始まりの朝
慌ただしかった夜も明け、今はテントの中。
疲れていたせいか倒れこむように眠っていたらしい。軽く背を伸ばすと朝の準備の為テントから出る。
霧がまだ晴れない朝、俺の視界に広がっていたのは…
オークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオークオーク…
周りをオークの集団に囲まれていた…逃げられない。
無言でテントの中に戻り、まだ眠っている三人を揺さぶり起こす。
「ん…コーヘイ?もう朝ごはん?」
「いいから起きてくれオークがとにかくオークなんだ」
『孝平、落ち着きたまえ』
事情を話そうにも上手く伝えられない。
「…旦那起キテマスカイ?」
もたもたしていると外からオークの声が聞こえてきた。ゆっくりとテントから顔を出し外の様子を窺う、他の三人も俺と同じように後に続いた。
「あ、あぁ、朝から大勢でどうしたんだ?」
オーク達は互いに目配せをすると一斉に頭を下げた。
「旦那、昨日ハ助カリヤシタ」「アリガトウゴゼーマス」「ブヒィ」
口々に感謝の言葉を表すオーク達、どうやら昨晩言えなかったのを気にしていたらしい。
そんな俺は大勢から感謝されることに慣れておらず、ただ頭を掻くのが精一杯だった。
早速見せたいものがあると言われてオーク達に案内されたのは昨日の集会所跡。ただ昨日と違うのは其処には木で建てられた柱と屋根、一つの大木を縦に割ったような長いテーブルと椅子が作られていた。
それはまるで「食堂」のような雰囲気の。
「…これは…まさか昨日の夜から?…俺達の為に?」
「へヘッ」と恥ずかしそうというか誇らしそうなオーク達。いやそうじゃなくて、
「確かに立派な建物だけど、これじゃあまるで…長期でやるみたいじゃないか」
「…エッ?」
「えっ?」
沈黙…静寂。やがてざわざわとオーク達に動揺が広がる。
「そうだ、あの爺さんの件もある!人間がいることを不満に思う者だって…」
「ァ、ソレナラ」
オークが指さした先にはあの老オークが、
「リーヤチャーン!」
「お爺ちゃんおはよう、朝から元気だね」
「勿論、リーヤチャン二会ウ為ジャヨ」
昨日何があったというのだろうか、老オークの変貌ぶりに言葉が出ない。
「爺様ダケジャネェ、村ノ皆ガ賛成シテクレタンダ」
確かに具体的な日数も決めないうちに行動したのは俺達だし、反対する者もいないのでは無理に出て行くのは難しいか。
「…わかったよ、ただ条件は色々と決めるからな」
「オォ旦那!」
無償というわけにはいかない、それはオーク達も分かっているだろう。これからの事で話し合うこともたくさんあるだろうが、まずは…。
「朝飯作るか、っていっても材料もあんまりないから…オニギリ、かな」
「コーヘイ!私も手伝う!」
オークの村に少し活気が戻った朝となった。




