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「…そんな、どうして」

悲劇は突如としてその身に降りかかる。

「コーヘイ…」

『孝平』

悲しむ彼の背中にかける言葉が見つからず二人はただ見守ることしかできなかった。


時間は少し遡る。

万能紳士スライム「スミス」がパーティーに加わり、俺が学校へ行っている間もリーヤは一人では無くなり、また、スミスさんもリーヤに知識や言葉を教える教師役も買って出てくれた。学校から帰った俺に今日学んだことを報告するリーヤの姿は何とも微笑ましい。

「コーヘイ、今日のご飯は何?」

「今日は生姜焼きだ、支度するから大人しくしてろよ」

朝のうちに味を馴染ませるため豚肉をタレと一緒に漬けておいた。後は切った玉ねぎと一緒に炒めるだけだった。フライパンに油を垂らし火を点ける…だが異変は既に起こっていた。

「…この臭い、まさか」

漬けこんでいた豚肉の臭い、微かに酸っぱいような…。もしかして、いや日中の気温を考えれば答えは既に出ていた。

「やっちまったー!」

少し奮発して買った国産豚肉だったのに…。OTL状態、地に伏し立ち直れない俺の絶叫に驚いた二人が駆け寄って来た。事情を聞かれ答えるも、驚異の食欲を持つリーヤと未だに未知の部分が多いスミスさんの頭には?マークが浮かんで見えた。

「確かに酸っぱい臭いするけど、食べられるよね?」

『私は養分のみ吸収、不要な毒素は排出できるからね』

とにかく食材を捨てるのは勿体ない。お腹が空いたと喚くリーヤを制止させ、細かく刻んだ肉をスミスさんに消化して貰った。いくらリーヤでも腹を下す可能性は無くも無いからな。


急いで家に戻り近所のスーパーへ走る。タイムセールの安い外国産の肉を買い、再び異世界へ。

改めて作った生姜焼きにリーヤの機嫌も直ったがこういうことは今後もあるだろう。自宅の冷蔵庫が使えないないのが地味に辛いが、かといって新しく買う余裕も無いんだよな。

「冷蔵庫欲しいなぁ」

そんな独り言がつい零れる。

「コーヘイ、「レイゾウコ」って何?」

「あぁ、食材を冷やして鮮度を保つ機械の箱だよ」

リーヤに冷蔵庫の説明をしているとスミスさんが思い出したように。

『冷やす…孝平、以前私が北に雪山があると言ったことを覚えているかね?』

「雪山って、氷精霊が住むとかいう」

『そう、この世界では氷に包まれた土地には極稀に「氷結石」というものが生まれる。それは決して溶けることがない氷らしいのだが…もしかしたら雪山にあるかもしれない、それがあれば君の悩みは解決できるのではないかね』

そんなモノがあるのか、さすが異世界!さすがスミスさん!

「リーヤ、少し遠回りになるかもしれないけど構わないか?」

「大丈夫だよ!それに私はコーヘイに付いて行くって決めたから」

『やれやれ、まだ「氷結石」がその雪山にあると決まったわけではないんだが…若いな』


行き先が決まった。目指すは北の雪山。

雪山ってことは防寒着の準備しなくちゃいけないな…リーヤの分も用意するとしてスミスさんは大丈夫だろうか?スライムって凍らないのだろうか?










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