その57~放課後~
放課後。
ダズと一緒に、キャラランドのスタジオへ向かう途中。
いつも通る駅前の道に、大きなダンススクールがある。
MEDS_Tokyo。
ムサシエンターテインメント・ダンススクール東京校。
東京だけじゃなく、全国にも展開している有名なスクールだ。
その前を通ると、ガラス越しにレッスンの様子が見える。
いつもは、小学生のクラスが多い。
高学年くらいの男女が、鏡いっぱいに広がって、
先生の動きを必死に追いかけている。
圧倒的に女の子が多いけど、その中で踊っている男の子たちは、
どこか違う空気をまとっている。
——純粋に、ダンスが好きなんだろうな、とか。
——何か、強い目標があるんだろうな、とか。
そんなことを、ぼんやり思う。
ダズと並んでこの道を歩くことは多いけど、
そのことをわざわざ話題にすることはない。
でも。
鏡の前で、全力で踊る姿を見るたびに、
自分も、気持ちを引き締めてスタジオに向かうことができていた。
——ただ、その日は違った。
「……あれ?」
いつもと、ガラス張りのスクールの様子が違う。
ガラスの向こうにいるのは、小学生じゃない。
ぼくたちと同じくらいの年齢——
高校生くらいの男子たち。二十人ほどが、同じ振りで、一斉に動いている。
ダズが、ぽつりと口にした。
「……ダンスのレベル、高いね……」
ぼくも、同じことを思っていた。
小学生クラスのときとは、空気がまるで違う。
緊張感。
厳しさ。
そして、揃ったときの圧。
——プロみたいだ。
いや、もう。ほとんど、プロだ。
フロアの端では、何人かの大人が立っていた。
男女の講師らしき人たちが、何かの用紙に、黙々とペンを走らせている。
「……テストか、オーディションかな」
ダズが言う。
その言葉を聞いた瞬間、ふとあることが頭に浮かんだ。
——LoHi。
MEDSを運営している、ムサシエンターテインメントも、LoHiへの参戦が決まっている。
しかも。
ユニットメンバーの一部は、スクール生から選抜する。
そう発表されていた。
「……まさか」
思わず、口から漏れた。
ダズも、同じことを考えていたのか、小さく頷いた。
ガラス越しに、もう一度見る。
誰一人として、気を抜いていない。
一瞬のズレも見逃されない、
そんな空気。
——選ばれるか、選ばれないか。
この緊張感と厳しさは、これが理由だと思った。
ぼくは、無意識に、一人ひとりの顔を目で追っていた。
「……行こうか」
ダズが言った。
「うん」
歩き出しながらも、
何度も振り返りそうになる。
——もしかしたら。
この中の誰かが、同じ舞台に立つかもしれない。
キャラランドのスタジオが近づいてくる。
窓ガラスに映る自分の姿を、ふと見た。
——ぼくは、どうなんだろう。
ちゃんと、戦う場所に立てるレベルにあるのか。
深く息を吸う。
「……ダズ」
「ん?」
「今日のレッスン、負けずにがんばろう」
ダズが、少しだけ笑った。
そしてぼくたちはスタジオのドアに手をかける。
*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




