留守番
『コーヘイ!お腹空いた!』
『………』
『コーヘイ?どこ行くの…?』
『………』
『待ってよ!置いてかないでコーヘイ!コーヘイ!!』
離れていく彼との距離は走っても走っても縮まることはなく、どんどん遠くなっていく。
「-コーヘイ!」
叫びと同時に開いた瞳に追い求めた彼の姿は無く、彼に伸ばしたその手はただ空を掴んでいた。
どうやら夢を見ていたらしい。
彼は帰ってきていない…今の夢といい、何だか嫌な予感がする。
覚悟を決めてからの行動は早く、身支度を済ませるとテントを出る。
外はまだ薄暗く日は出ていない。テントの横に眠る竜を軽く叩いて起こした。
「…何だ、エルフ娘…朝飯か?」
首を振る。
「コーヘイの所へ行く。お願い、運んで」
「留守番と言われたではないか」
「それでも行く」
やがて小さくため息を吐くとオーウィンはその大きな体を起こす。
「…乗れ、お前に何かあったとあれば奴に叱られる。それに腹も減ってきたところだ、オニギリとやらだけではどうにも満足できん」
オーウィンの背に跨る。未だに飛ぶ事の出来ない彼はゆっくりと村を抜け森へと向かう。
村と森の境目、小さな影が立っていた。
「早イノゥ、リーヤチャン!」
「…お爺ちゃん」
「行クノカイ?」
「ごめんね、今日はオニギリ作ってあげられないの。だけど夕ご飯はちゃんと用意するから…コーヘイが」
「ウム!気ヲ付ケテノ、コッチノ事ハ気ニセンデモ大丈夫ジャ」
老オークはニカリッと笑い親指を立てた。
「ありがとうお爺ちゃん!行ってきます!」




