一章 エルフと野菜炒め 3
空間を抜けた先は瓦礫が広がる廃墟のような場所だった。
「とにかく食材泥棒の犯人を見つけ…」
探すまでも無かった。目の前には手足をばたつかせながら悶えている人物、その横には先ほど消えた野菜炒めの乗っていた皿が転がっていた。
「やっぱりお前の仕業か!」
地面に突っ伏している人物に詰め寄り無理やり起こす。
確認してみると女、しかも子供のようだった。肌はやや褐色で銀色の長髪。あと特徴的な長い耳…ゲームや漫画に出てくるような「エルフ」が思い浮かんだ。
「~~~!」
口を両手で塞ぎ、目がかなり潤んでいる少女。よほどあの野菜炒めが辛かったらしい。だがこれでは話をするのもままならない。辺りを見渡すと覚えのある冷蔵庫にあった食材が散乱していた。その中にペットボトルに入った天然飲料水があったので蓋を開けて少女に差し出す。一瞬躊躇するような表情を見せたものの、恐る恐る手を伸ばし口をつける。問題ないと分かったのか良い飲みっぷりで一気にペットボトルは空になった。
「………タスカッタ」
落ち着いたのかぺこりとおじぎをした少女、どうやら悪いやつでは無いらしい。
「なんで食材泥棒みたいなことしたんだ?」
「ドロボー?シテナイ!食ベモノガ突然出テキタノ!」
少女が何かを指さす。その先には祠のようなモノが淡い光を放っていた。
「私 、今マデ何モ食ベテナイ。困ッタトキ村ノ祠二祈ルト奇跡起コルト言イ伝エ。私祈ッタ!」
「そしたら食べ物が出てきた、と?」
何度も力強く首を縦に振る、嘘を言っているようには見えない。先ほどまでこみ上げていた俺の怒りもどこかへ行ってしまったらしい。そこで初めて気づいたように少女が俺を指さした。
「トコロデ、ダレ?」




