氷精霊と契約?
山の下へ抜ける道中。
「…そういえば名前聞いてなかったな」
「今頃聞く!?…「スィア」よスィア」
「俺は孝平、仙場孝平だ」
「孝平…うん、孝平」
呟くように名前を繰り返すスィア。やがて見たことのある地形の場所まで辿り着いた。凍てつくような吹雪も今はやんでいる。
「助かったよスィア、ここまで来れば帰れそうだ」
「そう、良かったわね…ありがとう孝平、楽しかったわ」
「なぁ、スィアに会わせたい人がいるんだ…スィア?」
振り向くが先ほどまで一緒にいた小さな精霊の姿はどこにも無かった。帰ってしまったのだろうか?
「…コーヘイ!?」
聞き覚えのある声、そこにはリーヤとスミスさんが立っていた。こちらの姿を確認すると全速力で駆け寄って来た。
「コーヘイ!コーヘイ!」
泣きながら抱きつくリーヤ。今は涙と鼻水で汚れても構わない、こうして二人とまた無事に会えたことが何より…
「お腹空いたー!ご飯!」
感動を返せ。
『無事で何よりだよ孝平。…ところで』
「コーヘイ、それ」
二人の視線が一点に集中する。それはちょうど俺の頭の上。
「ふーん、これが孝平の言ってた会わせたい人?」
「ってスィア!?何で?」
「だって孝平、食材を保存させたいのに氷結石いらないんでしょ?だから代わりの方法を教えてあげようかと思って」
「本当か!?」
まだ方法があったなんて。するとスィアは自分自身を指さした。
「おい、方法ってまさか…」
「私に決まってるじゃない、私なら氷を操れるから氷結石より使えるわよ」
「良いのか…此処を離れることになるんだぞ」
「んーそれは寂しいけど、こっちのほうが面白そうだし…それに孝平には借りがひとつ出来たからね」
「借り?何の話だ」
「別にー?それじゃ、そこのエルフとスライムもよろしくね」
「おい!勝手に決めるな!」
「コーヘイ!?私ちっとも理解できない」
『まさか、氷精霊…しかも高位のモノを連れてくるとは、孝平は一体何をしたんだい?』
「早くしなさい、遅いわよ孝平、バーカ!」
こうして、また新しく冷蔵庫じゃなくて…氷精霊「スィア」が加わった。
ちなみにその日の食事はリーヤの希望もあって鍋になったが、あまりの熱さに怒ったスィアが鍋を凍らせてしまい冷やし鍋となった。でも意外とおいしかった。




