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定食屋はじめましたが、お客様はモンスターです  作者: 田井雫
オークの村で定食屋はじめました
37/53

オーク村滞在記1

 仙場孝平の朝は早い。

日が昇り始める少し前に起床、外で眠っているオーウィンを起こしに向かう。

「……眠い」

少し不機嫌な竜が眠っている場所は滞在しているオーク村の集会場跡に建てられた、“食堂”のちょうど裏側。その他にも普段眠る為のテントや買い溜めている食材もそこにある。

 オーウィンが吐く火と同時に朝食の仕込みが始まる。鍋に米や味噌汁の準備をしながら野菜を刻んでいるとリーヤとスミスさんが起きてくる。

「おはよう…コーヘイ」

まだ眠いのか目を擦りながら挨拶してくるリーヤ。

「おはよう、早速で悪いんだが食器の準備をしてくれないか?」

「わかった~」と、まだ半分寝ている状態のリーヤ。そんな彼女を心配しつつスミスさんに使い終わったまな板や包丁を渡す。スミスさんに取り込まれたそれらは体内で徐々に綺麗になっていく、傍から見れば異様な光景かもしれないが俺はもう慣れた。正直、洗剤で洗うより綺麗だし水も無駄にならない…エコだね。

 明るくなってなるとオークがちらほらと集まってくる。各々席に着くとリーヤがご飯と味噌汁を器に盛り始める。ここからが少し忙しい、今日は「野菜炒め」の為とにかく来た人数分鍋を振う。出来上がったモノから皿に盛り付けリーヤが配膳する。

 野菜炒めといったが、弱めてくれているとはいえオーウィンの吐く火は強い。炒め物をするには適しているがとにかく熱く、ずっと立っていると熱中症になりかねない。そんな時ふと頭に心地よい冷たさが、

「スィアか、おはよう」

「おはよ、朝から元気ね」

一番遅く起きてきたスィアがけだるそうに俺の頭であくびをしている。この冷たさに助かっているものの彼女自身、この熱さは辛いのではないかと一度聞いてみたが「…別に」と拒否も無く現在に至る。

 そのうち椅子も埋まりオーク達はそれぞれの食事を楽しんでいた。家族で囲む者もいれば、子供の面倒を見ながら、仲間同士騒ぎながら、リーヤにちょっかいだす…爺さん。


 オーク達の食事が終わり俺達も朝食を済ませると、

「旦那ァ!オ疲レ様デス!」

「えーと、たしかベンズさん…?」

「ヘイ」と頷くオーク。

「今日ノヤル事デスガ…」

俺達がオークの村で食事を出す条件、それは村の修復やいずれ自給自足できるよう畑を耕すことだった。

未だに寝たきりのオークがいるものの大半は日常生活に戻っているとのこと。またオークは力も強くそこそこ器用だった。一晩で食堂を建てたことから建築関係は順調に進んでいる。

他にも水路やトイレといった生活に必要なことも幾つか伝えた。

 次に畑だが、オークは元々狩猟民族らしく知識も道具も無かった。とはいえ俺も未経験者だった為、まずは俺が本やネットで勉強することから始まった。

「そうだな…なぁ村に鍛冶をできるヤツっているのか?」

「鍛冶デスカイ…ナラ、“ザッズ”ト“ブンド”ガ」

「じゃあ彼らに頼んで、こういう形の…」

紙に鋤(すき)やクワの絵を書いて見せた。

「ワカリヤシタ、コノクライナラ簡単デスゼ」

「あ、あと出来たらでいいんだけどさ」

「?」

再び紙に幾つか絵を描いて見せた。

「…任シテ下セェ、今日中二出来ルヨウ言ッテオキヤス」

「ありがとう」

ベンズさんはにっと笑って村の方へ戻って行った。




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