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探偵蓮香の事件記録  作者: 宴元蒼井


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6/10

第五件 皮と布

「そういえば蓮香さん、昨日高奥を追いかけている途中で夫婦を見かけたんですよ。迷子の子供を探している。6日前から失踪していると言っていたんですけど」

「十中八九関係あるでしょうね。その人たちの話を聞きたいけど、どこにいるかな」

僕たちは今、警察署に来ている。

別に何も悪いことはしていないが、蓮香さんは何か用事があるらしい。

「おーい。どこにいるのー」

ロビーで叫んでいるんだが、他の人に迷惑とか考えて欲しい。あの人はこういうところから警察を辞めさせられたんじゃないのか?

そう思いながら他人のふりをする。

「はあ、まったく最近の警察ときたら、今日はできないって言われちゃったよ」

何やら神妙な面持ちで悩んでた割には、軽く受け流している。

「そういえばなんで急に警察署なんて来たんですか?」

今のうちに気になっていた疑問を聞いていく。

「ふっふっふ。愚問だね。探偵って実は、ないんだよ。犯人を見つけても逮捕する手段がないんだよね。だから旧友に声かけようと思ったんだけど、なんか偉くなったぽくて会えなかった」

急に悲しそうになる蓮香さん。マジでこの人の顔芸は見てて飽きないな。


「ほい」

「ん?なんですかこれ」

急に前に出てきた物体に驚いて反射的に言ってしまう。

「何って、電話番号。その子供を探していた夫婦の」

「なんで蓮香さんが持ってるんですか?」

「ポスターに載ってたじゃん。どうしたの?いつものキレがないじゃん」

確かに、いつもなら気づけていたことに気づけていない。

「ちょっと熱でもあるかもしれませんね」

とりあえず電話をかけなければ。

またあの母親の焦り具合を見るとなると、なぜだか心が痛む。

プルルルル

「もしもし、根本ですけど、どちら様でしょうか?」

「こちら警察なんですけど、お宅の息子さんの迷子に進展があったのでそちらに二人ほど人を送ってもよろしいですか?」

元警察がいるし、流石に捕まらないはず。

時には探偵の嘘も必要だよな。

「えっ!本当ですか!よろしくお願いします!」

こんなに喜んで、やはり嬉しいのか。


ピンポーン

出ない。

ピンポーン

ピンポーン

出ない。

「そう言えば何か匂わない?」

確かに、何か匂いがする。

「あれ、鍵が空いてる」

ガチャ

「すいませーん。誰かいませんかー」

「ちょっと待って、これ以上進まないで」

「は、なにをいって」

その時、さっきまで微かに匂っていた匂いが強くなったのを感じた。

錆びた鉄のような匂いだ。血?

蓮香さんがどかどかと進んでいく。そして、リビングに着くと、こう言い放った。

「これは、私たちには負えないタイプの事件かも」

僕も遅れて到着すると、リビングを覗き込んだ。

「酷い…」

散らかっているなんてレベルじゃないほどに散らばっている。冷蔵庫は倒れ、食器はそこらじゅうに散らばっている。そして、ソファーには赤黒いシミがあった。


「いや、さすがに血だまりが多すぎない?」

確かに、最初はソファーのしみにしか気づかなかったが、

冷蔵庫の角にも、カーテンにもついているではないか。

マジでそれにすら気づけないのは探偵失格レベルだな。

「言いたかないけどこれ、さすがに死んでる失血量じゃない?

二人分でも死んでるかギリギリのラインかな」

「やばいですね。とりあえず警察呼びましょうか」

「もう呼んだよ。とりあえず私たちは現場の保護をしようか」

とりあえず僕は玄関を閉めにいく。こんな血だらけの現場を他の住人にみられたらまずいし。


あれから僕たちは警察から事情聴取を受けるために本日二回目の警察署にいる。

「もう一度だけ見つけた経緯を説明してもらってもいいかな?」

「わかりました。まず、とある人から依頼が来たんです。それでその依頼を言っているうちに、あの家にたどり着いたって感じですね」

「わかった。ありがとう。それで、あの夫婦は今行方不明届を出してるんだよね。お子さんの。だから、そこ関係で狙われたって思ってるんだけどどう思う?蓮香」

「そうだね、ぶっちゃけ犯人は高奥だと思うんだけど、高奥とその夫婦の子供がいた住所はもぬけの殻。探すのは十中八九無理でしょうね」

「私がいなければ」

その一言で空気が一変する。

「見なよ、この写真。私の部下がとった一枚。奥のスーツケースがあるよね。そして、ソファーの上に置いてあるのもなーんだ?」

ソファーの上にある物?

「水着か!」

警察の方が代わりに答えてくれる。

「そう。そして5歳のこを連れて飛行機には乗りづらいし防犯カメラに映る可能性がある。そこから電車で行くってことはわかると思うんだけど、ここから近くて、ちょうどいいくらいの人がいるところは、千葉の九十九里浜でしょ」

「てことで、行こうか九十九里浜」

「任せたぞ蓮香!必ず確保して来い!」



「蓮香さん?なんで水着なんですか?」

「なんでって、海だからに決まってんじゃん」

当たり前みたいな顔をしているが、別に観光じゃないってことを理解してほしい。

それにしても人が多いな。まあ今日は波も穏やかだし、こんなもんか。

「とりあえず着替えて着替えて~」

結局着替えさせられてしまった。

「なんか顔赤くない?私に惚れないでよ~」

「そんなこと、天地がひっくり返ってから戻ってもありえないですね」

というか、緊張感がなさすぎる。仮にも死人が出ている状況で。

「もうちょっと緊張感持ちましょ。人が死んでるんだし」

「おっと、まだその嘘信じてたの?まあしょうがないか。ちょっとむずかしかったもんね」

なんだこの人、めっちゃうざい。

「あの血、さすがに散らばりすぎでしょ。犯人はきっと死んだってことにして高奥に濡れ衣をかぶせたかったんじゃないかな?」

「どうゆうことですか?れんk」

ビュン

蓮香の足が俺の顔の目の前に来る。

「うわっ」

「はいしゅーりょー。君、詰みだよ」

「君、私の相棒じゃないでしょ」


君たち〜?

しゅーりょー

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