その56~雨野父子~
ここ数日、キャラランドの“過去”について知ることが、やけに多かった。
まさか、BENの八手社長だけでなく、烏森芸能の烏森凪会長、
そして――AMN-UZMの雨野社長までもが、かつてキャラランドにいたなんて。
彼らは、どんな経緯でキャラランドに集まり、
そして、なぜそれぞれ別の道を選んだのだろう。
そんなことを考えているうちに、
以前から、どうしても気になっていた存在が、はっきりと頭に浮かんできた。
——雨野チーフマネージャー。
キャラランドに、いまもいるもう一人の「雨野」さん。
昔の集合写真を見た翌日。
思い切って、ぼくは猿田さんに聞いてみることにした。
休憩室。
猿田さんは、いつものようにコーヒーを飲んでいた。
「猿田さん、以前から、聞きたいことがあったのですが……」
「何だい?」
昨日のことを思い出しながら、ぼくは、言葉を選ぶ。
「昨日は、キャラランドの過去について教えていただいて、本当にありがとうございました」
「うん」
「それで…… 教えていただきたいのは――」
一度、息を整えた。
「AMN-UZMの雨野社長と、雨野チーフマネージャーのご関係を……」
猿田さんは、少しも迷わず答えた。
「そりゃ、“雨野”って苗字、珍しいからね。気になるよね」
カップを置き、続ける。
「武――いや、雨野チーフマネージャーも、そのあたりは特に語らないからなぁ」
一瞬の間。
「お察しの通り、AMN-UZMの雨野社長は、雨野チーフマネージャーの父親だよ」
「……やっぱり」
やっぱり、と思ってしまった自分と、それを口にしてしまった自分の両方に、少し驚いていた。
「でも……どうして雨野チーフマネージャーは、キャラランドに?」
自然と、そう口にしていた。
猿田さんは、少しだけ遠くを見る。
「以前は、AMN-UZMの次期社長として、向こうでも、相当バリバリ働いていた」
「……けど」
言葉が、そこで区切られた。
「いろいろあってね」
それ以上は、踏み込まない。
「詳しく知りたければ、さすがに本人に聞いてくれ」
その声は、やさしいけれど、はっきりと線を引いていた。
「LoHiの発起人でもある烏森雅社長とも、年が近くてね」
「小さい頃から、とてもいいライバルだったんだよ」
「雅くん、武、それから――椿ちゃん」
「三人は、幼馴染って言ってもいい関係だ」
「えっ……」
思わず声が出た。
その拍子に、テーブルに置いてあったコーヒーカップを倒してしまう。
「あっ……すみません!」
慌てて、こぼれたコーヒーを拭きながら、頭の中では、別のことを考えていた。
——芸能事務所。
——社長たち。
——LoHi。
それは、ただの「アイドルリーグ」なんかじゃない。
もっと前から、もっと深いところで、人と人の関係が絡み合ってきた“舞台”なんじゃないか。
「翔太くん」
顔を上げる。
「君が今、考えている通り、この業界はね、広く見えて、実はとても小さく、とても“血の通った世界”だ」
猿田さんは、静かに言った。
キャラランドの窓から、午後の光が差し込んでいた。
「翔太くん、君たちは、過去に縛られる必要はない。思い切り、LoHiの舞台パフォーマンスをしてほしい。」と猿田さんが遠くを見つめた。
ぼくは、深く息を吸った。
*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




