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定食屋はじめましたが、お客様はモンスターです  作者: 田井雫
オークの村で定食屋はじめました
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モンスターが住む森

「よっと、オーウィン重くないか?」

旅に同行することになった竜、オーウィン首の辺りに跨り確認する。俺の前にはリーヤが、ちょうど馬に二人乗りするような体制で座っている。オーウィンの背中にはスミスさんが、あと今までリーヤが背負っていた祠、水の入ったタンクと発泡スチロールのボックスには買い込んだ食材。他にも鍋などの調理器具一式や寝袋、テントなどここぞとばかりに積んである。

「問題無い、もう出発するのか?」


オーウィンが仲間になったことにより、移動手段・モンスターとの遭遇時の問題が解消された。そこで、モンスターが多く住むという東の森を抜ける案があがった。

スミスさんの話では、竜の足なら1日もあれば森を抜けることも可能らしい。また森のモンスターも竜を恐れて襲ってくることは考え難いとのこと。

「よし、目指すは東の森!オーウィン頼んだぜ」

俺達一行を乗せオーウィンが荒野を走る。竜に乗るという未知の体験、はたして俺の人生でこれ以上の出来事がこれからもあるのだろうか?


半日ほど経った頃目的の森が見えてきた。既に日は沈みかけ夜になろうとしている、さすがに夜に森を抜けるのは危険だからと明日の朝出発することになった。

夕食は手っ取り早く炒飯とスープ…材料を細かく刻み、炊いたご飯と一緒に強火で炒める。味付けには醤油、塩コショウして完成だ。

密かに心配していたオーウィンの食事の量だったが、本人いわく消費した分くらいしか腹は空かないらしい。それを聞いてほっとしたが、それでも5kg以上の炒飯をぺろりと平らげた…うん、まぁ…思っていたより食べてないんじゃないかな?俺の感覚もだいぶ麻痺してきたようだ。


夜も明け朝を迎える、軽い食事を取るといよいよ俺達は森へ入って行った。


いざ進んでみると思っていた「森」とは少し違っていた。巨大な木々がまるで塔のように立ち並んでいるが…それだけだった。地面には草が点々と生えているのみで残りのその大半からは地面が露出し、また、倒壊した大木もそこらじゅうに転がってる。何ていうか寂しい光景だな。

「孝平、気付いているか?」

オーウィンが話しかけてきた。

「気付くって…何が?」

わからないのか、とため息を吐くオーウィン。

「周りを囲まれているぞ、5匹?いや7か…正確な数はわからんが、どうやら我を警戒し手は出せないようだがな」

辺りを見渡すと木に隠れるような影が幾つか確認できた。急いで抜けたほうが良さそうだな。

「安心しろ、出てきた奴から喰らってやる」

それはそれで精神衛生上良くない気がするが…。


ふと小さな影がひとつ俺達の目の前に飛び出してきた。足を止めるオーウィン、俺もその姿を確認してみる…あれは、

『ふむ、あれは「オーク」だね、しかもまだ子供のようだ』

いつの間にか俺の後ろに来ていたスミスさんが教えてくれた。

「ク、食イ物!出セ!」

木の棍棒を俺達に向け脅してくるオークの子供。どうしたもんかと考えていると、

「ス、スマン!許シテクレ!」

周りで隠れていたオーク達が子供を庇うように慌てて姿を現した。

「ほぅ、わざわざ出てくるとは…孝平、喰っていいか?」

「ヒィ!助ケテクレ!」

完全にオーウィンに怯えてしまっているオーク達。

「オーウィン駄目だ、待て」

「ちっ、ではどうするのだ。見逃すというのか?」

こちらに害が無い以上、むやみに命を奪う必要はない。それにオークの子供が言ったことから察するにオーク達も腹が減っているのだろう…というか、この世界で出会った人物って全員が初対面で空腹状態なんだよな。

「…なぁ、もしかしてこの世界の食糧事情ってかなり危ないんじゃないか?」

今更かもしれないが他の4人に聞いてみた。

「コーヘイ…今頃気付いたの?」

『ははは…まぁ今更だけど孝平の言う通りだよ』

「ほんと今更ね…」

「今更だな…」

4人に呆れられる。…地味に傷つくんですが。

「…オーウィン、火を頼めるか?」

「何だ?こいつら焼き殺すのか?」

「「「「!?」」」」

「違うから!飯の支度だ」

オーウィンから降りて調理器具を取り出す。オークの数は8…まぁギリギリ間に合うかな、今ある食材で適当な献立を考える。悩んだ末「豚の生姜焼き」に決まったが…オーク相手に大丈夫だろうか?

「ま、やってみるか…おい、お前ら」

「ナ、何ダ?」

かなり警戒されてるな、無理もない。

「腹減ってんだろ?…飯作るから食ってけよ」

森で出会ったオークの集団相手に俺が選んだ選択は…「食事を作る」、だった。







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