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定食屋はじめましたが、お客様はモンスターです  作者: 田井雫
腹ペコエルフと野菜炒め
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一章 エルフと野菜炒め 8

害が無いと分かったのか野菜炒めを黙々と食すリーヤ、おにぎりも持ってきた4つ全てを平らげた。

それを眺めながら俺は「まだ食うのか」とか「やっぱ素手で食うのか、スプーンでも持ってくるべきだったな」なんて事を考えていた。食べ終えて満足したのかリーヤが手を舐め始めたので慌てておしぼりを出して彼女の両手を拭いてやる。

「コーヘイ、アリガトウ!」

「あーあー口までべたべたじゃないか。ほれ口閉じてろ」

汚れた口周りも拭く、まるで赤ん坊だなこのエルフ。


お茶を二人分用意し、リーヤと向かい合うように座る。自分の家の冷蔵庫が異世界と繋がってしまった今、これからの事。リーヤの事。この世界の事。聞きたいことが沢山ある。それと同時に決めなければならないことも。

「…何でこんな廃墟に一人で居たんだ?食事だってとって無かっただろ」

「皆ヲ待ッテタ」

「待ってたって…だからって」

「ココハ私達ノ村ガアッタ場所…少シ前二争イアッタ…」

少しづつではあるがリーヤは語ってくれた。

数年前に人と魔物との大きな争いがあり、リーヤがいたこのエルフの村も巻き込まれてしまった。家を失い実りや蓄えを失ったエルフ達は移住を決めたらしい。その際小さな子供や老いた者は残して…それって。

「コーヘイ、コッチ」

リーヤに案内された先は小さな山が幾つもある場所だった。

「これって、まさか」

「残ッタ皆ノ、オ墓…」

山は大小様々、その前には枯れた花々が手向けられていた。

「ココガ、オジイチャン、ソノ横ガ オバアチャン…アソコガ…」

ひとつひとつ亡くなった者のお墓を指さすリーヤ、その淡々とした表情、声がとても悲しいものに感じられた。これではいけないと、思わずリーヤを引き寄せ抱きしめた。

「もう、いい。リーヤ…もういいから」

「…『オナカ空イタ』ッテ、『疲レタ』ッテ、皆、死ンジャッタ。私、ダケガ残ッタカラ…」

声を出して涙を流すリーヤ。ずっと堪えていたのだろうか、その嘆きが止むことは無く。俺はただ抱きしめることことしかできなかった。


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