一章 エルフと野菜炒め 11
もう見慣れた廃墟、だがそこにリーヤの姿は無かった。どこかへ行った?だがあの腹ペコエルフが飯を忘れるなど考えにくい。探しに行こうかと悩んでいた時である。
「…コーヘイ?帰ッテタノ」
聞き覚えのある声、いつの間にかリーヤが傍まで来ていた。
「どこ行ってたんだ?もう飯の準備も出来てるぞ」
「ゴメン、皆ノ所 行ッテタ」
「…そうか」
「私決メタ、コーヘイガ言ッタヨウニ自分ノ住ム場所探ス。ソレデ誰モ食べ物二困ラナイ、苦シイ思イシナイ場所ヲ作リタイ。ダカラ!」
今まで自分の意志をはっきり語っていたリーヤ、突然俯き口を閉ざしてしまう。やがて何か決心したように顔を上げたかと思うと「ウゥ…」とか「エー…」と言って下を向き口ごもる。そんなことが暫く続いたが、やがて小さな声で。
「…ダカラ、コーヘイニモ…一緒二イテ…欲シイ」
怯えるような表情、もしかして断られると思っているのだろうか。だけど、2度目にこの場所を訪れた時から俺の答えは決まっていた。
「決まってるだろ。ずっと一緒は無理かもしれないけど最後まで責任とるつもりだ」
リーヤの頭に手を乗せ撫でる。安心したように表情が和らぐと同時に聞き慣れた腹の虫の音が響く。
「…コーヘイ、朝ゴハン…オナカ空イタ」
「…リーヤお前、残念過ぎるぞ。はぁ、仕方ないな、先に朝食をす済ませるか」
「ウン!」」
準備してきた朝食に目を輝かせながら口に頬張るリーヤ、その光景を眺めながら考えていた。俺はまだこの世界の事を知らない、もしかしたら想像よりも酷いことになっているのかもしれない。
だけど、俺とリーヤは行動するしかない、行動すると決めたのだ。これからは二人で協力しあって…
「って、リーヤ!俺の分まで食うな!」
「!!ダッテ、コーヘイ食ベテナイカラ、イラナイノカト思ッテ」
前途多難、はたしてこんなことでやっていけるのだろうか。
リーヤという一番の不安要素を抱えた俺の異世界生活が始まろうとしていた。




