空からドラゴンが!
「…さて、これからのことだが」
夕食を囲みつつ今後の行き先を話し合う。今俺達はスィアが居た雪山から少し離れた荒れ地、そこから進めず数日が経とうとしていた。この話し合い自体何度となく繰り返されてきた。
「やっぱりここから近い雪山を越えるほうがいいんじゃないか?」
俺が提案すると、
「寒いの苦手!なら西の砂漠の方が良い!」
リーヤが却下
「暑いのは嫌よ、まして南なんて論外だわ」
スィアが嫌がる。
『やれやれ…あとは、東の魔物が住む地しか無いのだがね』
スミスさんの言う通り、だが
「戦闘になったら間違いなく俺達死にますね」
死んでしまっては元も子もない。
全員が沈黙…こんなことが何度となく繰り返されてきた。
結局、その日も何も決まらずに朝を迎えてしまった。
目を開けるとテントの中、いつもと変わらない朝が始まった。寝袋で眠るのにも慣れたが布団が恋しい頃でもある。さて、朝食の支度をしようと起き上った時だった。
「ードズンッ!」と大きな音が鳴ったと同時に地面が激しく震える。
「じ、地震か!?」
「何?何が起こった!?」
今まで寝ていたリーヤ達も慌てて起き上る。すぐに揺れは収まり、みんなで確認の為外へ出た。
辺りを確認しているとテントから少し離れた所に家1軒収まるくらいの大きさの穴、いやクレーターが出来ていた。その中心にいたのは、
「…あれって、ドラゴンってやつか?」
蒼鱗に覆われた身体、まるで大きな蜥蜴のような姿だが頭には2本の角が生えていた。背には翼をあることから、さっきの衝撃もおそらくコイツが空から落下したときのものだろう。
しかし、ドラゴンか…今までエルフにスライム、精霊と見てきたがやはりインパクトが違うな、この年になっても少し興奮してしまう。
「って、死んでるのか?」
先程から目を閉じたままピクリとも動かないドラゴン、だが突如その瞳が開かれる。
「グァァァァァァ!!!」
大気を震わせるほどの大きな咆哮、恐怖に萎縮した俺は体を動かすことができない。それは他の3人も同じだったらしく誰一人その場を動こうとしなかった。
「…あー寝た」
覚悟していた矢先、聞こえてきたのは何とも暢気な台詞だった。
「ふぁ~あ!ん?…やれやれ、翼が折れてしまったな…ん、何だ貴様ら」
ドラゴンの視線が俺達を捉える。
「んー?人間とエルフ…スライムと精霊。おかしな連中だ、こんな状態で無ければ食っていたが…命拾いしたな、我は眠る」
再び目を閉じ、寝息を立て始めた。
「…一体何なんだ、このドラゴン」
止まっていた頭と体がようやく動き始める。とにかくドラゴンを起こさないよう静かにテントのある場所まで撤退した。




