14話
「そういえば、あの後クーリエを見ないがどうなったんだ?俺の入院中に依頼は済んだのか?」
一緒に森の見回りをしているフィンにヨーデルが話しかける。
「フレナが言ってたけど、森から一緒に帰って来た後は一度も見てないらしいわよ」
「誘拐か?」
「だとしたら親が失踪届出すでしょ。孤児だとしても保護者はいるはずだし」
「保護者がいない感じはしなかったな。服はなかなか良さそうなの着てたし」
「あら。あんたに服の良し悪しがわかるの?」
「経験上、良いのはあんまりわからんが悪いのはすぐわかる」
「貧乏って悲しいわね」
「そういう話じゃねえよ!」
いつもどおりの会話を続けながら森の中をふらふらする二人。
「それじゃそろそろ戻りましょうか」
「そうだな。いい頃合いだ」
オレンジ色に染まりかかっている空を見上げながら会話する二人。
「それにしても、こんなことになるなんてね」
「ほんとだわ。こんな危険な地域なら引っ越しを考えないとならん」
「あんた、前々から思ってたけどそんなびびりなのになんで魔物ハンターの道を選んだの?」
フィンがヨーデルの小物さに呆れながら尋ねる。
「お前のせいだろ」
「え?」
「忘れたのか?子供の頃の約束を」
おや、この流れは過去編ですか。
「私、あんたと出会ったの16歳の時なんだけど……」
「そうだっけ?じゃあ別の奴だな」
適当なのかはぐらかしたのかわからないような態度でヨーデルが言う。
「思い出を適当に作るんじゃないわよ!」
フィンが弓矢を顕現させ、ヨーデルを打つ。
「お前、最近切れやすくなってるぞ。更年期か?」
「まだ数十年猶予があるわ!」
乱れ飛ぶ矢を這ったり飛んだり木にぶらさがったりして避けるヨーデル。
「下手な鉄砲数撃ちゃ当たるって言うが、嘘だな」
「矢だし!速度付与させてないし!」
「それでその速度は大したものだ。だが、森だからといって誰もいないとは限らないぞ」
「キー!!ヨーデルのくせに偉そうに!」
フィンが再度、矢を射ろうとする。
「おい、待て。俺じゃないぞ」
ヨーデルの後ろから男が歩いてくる。無傷ということはこの男も矢を避けてきたのだろう。
「ちょっと道を聞きたいんだがな、ライアックはこっちで良いのか?」
男が何事もなかったかのように話しかけてくる。ヨーデルと違いかなりの筋肉質。おそらく20代前半だろう。ヨーデル達より顔立ちが大人。もともと服が小さめなのか、ここまで歩いてくる道中に筋肥大したのか、筋肉で服がはちきれそう。
「え、ええ。この道を歩いていけば着くわよ」
弓を消したフィンがちょっと反省した顔をしながら答える。一歩間違えれば殺人罪だったからな。
「すまないな。俺はエルギ。ソランから来た」
「ヨーデルっす!よろしくっす!」
ヨーデルが下手に出るように挨拶する。強者のにおいを感じたか。
「お、おおそうか。お嬢ちゃんは?」
「美少女よ」
フィンが髪をかき上げながら言う。誰に対しても物怖じしない態度素敵。
「美少女お嬢ちゃん、このむさ苦しい男に良ければお名前を教えていただけないかな。
危険人物として軍に伝えねば」
「あいつらはもう知ってるわよ!」
「そうか。野放しにされてるということは、軍でも対応できない暴れん坊なのか……」
エルギが少し怯んだ表情で言う。
「美少女アーチャーとして知られてるのよ!」
フィンが『美少女』にこだわって張り合う。
そこじゃないんだが、いつまでもぶれないこの態度素敵。
「冗談はさておいて」
エルギが話を進めようとする。
「なっ……遊ばれてたのね私……」
「おうおう姉ちゃん。ひどい男に引っかかったな。俺が慰めてやるよ」
「あ、大丈夫です。ヨーデルは間に合ってます」
「俺が間に合うってどういうことだよ!」
「お前らいつもこんなテンションなのか……?疲れてる時会話できないだろそれ……」
エルギが呻くように言う。
「私たちも帰るところだし付いてくる?どこか行くところあるんでしょ?案内するわよ」
「旦那、どこに行くんです?」
この二人の態度の落差。
「あ、ああ。モルダー将軍に会いに来たんだが」
「じゃあ軍の駐屯地っすね。もう遅いけど明日にします?宿の紹介もできますよ」
ヨーデルが気を利かす。お前は従者か。
「いや、大丈夫だ。仮に今日会えなくても軍で面倒見てもらえる」
「そっすか。じゃあ行きましょ。こっちでやんすよ」
「ヨーデル、あんた下手に出過ぎて喋り方にまで卑屈な態度が出てるわよ……」
ヨーデルの先導についていく強者 (の雰囲気)と美少女。
三枚目もいるし絵としてはきれいですね。




