その58~ベクトルを自分に向ける~
最近、学校ではクラスが違うけど、ダズと一緒にいることが多い。
La♪Ra・RISE!が結成されてから、少しずつ周りの空気も変わってきた。
廊下ですれ違うとき。
教室で席に座っているとき。
前まで話したことがなかった子からも、声をかけられることが増えた。
「応援してる!」とか。
「がんばってね!」とか。
中には、手紙をくれる子もいる。
まだデビューもしていないのに、
こんなに注目されるなんて思っていなかったから、正直、驚いている。
——でも、たぶん。
これって、ぼくたちだけの話じゃない。
舞台になる、LoHi。
そして、その参入戦。
あまりにも、注目度が高すぎる。
最近は、学校でも別の名前をよく聞くようになった。
「翔太!ダズ!お前ら、あのBENのJPと競うかもしれないって、すごいな」
「佐藤!BENのアイドルユニットにかなわないかもしれないけど、がんばれよ!」
「JPのユニットと同じステージに立てたら、それだけですごいよ!」
そんな言葉が、あちこちから飛んでくる。
BENのアイドルユニットオーディション。
ネット配信もされていて、今、ちょうど佳境らしい。
街でも、学校でも、とにかく話題になっている。
——当然。
「JP」の名前も、何度も出てくる。
その存在は、当然、前から知っている。
姉の美和は、もともとSKYGODのファンだけど、
LoHiが決まってからは、JPもよく見ているみたいだ。
そのJPが、いま、審査委員長として、
LoHiに参戦するメンバーを選んでいる。
……普通に考えたら。
見ないわけがない。
どんな人たちが選ばれるのか。
どれくらいのレベルなのか。
——気にならないはずがない。
でも、ぼくは。
その配信番組を一度も見ていない。
理由は、いくつかある。
ひとつは、単純に、怖いから。
もし見てしまって、「勝てないかもしれない」って思ってしまったら。
その瞬間、自分の何かがブレる気がした。
でも、本当の理由は、少し違う。
——どんな相手でも、負けたくない。
それは、JPが加わるBENのユニットでも。
SKYGODの道下真でも。
XYZでも。
まだ見たことのない誰かでも。
関係ない。
「外」を見て、強さを測って、
自分の限界を決めるのは、違う気がした。
だから、観ない。
ダズにも聞いてみたことがある。
「BENのオーディション、見てる?」
「みてない…」即答だった。
ダズは他のユニットにあまり興味がないようだ。
キャラランドのスタジオ。
今日も、いつも通りレッスンがあった。
でも、不思議なことに誰一人として、BENのオーディションの話はしない。
颯太だって、
リサーチしてないわけがないのに一言も、その話題は出てこない。
——たぶん、わかってるんだと思う。
いま、向けるべきベクトルの方向を。
もうすぐ、BENの新しいユニットが決まる。
大きな存在になるはずだ。
確実に、LoHiの中心にいるような存在になる。
でも——
今は、そこじゃない。
La♪Ra・RISE!として、どこまでいけるか。
そして、ぼく自身が、どこまでアイドルとして成長できるか。
——ベクトルを、自分に向ける。
鏡の前に立つ。
いまは、ただ、レッスンをする。
自分を、積み上げる。
それだけ。
*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




