その60~Esperado(エスぺラード)~
その日は、否応なくその名前を受け入れるしかなかった。
テレビも。
ネットニュースも。
SNSも。
——全部、その話題だった。
BEN所属アイドルユニットオーディション結果発表の翌朝。
目を覚ました瞬間から、その名前が飛び込んできた。
「翔太!起きて!!Esperado!!」
……うるさい。
まだ半分寝ぼけたまま、ぼくはゆっくり目を開けた。
「……えすぺらーど??」
「何?昨日の配信見てないの!?」
姉の美和が、ベッドの横で騒いでいる。
「BENのオーディション、昨日が結果発表だったでしょ!?
えっ、まさか知らなかった???」
「……で?」
ぼくは、あえて淡々と聞く。
「JPのユニットのメンバーが決まったの!」
朝からお姉ちゃんが興奮しているのがわかる。
「メンバーだけじゃなくて、ユニット名まで発表されたの!」
「Esperado!!!」
「翔太には悪いけど私——Esperado推すわ」
「……」
「La♪Ra・RISE!は、LoHiに参加できるかもわからないし、
そもそも、まだ正式にデビューもしてないし」
「ご自由に」そっけなく返す。
それ以上、その話を進めることをはしなかった。
その日、学校に行けば、
もっと現実的に、その名前を突きつけられることになる。
「翔太!ダズ!」
廊下で、いきなり呼ばれる。
「Esperadoのメンバーって、どんな感じなんだ!?」
「JP、やばくない?ガチで来てるじゃん」
「お前ら、同じLoHiに出る可能性あるんだろ?」
まるで、ぼくたちが同じユニットの一員かのように、
いろいろ聞かれる。
——いや、違うから。
でも、否定する気にもない。
放課後。
ダズと一緒に、いつものように電車に乗る。
「……見る?」
ダズがスマホを少し掲げた。
画面には、
Esperadoのニュース記事。
ぼくは、少しだけ迷ってから、うなずいた。
記事を開く。
そこには、
見慣れた名前と、見慣れない顔が並んでいた。
——JP。
そして。双子の二人。IBとIU。
写真の中で、三人は並んで立っている。
JPはもちろん。
その隣にいる双子も、まったく物怖じしていない。
堂々としている。
「——オーディション以前から、ユニットとして活動」
思わず、息が止まる。
「もう、俺たちより前にいる感じ、するな」ぼくが呟いた。
ダズも否定しなかった・・・。
胸の奥は、少しだけざわついていた。
キャラランドに着く。
いつも通り、レッスンが始まる。
誰もその話をしなかった。
やっぱり、Esperado。(エスぺラード)の話題は誰も出さなかった。
その名前を。たぶん、みんな知っている。見ている。意識もしている。
それでも——
誰も口にしない。
レッスンが終わる。
静かな空気の中で、みんながそれぞれ片付けをしているとき、
ぽつり、まほろが言った。
「……Esperadoには・・・絶対、負けねぇ」
短い一言。
誰もが、手を止めた。
誰も声を上げなかった。
でも。
全員、静かにうなずいた。
ライブ小説【CHARALAND RISE!(キャラランド・ライズ!)】
567人から選ばれた、8人。
でも、それはゴールじゃない。
迷いながら、ぶつかりながら、それでも前に進む。
そして――その先へ。
chapter2(完結):https://ncode.syosetu.com/n4020ky/
chapter1(完結):https://ncode.syosetu.com/n3725kb/
*キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko
*キャラランドスタッフキャラクター原案*
岡 歩 :サバ缶
猫沢 ゆう :茶ばんだライス




