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定食屋はじめましたが、お客様はモンスターです  作者: 田井雫
飛べない翼竜とデカ盛り飯
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デカ盛りラーメン

満腹にする為に炭水化物・タンパク質は欠かせない…だが米を炊いていては時間がかかり、さらに肉や魚がメインとなるとお金が掛かる。

早く・安く・かつ腹一杯食べられるもの…行き着いた答えは「ラーメン」だった。


本格的なラーメンを作るつもりはない、市販の麺を買えばお湯に溶かすだけのスープの素も付いてくる、後は副菜にもやし・キャベツ炒め、チャーシューで決まりだ。

ちなみにラーメンなら伸びてふやければ余計腹に溜まりやすいしな、と考えたのは秘密だ。

「急いで買って来るからリーヤ達はとにかくお湯を沸かしておいてくれ」

「わかった!行ってらっしゃい!」

リーヤ達とオーウィンにお湯の準備を任せて俺は食材購入へ向かう。


財布の中身を確認すると、それなりに多めに降ろしたお金もだいぶ薄くなっていた。

その時、学校での友人・古山の台詞が蘇る…ほんと冗談じゃなくなったな…。

スーパーへ向かい生麺を探す。だが時間も遅く、このタイプはあまり大量に置いていないので俺が買いに行った時には僅かな量しか残っていなかった。

「くそ、どうする…?」

その時目に映ったのは「インスタントラーメン」のコーナー。

メーカーが違っても味を合わせれば…選んだのは「しょうゆ味」

手当たり次第かごに詰め込んでレジへ向かう。ここ数日かなりの額の購入しているので顔を覚えられたのかレジのおばちゃんと店長の笑顔に複雑な感情を抱かずにはいられなかった。


もちろんその後何往復もして麺・野菜・チャーシューを買え揃えた。

「ぜぇぜぇ、も、戻った…ぞ」

大粒の汗をかき異世界に戻る。

「まったく、アンタそんなんじゃまた倒れるわよ」

そう言ってスィアが冷気を出してくれた。

「あ~、こりゃ良いな。なぁスィア、これからも傍に居てくれないか?」

「え?孝平それって…」

「料理中はかなり暑いからな、今みたいに涼しくしてくれるとかなり助かる」

「だと思ったわよ…ばーか」

そう言いつつも俺の頭の上に乗ってくるスィアだった。


既にお湯の準備は整っていた。リーヤにキャベツ・チャーシューのカット、スミスさんには麺を茹で湯切りまでやって貰った。一度説明しただけでそつなくこなすスミスさんはスライムにしておくのが勿体ない人物だと改めて思う。

俺は野菜を炒めつつ仕上げを行う。と言っても店で出すような綺麗なモノじゃない、大きな鍋にお湯を入れスープの素を溶かす。そこへスミスさんが麺を投入し、最後にチャーシューと炒めた野菜を盛りつけて完成。全員で調理するのにも慣れた今、仕上げる時間はかなり早くなっていた。

「オーウィン、「ラーメン」の完成だ。口を開けろ」

言われた通りに口を開くオーウィン。あとは昼間と同じように今度は「わんこラーメン」を繰り返すだけ、俺が運んでいる最中も後ろではリーヤとスミスさんが新しいラーメンを仕込んでいた。


「よし次だ」

「孝平よ…もういい…貴様の勝ちだ、我はもう食えぬ」

大鍋10杯くらいに差し掛かった時だろうか、オーウィンは口を閉じ静かに息を吐いた。

「ほ、本当か?」

「嘘は言わん…こんな風に満たされたのは何十年ぶりだろうか」

昔を懐かしむように遠くを見つめるオーウィン。

「それじゃあ」

「あぁ、好きに背中に乗るがいい…ついでに荷物もな」

にやりと笑うオーウィンにつられて俺も笑う。

「…コーヘイ、私お腹空いた」

そういえば朝からまともに食事を取っていなかった。

「よし、ラーメンも余っていることだし少し遅くなったけど夕飯にするか」

「うん!」

『私はスープを頂くよ、随分余っているみたいだからね』

「ちょっと孝平。ラーメンって、こんな熱いモノ私食べられないわよ」

「スィア、世の中には氷を入れた「冷やしラーメン」というのがあるらしいぞ」

4人で囲む食事、久しぶりに皆に笑顔が戻った。


竜との遭遇から始まり…長い戦いだった。失ったモノ(お金)も決して少なくはない、だが結果得たモノは更に大きかった。

新たにオーウィンという飛べない翼竜が俺達の旅に加わる。



その翌日、学校

「…腕痛ぇ…足痛ぇ」

俺は全身筋肉痛に悩まされていた。

「おっす、孝平…って大丈夫か?今にも死にそうな顔してるぞ」

「よぉ古山…何でもない疲れてるだけだ」

「疲れてるって、そういえば…例の3人の話どうなったんだよ!まさか…」

3人?あぁリーヤ達の事か、

「今は1人(匹)増えて…昨日までそれの相手が大変だったんだよ、はぁ…」

「4人目だと!?おい孝平!どういうことだ!」

両肩に手をかけ揺さぶってくる古山。

「いや、ソイツ空から降ってきてな」

「親方ー!?」

「何ていうか最初はかなり嫌な奴だったんだが、最終的には気が合ったワケよ」

「何その少女漫画的展開!?」

「昨日の夜も試しに自分に乗ってみろって言い出してさ」

「もうやめて!!聞きたくない!!」

両耳を塞ぐ古山、自分から聞いてきたのに…。

「くそ、くそ!何でお前ばかりそんな目に会うんだ孝平!」

「…俺もそう思うよ」

「余裕か!勝ち組の余裕なのか!?…孝平!」

「ん?」

「…ちくしょー!!」

もうすぐHRが始まるというのに廊下へ走り去ってしまった。

…ヒソヒソ

(またひとり孝平の毒牙に…)

(随分アブノーマルらしいわよ…)

「…疲れた」

もはや訂正する気力も無い…。

あれから古山が戻ってきたのは放課後のことだった…何やってたんだあいつ?






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