一章 エルフと野菜炒め 10
異世界での初めての朝、体全体に圧し掛かられるような重みに目が覚めた。
「んぐ…重っ…てリーヤ!?」
いつの間にか隣で寝ていたリーヤが俺の寝袋の中に入り込んでいた。気持ち良さそうに涎を垂らしながら眠るエルフの光景は大変貴重なものかもしれない。
「…ン、モウ食べラレナイ…」
…寝言は世界共通らしい。
「じゃなくて!起きろリーヤ!」
「ンー?ア、コーヘイ…オハヨウ…」
「挨拶はいいから早く出ろ、いつの間に入ってきたんだよ」
「朝、少シ寒カッタカラ。エへへ、コーヘイ暖カイ」
そう言って笑う彼女から「クゥー」小さな音が鳴った。さっき寝言で食べられないって言ってたじゃないか。
「はぁ、どいてくれ。一旦戻って朝飯作ってくるから待ってろ」
「ワカッタ!」
スッと寝袋から出ていくリーヤ。昨夜は戻るだけでも泣いて嫌がったというのに、食べ物が絡むとききわけが良くなるようだ。
家に戻ってみると時計は9時を過ぎていた。昨日のリーヤの食欲を考えたら少し多めに仕込んだほうがいいかもしれない、さっそく近くのスーパーへ買い物に出掛けた。
「何日かまとめ買いしたいんだけどな、今や冷蔵庫の機能は使えないしな…」
家に帰って調理を始める。ご飯はお握りにしておく、熱したフライパンへ少しづつ溶いた卵を加えつつ丸めて焼いていく卵焼き。ウィンナーも切れ目を入れて焼き、塩・胡椒で味を整えた。千切ったレタスとトマトで簡単なサラダを作る。作った朝食を鞄に詰めるとリーヤの待つ世界へ向かった。




