9話目 1章最終回 後半
今更明かされる両者の年齢。フィンは年相応の喋り方だけど……
「3歳ならもっとバブバブ言ってなさいよ!」
フィンがもっともらしいことを言うが、3歳はもうバブバブしてない。
「我は現世に発現した時分よりこの……」
「うるさいうるさい!素直に『3年前に生まれたバブ』とか言いなさい!」
フィンがまくしたてる。3歳児はどっちでしょう。
「他の魔族の3歳はそのような喋り方なのか?」
これまで比較対象に接することができなかったルドモンドが疑問を浮かべる。
「そんなことないらしいわよ。学校や経験談でそんなこと聞いたことないし」
「ならばなぜ我は誹られたのだ……」
「子供がそんな喋り方してたらかわいくないでしょ」
今のフィンがこの魔族をどう思っているのかがこの一言でよくわかる。
「そうか……我は子供なのか……」
ルドモンドが呟く。何やら思案しているようだ。
「ほら、バブバブ言ってみなさい」
フィンの発言に呼応するかのようにルドモンドが言う。
「ママー」
「あんたは私の赤ちゃんじゃないわよ!」
「しかしバブバブしている時には母がいるのが当たり前では……」
ルドモンドが困惑しながら言う。
「あんた一体どんな知識の得方をしたわけ?!ずれてんのよさっきから!」
「この3年で多少の知識は得たが、基本的には最初から備わっておる」
「ついでだから聞いておきたいんだけど、あんたらってどういう生まれ方するの?教科書にも載ってないし前から気になってたのよね」
フィンが興味津々に聞く。
「わからぬ。気づいたらそこにいた」
「それじゃあ、そこから何を考えて行動するの?」
「我は特になかったな。腹が減れば食べ、挑まれれば戦い、そんな生活を送っていた」
「何食べるの?」
「それは言わないほうがよかろう」
「そうね、場合によってはここで決着をつけなければならなくなるものね」
ここまでふざけていたフィンが真面目な顔になりながら言う。
大げさな見方をすれば、今のフィンは人間代表として魔族と対峙していることになる。
「うむ。我もママがいなくなるのは困る」
「だからママじゃないの!どうしてもと言うのならお姉ちゃんにしなさい!」
結局いつも通り。
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「ねえ、ヨーくんの容態が落ち着いてきたわよぉ」
フィンとルドモンドが、もはや友人同士の会話として花が咲くレベルの雑談をしていると、フレナが会話に入ってくる。
「でもまだ顔が険しいわよ。もっと食べさせなきゃ」
フィンが食べ物を掴みながら言う。もはや本当に心配しているか疑わしい。
「顔はお前のせいだ……」
いつの間にか、声を出せる程度には回復したヨーデルが言う。ヨーデル久々に喋ってる。
「違うわよ。あんたが猿みたいなことばっかりしてるから顔が猿に寄ってきてるのよ」
「そこじゃねえ……」
ヨーデルが呻くように言う。
「これだけ回復すれば動かしても平気ねぇ。私が病院まで連れていくからねぇ」
フレナがヨーデルをお姫様抱っこしながら言う。ある程度の治癒は済んだらしい。
「あ、ヨーデル。ついでにあんたに聞きたかったんだけど、さっきの攻撃なんで避けられなかったの?」
「言いたくねえ」
「そうよねえ。逃げ足ナンバーワンのあんたがこんなぼろぼろ、あ、あの攻撃手加減してたらしいわよ。知ってた?ついで私が勝ったのも知ってる?」
フィンが早口でまくしたてる。案外ヨーデルがいなくて寂しかったのかもしれない。
「うるせえ」
「何よ元気ないわね。いつものバカみたいな、ハイスピードすぎて誰にも聞こえない悲しいツッコミはどうしたのよ」
「俺はもう懲りた」
ヨーデルが本当に『俺が間違いだった』という表情を浮かべながら言う。
「あ、ついに武器を買い替える気になった?あんたちゃんとしたの使えばそこそこなんだから」
「そこでもねえ」
「じゃあ何よ。さっきから否定ばっかりして鬱陶しいわね」
フィンがいつもの調子で言う。ルドモンド(3歳)ですら手加減できるというのに。
「フレナ、早く連れてってくれ……」
「そうねえ、ヨーくんもうおねむだもんねえ」
「じゃあ早く言いなさいよ。なんで避けられなかったのよ」
「ツッコミに集中しすぎて逃げ遅れただけっ……ゲホッ……グッ……」
ヨーデルがいつもの調子で突っ込もうとするが咳込んでしまう。
「ほらほらヨーくん、そんなに怒っちゃだめでしょ。もう行きましょうねえ」
フレナがヨーデルを抱えながらノシノシ歩いてく。ヨーデルの体重加算されてる。
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「あの男、自分の能力を全く活かせていないな」
「そうなのよね。あんたへの最初の攻撃みたいにスピードを活かせればそこそこやれるはずなんだけどね」
「さっきはああ言っていたが本当は『戦闘中に逃げる経験』が不足していたから避けられなかったのだろう」
「そうね。普段は気配を感じたら即逃げだもの。呼吸と同じくらい自然にツッコミできるわよあいつ」
フィンとルドモンドがヨーデルについて語っている。なぜ敵同士で批評会が成り立つのか。
「惜しいな。普通にやればお前をも超えられるだろうに」
「それはわかんないけどね。私だって遊んでるわけじゃないんだから。
それよりあんたこれからどうすんの?そもそも何しにここに来たわけ?」
「気配を感じた。我と同じ気配を」
「魔族ってこと?……そういえばヨーデルが遠くに強い気配を感じてたわね。あれのことかしら?」
フィンが前日の出来事を思い出す。花を探しに森に入ってすぐにヨーデルが遠くに強い気配を感じていた。
「わからぬが空振りにならなくてよかった」
「え?だって会えてないじゃない」
「話し相手がほしかっただけだから……」
「結局そこなのね……」
フィンが呆れたように言う。めでたしめでたし。
2章以降も話自体は続きますが場合によってはこの戦場は放棄する。




