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探偵蓮香の事件記録  作者: 宴元蒼井


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7/10

第六件 好きの狂気

「いや、だからなんですかって蓮香さん」

また顔の前に足が来る。1、2、3発。当たりはしなかったが、俺はビビって避けて転んでしまった。

「その顔で私の名前を呼ぶのやめてくれる?なんか虫酸が走る」

とても冷徹で、目だけで人を殺せそうな目をしてこっちを睨んでくる。

「当てなかったのは慈悲じゃないよ?やっぱ私がやっちゃ発散できないもんね。"相棒"」

蓮香が後ろを指をさす。つられて俺も振り向くとそこには……俺が縛って監禁していたはずの奴がいた。そいつを見て俺は驚く暇もなく、右頬に強烈なパンチを食らった。

「痛っ。何で、お前がいるんだ!何でなんだよ!あともうちょっとで!成功したのに!」

「はいはい。もういいから黙って」

「あんたが犯人だったとは……旧友。いや今は警察幹部だっけ?」

ベリッ

顔のマスクが剥がされる。俺は顔を見られまいと奮闘しようとしたが、さっき正体を明かされてしまったからと抵抗をあきらめる。蓮香の怖さは俺がよく知っている。身をもって学んだ。

「お前にバレるなんてな。俺の腕も落ちたもんだな」

「私の腕が上がったんだよ。まさかアンタが犯人だなんて信じたくなかったけどさ。」


なんかすごいいい話をしているようなんだけど、僕はどうしたらいいのか。とりあえずこれを邪魔しないように、彼女らを見れる位置で警察に電話をかける。

「警察の派遣、近くに待機でお願いします」


「それにしても何でバレた?何か違和感でも作ったか?」

「うん。ただの一般人にしては感が鋭くて理屈も通っているけれど、私の相棒より、鋭くないし、何より、さっきイジったときの答えが全く違ったからね。相棒はあそこで無視する」

「じゃあね。旧友」

そうつぶやくと蓮香は足を高く上げ、みぞおちをめがけて振り下ろした。

その時、海に来た人々は生涯で更新されないであろうほど大きな叫び声を聞いた。


「う〜ん。結果がこんな感じだったとはさすがに想定外」

蓮香は報告書を投げ捨て、話しかける。

「まあ確かに。高奥がマジで誘拐犯だったとは思わなかったよね」

「誘拐に気がつく奥さんもすごいですね。女の勘ってやつかな?」

それにしても蓮香さんの友人、丘湯羽冠武が真犯人だとは驚きだ。

僕は蓮香さんが事情聴取中に殴られ、監禁されていたらしい。殴れれてからの記憶はほぼないが。

「丘湯さんはなぜ濡れ衣を着せようとしていたんでしょうね?実際は濡れ衣ではなかったんですけど」

「それ、聞きたい〜?」

蓮香さんがうざったるい声で聞いてくる。

僕は声を出さずに頷く。

「あいつは……高奥の奥さんが好きだったらしいよ」

「え?」

思わず声が出てしまう。まさかこんなくだらない理由なんて。

くだらない理由でも犯罪をできるなんて、逆に尊敬だ。

「やっぱ好きって感情は怖いですね。簡単に人を狂わせる」

「最近解放されたばっかなのにまた事情聴取地獄かな。それまでにこれ片付けないと」

蓮香がそう言いながら押し入れを開ける。中には組み立てられていない本棚とエグい量の本。


「やった。ようやくできた!」

蓮香がそう言いながらジャンプする。

「これ組み立てたのほとんど僕ですけどね」

蓮香は聞こえていないふりをしながらジャンプする。

ミシ

「ん?」

ミシミシ

「んん?」

ミシミシ音がするので上を見ると、そこにあったのは僕の頭上に振り注いでくる大量の本だった。


「相棒?相棒?相棒!」

急に叫ばれたせいで耳がキンキンする

「急に叫ばないでくださいよ。うるさいので」

「だって急に考えた感じの顔して動かなくなったから」

それは落ちてきた本のせいで記憶が混濁してたからだが。

「もう大丈夫ですよ。明日はまた新しい依頼者が来るんですよね。それまでに片付けないと」

そうして、僕と蓮香は片付けに向かった。





旧友の名前を出さなければ

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