くんの誕生日~
6月18日。
今日は、那音くんの誕生日だ。
放課後、ダズと一緒にキャラランドに向かいながら、
そんな話をしていた。
「ナオト、今日誕生日だね」
「そうだね」
「ナオト自分から何も言わないタイプ」
ダズが、少し笑う。
ぼくも同じことを思っていた。
——だからこそ。
今日は、那音の誕生日を祝おうって、みんなで決めていた。
スタジオに入ると、すでに準備は整っていた。
ケーキやお菓子。
那音くんが好きな甘いものが、テーブルに並んでいる。
でも、本人はまだ来ていない。
「ちょうどいいかもね」ちづるが小声で言う。
そのとき——
「お疲れ様です」
ドアが開いて、那音くんが入ってきた。
「おめでとう!」
一斉に声が上がる。
「あ……」
那音くんが、一瞬だけ止まる。
その顔は、驚きと、少しの戸惑い。
でも、ちゃんと嬉しそうだった。
「ありがとう」
短く、でもしっかりした声。
「せっかくだし、記念に写真撮ろう」
雪雄さんが言った。
「いいね」と、みんなが集まり始める。
スマホをセットして、全員が那音くんを中心に並ぶ。
「じゃあいくよー!」
その瞬間。
——ガチャ。
スタジオのドアが開いた。
「すまん、ちょっといいか」
猫太さんの声。
全員が一瞬そっちを見る。
確認すると、全員が猫太さんを向いている・・・・
「じゃ、もう一回いくよ!」
気を取り直して、再び並ぶ。
今度こそ。
「せーの——」
パシャ。
……いや、撮れてない。
「え?」
画面を見ると、中央にいるはずの那音くんがいない・・・。
「……あれ?」
振り向くと、スマホを落とした那音くんがかがんでいた。
「もう一回!」
三度目の正直。
全員で整える。
今度こそ。「せーの——!」
パシャ。
……うまく撮れてない。
目が半開きで白目になって那音くんは写真の中央に立っていた・・・。
「……」
全員、無言になる。
「……ごめん」
那音くんが小さく言う。
ダズと目が合って、思わず苦笑する。
結局。
ちゃんとした“ベストショット”は撮れなかった。
でも、その分、
笑いはちゃんと残った。
「まあ、集合写真は次にとっておこう!」
誰かが言うと、周りも小さく笑う。
そのあと、みんなでケーキを囲んだ。
甘い匂いが広がる。
「これ、めちゃくちゃ美味しい」
那音くんが、少しだけ表情を緩める。
その空気が、少しやわらかくなったとき。
まほろが前に出た。
「那音」
静かな声。
手には、花束。
「これ、みんなから」
渡された花束は、白と淡い色を中心にした、やさしい雰囲気だった。
「……」
那音くんが、少しだけ目を見開く。
「かすみ草、入ってるでしょ」とちづる。
「花言葉、“感謝”とか、
“どんな状況でも支える”って意味があるんだって」
カノンが、少し笑いながら言う。
「あと、“清らかな心”とかもな」
それを聞いて、
那音くんは花を見つめたまま、少しだけ考えてから——
「……ありがとう」
そう言った。
今日は、完璧な写真は撮れなかったけど。
この一日は、ちゃんと、記憶に残ると思う。
ライブ小説【CHARALAND RISE!(キャラランド・ライズ!)】
567人から選ばれた、8人。
でも、それはゴールじゃない。
迷いながら、ぶつかりながら、それでも前に進む。
そして――その先へ。
chapter2(完結):https://ncode.syosetu.com/n4020ky/
chapter1(完結):https://ncode.syosetu.com/n3725kb/
*キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko
*キャラランドスタッフキャラクター原案*
岡 歩 :サバ缶
猫沢 ゆう :茶ばんだライス




